暗黒物質さんの小説

【毛糸の国の大騒動】第11話「カービィと豆の木」


カービィ「……!」

今のカービィの表情には驚愕という言葉が一番合うだろう。

カービィ「でっっかあ!!!!」

カービィは天を見上げて叫んだ。

ワドルディ「まるで昔話ッス…」
グーイ「樹齢何年?」
フラッフ「おっきいね…」

他の3人も同じく。



4人の目の前、そこには巨大な豆の木が生えていた。
まるで天まで続いているかのように、高く大きく。

ワドルディ「これを登らないとッスか?」
フラッフ「多分そうだね。周りに豆の木以外他にないもん…」

カービィ「嘘でしょ…」

グーイ「グダグダ言ってないで行くよ」

グーイは足場もない巨大な豆の木を登り始めた。

カービィ「僕行きたくないぃぃー…」
フラッフ「僕も行く」

フラッフも登り始めた。

カービィ「なんでみんなそんな張り切ってるの…」
ワドルディ「僕も行くッス」
カービィ「やだ待ってぇぇ!!」

ガシッ
カービィはワドルディに抱き着いて引き留めた。

ワドルディ「!ちょっ… なんスか!」
カービィ「2人で待ってようよぉ…」
ワドルディ「なに言ってるんスか?」
カービィ「2人で待ってればあの2人も戻ってくるかもしれないじゃんー…」
ワドルディ「意味わかんないッス。そんな集団心理ないッス。第一、僕登るのイヤじゃないッス」
カービィ「うーそだあっ」
ワドルディ「どっかの誰かさんみたいに、ホバリング使えないから登りたくないとか思ってないッスから」
カービィ「!!」

図星だ。
いつも高いところはホバリングで飛んで行ってたカービィにとって、
「登る」というのはかなりめんどくさいらしい。

ワドルディ「じゃ、僕も行くッス」

ワドルディはカービィの抱き着きを解いて登り始めた。

カービィ「いいもん! いかないもん…!」

もはや意地。



シーン…

誰もいない。例えるなら、孤独。


カービィ「ふぇぇ…」

カービィも登り始めた。








???「おい、ドク」
ドク「わかっておる」

あの4人組だ。

「ドク」と呼ばれる、いかにも博士風な風貌のネズミは
どこからかリモコンを取り出した。
なにやらどこかと通信しているようだ。

ドク「すぐにくる」


フワンフワンフワン…

UFOが現れた。

UFOは4人組のところに降りてきた。

ドク「ほれ。のるんじゃ」
???「さすがだなドク」
???「あいつらみたいに素直に登ってたら日が暮れちまうぜ」

さっきの通信はUFOを呼んでいたらしい。
4人はUFOに乗り込んだ。


???「せっ…狭いっちゅ!」
???「おいストロン! お前また太っただろ!」

まるで満員電車だ。

ストロン「太ってないモ。昨日だって焼肉30人前しか食べてないモ」
???「それが悪いんだよ! 感覚まで太ってんじゃねぇか!」

「ストロン」と呼ばれるネズミはとても大柄だ。
野球部に入部したら間違いなくキャッチャーだろう。

ドク「出発じゃっ!」


4人の乗ったUFOは飛び立った。












カービィ「まだ登んのー…」

フラッフ「全然頂上見えないね…」

4人はまだ登っている。
周りには雲がある。雲の高さまできたらしい。

ワドルディ「もう腕の力がないッス…」
グーイ「僕も疲れたよ…」

最初は張り切っていたグーイも疲れてきている。


そのとき

ズルッ!

ワドルディ「ッス!!!!」

ワドルディが手を滑らせた。豆の木から両手が離れた。

カービィ「あ」
ワドルディ「!!!!」

落下。

グーイ「ワドルディ!!!!」

ガシッ!

グーイが舌をのばしてワドルディを掴んだ。

ワドルディ「! あっ!ありがとうッス!!!!」

危機一髪だ。

グーイ「ファイトーー!!」

グーイが叫んだ。

ワドルディ「へ!? あっ いっぱーーつ!!」

グイーッ!

