メタルさんの小説

妖艶の悪女の眠り


 幾度となく寄生し、乗移り続け、どれが本当の姿であったのか…………もはや思い出すことも出来ない。

 私を呼ぶ声もしたが、今はもう聞こえない。

 美貌を失い、権力も失い、悪しき女王に変わり果てても着いてきてくれたタランザさえも失った。

 平和だったあの頃が、幸せだったあの頃が、今になって頭の中を過る。










『タランザ……醜き私を許しておくれ…………』










「セクトニア女王様ァァァァッ!!!!!」
「セクトニアァァァ!!!」
「うおぉぉぉぉぉ!!!!!!」
 理性を失ったセクトニアを押さえ込むタランザ、押さえ込んでいる間に、剣とハンマーをセクトニアに振るうカービィとデデデ。
 ここはフロラルドのロイヤルロードの上の上。
 ソウルへと変わり果てたセクトニアは必死にもがき、抵抗している。
「カービィ!ビームが来るぞッ!!」
 デデデが真上を見上げ、ビームを発射する魔方陣を見つけ、カービィ達に知らせる。
「くッ!」
 カービィのすぐ横をビームがかすめ通る。
「セクトニア女王様ァァァァァッ!!もう、もうお止め下さいィッ!!!!!」
 タランザの悲痛な声が響き渡る。だが、今のセクトニアには心も何も無い。唯々この星を取り込み、目の前にいる『害虫』を殺すだけであった。
『キシャァァァァァァァッ!!!!!』
「ッ……!」
 セクトニアの甲高い雄叫びが3人を襲う。タランザもこれには怯んだようで、その瞬間、セクトニアはタランザが造り出した蜘蛛の糸を振りほどく。
「デデデ、タランザ!セクトニアが……」
「セ……セクトニア様……セクトニア様が……」
「なっ……」
 3人は、空へと舞い上がったセクトニアを見る。
 セクトニアの体が、絵の具の様に変型し、紅い火球へと変化していく。
 それはまるで、世界の終わりを告げる太陽の様だった。
「足場から離れろ!」
 デデデが何かを察し、カービィとタランザを空中に放り出す。
 するとどうだろう、火球へと変貌したセクトニアが足場へと乗り掛かって来たのだ。
「あっぶない……デデデ、ナイス」
 カービィが冷や汗を流しながらホバリングをする。
 セクトニアが元の姿に戻ったのを3人が確認し、足場に戻る。
『キアァシャァァァァァァッ!!!』
「来るぞッ!」
 ワープを繰り返し、雑魚敵をばらまく。その雑魚敵を蹴散らし、セクトニアが現れるのを待つ。
『シャキャアァァァァァァァッ!!』
「今だぁ!!!」
「せいッ!」
 タランザが蜘蛛の糸でセクトニアを束縛し。
「でやあぁぁぁ!!!」
デデデが極・大車輪でセクトニアを地面に思いっきり叩きつけ。
「セクトニア!永久なる、眠りをォッ!!」
カービィがセクトニアの体を十字に切り裂く。
『キ……キシャァァぁぁぁあああ……』
 セクトニアの体が爆発する。
 空に蒼い花弁が舞い散り、空は段々と明るくなってくる。
「……終わったね」
「あぁ……」
 カービィの応えにデデデは頷く。
「タランザ、お前はどうすんだ」
「僕は……もう少しここにいます……」
 涙を必死に耐え、カービィとデデデに背を向ける。
「そうか……何処にも行くあてが無かったら儂の城へ来い、何時でも歓迎するぞ」
 カービィを掴み、足場を飛び降りるデデデ。




「セクトニア様」
 タランザは1人呟く。
「何故……僕達はこんな事をしたのでしょうか……」
 涙を堪えながら、空を見上げる。
「こんなことをしたら、必ず僕達を殺しにくる輩がが現れるって、必ず計画は失敗するって、何度も何度も言って、止めようとしたのに……」
 ポロポロと涙を流しながら、落ちてきた蒼い花弁を手に取る。
『タランザ……醜き私を許しておくれ…………』
 そう、聞こえた気がした。
「セクトニア様ぁ……ぁぁあっうわぁぁ……」

 空には太陽が登り、ワールドツリーを照らしていた
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