メタルさんの小説

正と悪の違いとは


メタナイトが、巨大な戦艦『ハルバード』を使い、プププランドを乗っ取ろうとした事件……それが『メタナイトの逆襲』
しかし一人の少年……カービィによってメタナイトの野望は崩れ去り、ハルバードは夕焼けに染まった海に沈んでいった。
カービィはプププランドの住民達からは英雄扱いされ、メタナイトは悪者扱いされた。

このお話は、メタナイトの逆襲から数日後のお話である……



タッタッタッと急ぎ足でデデデ城の廊下を走る。まぁ、カービィがデデデ城に行く理由は大抵食事をするためなのだが。
「デデデー!お邪魔するよー!」
バン!!と食堂の扉を開けて、デデデが食べている横に座り、コックカワサキに料理を注文する。
「カービィ、よくメタナイトを止められたな」
「まっ、そんくらい楽勝だよ!食べ物が有る限り!」
カービィはそう言ってデデデが食べているデザートのイチゴを一つ取って食べる。
「カービィ!!それは儂のイチゴだ!勝手に食うな!!」
「えぇー!いいじゃん、イチゴの一つ位」
二人がギャンギャン騒いでいる中、食堂の扉がバーン!!と開かれる。入って来たのは、バンダナワドルディだった。
「大王様!メタナイトが……メタナイトが城にやって来ました!!」
「「なんだとー!!?!」」
二人は声を揃える。カワサキは二人の声にびっくりして、お皿を落としてしまった。
「大王様に会いたいと申していますが……」
「わかった、今行く」
デデデは椅子から降りると、駆け足で食堂を出ていった。
「あっ、デデデ待ってよー!!」
カービィもデデデの後をついて食堂を出ていった。



デデデ城、城門……


「メタナイトーッ!」
デデデがメタナイトに駆け寄る、マントはボロボロで、仮面にも細かい傷が沢山ついていた。
「メタナイト……何故あんなことをした!?」
デデデはメタナイトの肩を掴むが!メタナイトはうつむいたままだった。
「メタナイト!!」
「フッ……何故あんなことした?決まっている……」
メタナイトはデデデを見る、仮面越しの目はとても冷たかった。
「この国の住民達は何も知らない、自分を守ることさえも……『とある星の戦士』に頼ってばかりいるからなぁ。そこでこの私が直々にこの国を乗っ取ろうとした、……堕落に満ちたこの国の住民達に恐怖を思い知らせるために」
「ッ!!」
デデデは、メタナイトの言葉を聞いた瞬間メタナイトを殴り飛ばす。メタナイトの言葉が相当頭に来たらしく、握り拳でその容姿がうかがえる。
メタナイトは、デデデに殴られたにも関わらず受け身を取らない。そこに、デデデが掴みにかかる。
「てめぇは何をしたかわかっているのか!?」
「わかっているからやったことだ、それがどうした?」
「クッ……」
デデデはメタナイトを地面におろした。
「私はどんな刑でも受けよう。……だがメタ・ナイツの皆は見逃してやってくれ」
「あ……あぁわかった。……ワドルディ、メタナイトを」
デデデはワドルディ達にメタナイトを牢屋へ連れて行くように言った。メタナイトはワドルディ達に連れて行かれても抵抗する気は全く無いようだ。
「あいつ……何なんだよ……」
デデデは連れて行かれるメタナイトの背中をただひたすら見ていた……



デデデ城、1階……


「あっ……メタナイト!!」
「……………」
カービィは、ワドルディ達に連れて行かれるメタナイトを見ると側にかけよる。
「何でわざわざ捕まりに来たの!?ぜーったい死刑だよ!!」
「別にかまわん、貴様に心配はされたくないな」
しかし、メタナイトとの別れ際にメタナイトが小声で。
「英雄扱いされて良かったなぁ……カービィ」
と、カービィにささやいた。
「えっ……メタ……」
「去らばだ、カービィ」
メタナイトはカービィに理由を聞かれる前に牢屋へ連れていかれたのだった。
「メタナイト……」