グーイはワドルディを持ち上げて豆の木に掴まらせた。

カービィ「リポビタンD!!」

ガシッ

ワドルディ「はぁはぁ… 死ぬかと思ったッス……」
フラッフ「あんな状況でもノリいいんだね」
ワドルディ「反射的に出ちゃったッス! グーイ、助けてくれたのは感謝するッスけど、ふざけないでほしいッス!」
グーイ「ごめんごめん。反射的に出ちゃった」

カービィ「鷲のマークの大正製薬です」
ワドルディ「カービィさんもッス!!!!」












フワンフワンフワン…

???「お宝は全部手に入れたな」

UFOに乗っている4人組だ。

???「さすがッチュ団長。高いところからでもお宝見つけるの上手いッチュ」

赤いマントのリーダー格のネズミは「団長」と呼ばれるらしい。

団長「これでも怪盗だからな」
団長「さあドク、あとはゴールに行くだけだな」
ドク「……」

ドクはばつが悪そうにしている。

団長「どうした? ドク?」



フワンフワ… プスン プスンッ… 

団長「まさか…」

ドク「…ガス欠じゃ…」


ひゅううううううううううううううううう…………

4人組「うわああああああああ!!!!!!」










カービィ「まだ頂上つかないの…?」

そろそろ4人とも限界のようだ。

ワドルディ「もうつかれたッス! 雲に乗って休みたいッス!」
カービィ「お それいいね」

カービィの顔が晴れた。

ワドルディ「? 冗談ッスよ?」
カービィ「いやいや 毛糸の世界なんだからただの綿かもよ?」
ワドルディ「イヤッス! もし乗ってみて落ちたらイヤッス!」
カービィ「大丈夫大丈夫 もし落ちたらまたファイト一発してあげるから。グーイが」
グーイ「僕が!?」
ワドルディ「ファイト一発保険があってもイヤッス!」

しばらく見合うカービィとワドルディ。

ワドルディ「なんスか…?」

カービィ「あー!! あれはなんだ!!!」

カービィはワドルディの後ろの雲を指差した。

ワドルディ「なんスか?」

ワドルディが振り向いた。
そのとき

ゲシッ!

ワドルディ「ッス! うわあ!」

ワドルディは何者かに蹴られ、カービィが指差した雲の上に落ちた。

カービィ「なーんだ♪ 乗れるじゃん♪ よっ♪」

カービィは雲に飛びのった。

それを見たグーイとフラッフも雲に飛び乗った。


カービィ「わーい♪ ふかふか♪」

カービィが雲でトランポリンのように遊びだした。

グーイ「ふかふかだね」
フラッフ「初めて知ったよ」

ワドルディ「カービィさん! 蹴ったスね!!」

トランポリンで遊んでいるカービィのところに走ってきた。

カービィ「うん」
ワドルディ「うんじゃないッス!!」
カービィ「まあまあ 結果オーライ♪」
ワドルディ「なにが結果オーライッスか!」



ひゅううううううううううううううううう………




カービィ「ぬ?」
ワドルディ「ッス?」
グーイ「へ?」
フラッフ「え?」



ひゅううううううううう………





ドガッシャアァァァァァァァァァァァンン!!!!!!!!!






カービィ「…は?」
ワドルディ「なんか落ちてきたッス??」



団長「いてててて…」

UFOの中から4人組が出てきた。

団長「ちゃんと燃料確保しておいてくれよドク!」
ドク「ストロンが重すぎるんじゃ…」

???「だ…団長」

小さいネズミが青ざめながら団長のマントを引っ張る。

団長「なんだよ? げっ!!!」


団長とカービィの目が合った。


カービィ「ああっ! ドロッチェ団!!!!」

ワドルディ「ほんとだッス!!」

グーイ「なんでここにっ?」

フラッフ「ドロッチェ団?」
ワドルディ「顔見知りッス」


カービィ「ドロッチェ! なんでここにいるの!?」

赤いマントのネズミはドロッチェというらしい。


ドロッチェ「(まずい…)ん? いや お前と同じく、たまたま吸い込まれただけだ」

もちろん嘘である。
意図的にカービィについて来たのだ。

カービィ「なーんだ じゃあ一緒にあの魔法使いやっつけようよ!」

カービィはまんまとだまされた。
ほかの3人もなんら疑っていない。

ドロッチェ「(ふう…危ない危ない…。お宝のことはバレてないから、あとは別行動になるように会話で誘導すれば…)」

ドロッチェ「ああ… 気持ちはありがたいが別々に…」


ドロッチェがうまく誘導し始めたとき、ストロンが突然口を開いた。


ストロン「そうなんだモ! 別にカービィについていけば新しいお宝が見つかるかもとか、今までこの世界のお宝を全部横取りしてたとか、そんなこと全然ないんだモ!!」

ドロッチェ「!!!!」




第12話に続く!!
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