夕方、オレンジオーシャン……


『英雄扱いされて良かったなぁ……カービィ』
「ッ!!」
あの時のメタナイトの言葉が頭の中で響く。カービィは、その言葉を紛らわすためオレンジ色の海に向かって石を投げる。
「どういう意味だよ……メタ……」
カービィは砂浜にへたりこむ、夕日の光が何もかもをオレンジ色に染め上げる。
ふと、カービィが横を向くと数メートル先に、ボロボロの水兵帽を握りしめたワドルディがいた。
「確か……メタナイトの仲間の………」
ワドルディはカービィに気がついたらしく、こっちを見る。カービィはワドルディのもとへ走って行く。
「確か君は……」
「はい……メタ・ナイツの仲間で、ハルバードのクルー、ルディです……」
ルディは、砂浜に視線を戻すと水兵帽をかぶり直す。
「ちょっといいかな……」
「はい、何でしょう……」
カービィはルディの隣に座る。
「何で……君たちメタ・ナイツは、この国を乗っ取ろうとしたの?」
「ッ!!」
ルディはいきなりカービィを殴り飛ばす。さすがメタ・ナイツに入っていただけのことはあって、殴り飛ばされたカービィは数メートル先に吹っ飛ばされる。
「いたた……いきなり何をす……」
「貴方は何もかも知らなくて良いですよね」
カービィがルディに言うが、ルディはカービィの言葉を無視してカービィに歩み寄る。
「僕たちは必死に、この国……この星について考えたのに!!貴方は気楽で良いですよね!!」
「僕はいつも気楽じゃ無いわけでは……」
「黙れ!」
ルディは声を荒げてカービィを睨み付ける。そして、手に握り拳を作ってカービィに歩み寄る。カービィはルディの迫力に後退りする。
「この国の住民達は貴方に頼りすぎなんですよ!もし貴方が殺されて、デデデ大王さんとメタナイト様が敵に味方をしたらこの星はもう終わりですよ!!そのためにハルバードを使って、少しはカービィに頼らず自分達で戦えって……少しはカービィに頼らず自分達で守れって……なのに………なのに…………!!!」
ルディはまた、カービィを殴る。
「何で貴方が毎回毎回しゃしゃり出て来るんですか?!これじゃ住民達全員が非戦闘員になってしまいます!戦える住民達もいると言うのに!貴方はこんな未来を考えたことがあるとでも言うのですか!?貴方に頼りすぎの住民達が、何も出来ずに次々と敵に殺される……そんなことを考えたことがあるとでも言うのですか!!今回もここの住民達は貴方に頼ったじゃないですか!だからメタナイト様が堕落に満ちた国って言うんですよ!!英雄扱いされて良かったですね!カービィは!!こんな星なんか敵に乗っ取ろられて無くなってしまえばいいんだ!!!」
ルディは最後のとどめと言わんばかりに、カービィを殴り飛ばしてどこかへと走り出す。
「……ルディ……」
カービィはただただ、ルディの背中を見つめることしか出来なかった。



夢の泉……


「はぁ……」
カービィは溜め息をつきながら、泉の岸へと座る。
『……カービィ、貴様が溜め息をつくなど珍しいな』
「えっ!だっ……誰!?」
カービィは周囲を警戒するが、泉の音しか聞こえない。
『私を忘れたか?貴様がスターロッドにに封印しただろう。ナイトメアだ』
「あぁ、ナイトメア!懐かしいなぁ……」
スターロッドに封印されているナイトメアは、はぁ……と溜め息をつく。
『相当なことがあったようだな』
「うん……話、聞いてくれる?」
『ふん………良いだろう』
カービィは、ナイトメアが封印された後のポップスターのこと、今回の事件 メタナイトの逆襲のこと、ルディに殴り飛ばされたこと、今までのことを全て、ナイトメアに話すカービィ。
『そうか……封印されている間にそんなことがあったのだな……』
「うん……だから正義も悪も存在しないのかなって……君だってそうでしょ?住民達に悪夢を見せたいのでしょ?」
『いや……見せたい訳ではない』
ナイトメアはうーんと、何かを考える。
『良い夢ばかりでは私は駄目だと思っている、人生もそうであろう?良いことは続かない夢もそうだ、たまには悪夢も見ないといかんと、私は思っている』
「……君も考えていたんだね」
『当たり前だ』
ナイトメアは呆れたように、カービィに言う。
「……でね、話が少し変わるけどね…………メタナイトのことなんだけど……明日、公開処刑なんだって……ここに来る途中、メタナイトの公開処刑の紙が配られていたんだ……」
『そうか、面白そうだが生憎ここから動けん』
「そうじゃなくて……」
ナイトメアは溜め息をついているカービィを見て笑う。
「プププランドに処刑なんか似合わないし、処刑されるメタナイトが可哀想だし……だから、手伝ってくれない?」
『無理だな』
即答だった、しかしそれくらいで諦めるカービィではなかった。
「外に出られるよ?」
『………』
「外に出るの、今回だけかもしれないよ?」
『………』
「それでもいいの?」
『……そこまで……協力させたいのか?私はこの星の敵だぞ?』
ナイトメアが口を開く。
「だってこの仕事……君にしか出来ないもん」
『…………良かろう、だが今回だけだ』
「んじゃ、こーしょーせーりつと言うことで!」
『交渉成立だ』
カービィは携帯電話を取り出して、ワープスターを呼ぶ。カービィはワープスターに乗って、スターロッドに接近する。
「……よいしょ!」
スポン!と言う綺麗な音が鳴りそうな感じで、スターロッドが抜ける。
「ナイトメアー、抜いたよー」
『うむ、今から行く』
スターロッドが刺さっていた台座から、ナイトメアが出て来る。……厳密に言えば、パワーオーブの状態で。
「カービィ礼を言うぞ。元に戻ったら貴様の家に行く、それまで休んでおけ」
「うん、でも悪夢を見せないでね?」
「わかっている。見せた所で貴様に倒されるのは目に見えている」
カービィはナイトメアに手を振って帰って行った……



公開処刑当日、デデデ城周辺の森、処刑場……
「いよいよ私も潮時か……」
処刑台に吊るされたメタナイトは、そんなことを呟く。ふと、顔を上げると沢山の人だかりが出来ていた。所々で「あんなヤツ、さっさと殺してしまえ」「大人しくしてたら良かったのに」と言う野次がメタナイトに浴びせられた。
デデデはマイクを取ると、沢山の人だかりに向かって話し始めた。
「今から、メタナイトの処刑を始める!この処刑に疑問、反対のヤツは手を上げろ!」
住民達は当たり前に手を上げない。……ただ、一人を除いて……
「僕は……メタナイトの公開処刑に反対します!」
沢山の人だかりをかき分け、処刑台に上がった人物にメタナイトもデデデも住民達も、目を丸くする。その人物は……
「……カービィ」
メタナイトの逆襲を阻止した人物、カービィだった。カービィはマイクを取ると、沢山の人だかりに向かって話し始めた。
「僕は、メタナイトの処刑に反対します。理由は……メタナイトのしたことは正しいからです」
カービィがそう言った瞬間、沢山の人だかりから野次が飛んでくる。
「では、メタナイトが戦艦を使ってまででも伝えたかったことを再現します」
カービィはマイクを上にほうり投げる、その瞬間、辺り一面が暗くなりナイトメアが姿を現す。沢山の人だかりは一斉に散らばる。
「カービィ、これはどういうことだ!!?」
デデデはカービィに掴みかかる。
「大丈夫、ナイトメアは何もしないから」
森から出ようとした者もいたが、ナイトメアが事前に結界を張っていたため、出られなくなった。
すると、住民達はカービィがいる所に集まって来る。すると、ある一人のスパーキーがカービィに言う。
「カービィさん!貴方は星の戦士でしょ?!ナイトメアをやっつけてよ!」
「無理」
スパーキーはカービィを絶望の目で見る。
「君は戦えるはず、なのに何で僕に頼るの?」
「それは……」
スパーキーが黙る、カービィはマイクを持って聞こえるように話す。
「何で皆はそうやって僕に頼るの?」
住民達は静まる。
「僕が皆のヒーローで、何でも解決してくれるから?」
住民達はカービィの言葉にうんうんと頷く。その住民達の動作に痺れを切らした者が一人……
「その考え方が命に関わると私は言いたいのだーっ!!」
メタナイトだった。メタナイトはギロチンの刃を利用して、手足にくくっていたロープを切ってカービィからマイクを取り上げる。
「処刑される者がこんなことを言うのもあつかましいかも知れんが、本当にお前達はそれで生きて行けるとでも思っていたのか!?もし、カービィが何者かに殺されたらどうする!?なにも出来ず、敵に殺されたいのか!?私が戦艦を使って侵略しようとしたと時、お前達はこの私に抵抗しようとしたとでも言うのか?!どうなんだ!!」
メタナイトの怒りに住民達は押し黙るしかなかった。
「ただ待っておけばカービィが解決してくれるから?!ふざけるなッ!!こんな堕落に満ちた国、お前達にとっては都合が言いかも知れんが、敵が来たらすぐに占領されてしまうぞ!!」
「メタ、ストップもう良いよ」
「…………チッ……」
メタナイトはカービィにマイクを渡すと近くの木にもたれ掛かる。
「僕は、以上の理由でメタナイトの処刑に反対します」
カービィはマイクをデデデに返すと、処刑台から下りる。
「さっきの意見に賛成のヤツは手を上げろ!」
サッと、住民達が手を上げる。……賛成と言う意味だった。
「では、メタナイトの処刑は処刑しないに決定した!」
デデデがそう言った瞬間、沢山の人だかりから拍手が送られる。
こうして、メタナイトの処刑は幕を閉じたのであった。



おまけ……


ナイトメアのその後……


「じゃあね、ナイトメア」
「うむ、元気にするんだぞ」
そう言って、ナイトメアはスターロッドに吸い込まれていった。


メタナイトのその後……


メタナイトはその後釈放されたが、罪の代わりとしてデデデ城の護衛をやらされたいた。メタナイト達が作ったハルバードはと言うと、今ではプププランドの守護神になっていた。


プププランドの住民達のその後……


住民達はと言うと、今ではカービィに頼っていたが、ポップスター内の争いごとは自分達で解決するようになった。このまま行けばカービィが居なくても乗りきれるであろう。
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