矢五さんの小説

アドとアドレーヌの対決・後編


その日の夕方
夕焼けの赤色に染まり始めたアトリエの窓辺の雲の上で
アドとアドレーヌは二人で座りながら話をしていました。

「‥アドは私が紅葉した森が好きだって事、どうして分かったの?」
「カーくんに聞いたの、アドレーヌちゃんは秋の紅葉した森が
一番好きな場所なんだよって」

そう言ってアドは後ろに手を回すとその後ろで先程のお詫びとして
新しく二人に描いてもらったトマトを美味しそうに食べていた
カービィの頭を優しく撫でると少し照れくさそうにまた言いました。
「急いで描いたからちょっと雑な部分もあったかもしれないけど‥
アドレーヌに喜んで欲しくて頑張って描いたんだ…」
「ううん、雑なんてそんな事無いよ!アドの描いた紅葉は凄く綺麗だったよ」
自分の作品に少し自信が無さそうに話すアドに
アドレーヌは先程、自分がアドの作品を見て思った事を正直に伝えました。

「私がこの星に来て見た中でも、アドの描いた紅葉はかなり印象に残る
綺麗な物だったよ」
「本当!?…良かった…」
アドレーヌのその言葉を聞いてそれまで曇っていたアドの表情も
パッと明るくなりました。

「‥私、きっとやきもち妬いてたんだと思う、あなたにも
あなたが作る作品にも…」
「…私も、自分が来る前からカーくんやデデの旦那、この星の皆と仲良しで
私には無い才能を持ったお姉さんみたいなアドが傍に居て
嫉妬しちゃってたんだと思う…」

暫くの沈黙の後、二人はそう言って、それまで見ていた地上の景色から
目を離すと隣に座っているお互いの顔を見て、クスッと笑い合いました。

「…何で私達ってこんなに似てるんだろうね」
「双子って訳でも無いのにこんなに見た目がそっくりで同じ力を持ってて
この大きな宇宙の同じ星に絵の勉強に来て、一緒に居るってよく考えたら
凄い事だよね…」

この広い宇宙で奇跡的な偶然が重り、出会った自分と瓜二つの双子の様で
今まで中々、相容れなかった二人は気がつくとこの短い話し合いの中で
同じ趣味と特技を持つ者としてお互いの事を認め合い、自分や相手の長所や
弱点を見つけてアドバイスを与えたりフォローしたりすることが出来る
とても仲良が良い関係になっていました。

「‥折角だからさ、これからは作品作りに悩んでも一人で考え込まないで一緒に絵を描いていこうよ」
「うん、アドレーヌもこのアトリエに何時でも来て良いからね…」
そう言って二人は再び握手を交わして
今日、この場で始まった、お互いの友情を改めて再確認しました

「‥アドちゃんもアドレーヌちゃんも仲良くなれたみたいで本当良かったね!」
そして、二人の後ろでトマトを食べながら様子を見ていたカービィも
二人の仲が良くなった事が分かるとアドとアドレーヌの間に入って
笑顔で彼女達の顔を見ました。

「‥有難う、カーくん、私達の仲を取り持ってくれて」
「これから私達、普通に仲良く出来そうだよ!」
アドとアドレーヌの二人に立て続けに頭を撫でられながら
お礼を言われてカービィは先程、自分が食べていたトマトの様に顔を真っ赤にして言いました。
「アドレーヌちゃんもアドちゃんも僕、大好きな友達だから
二人が仲良くしていってくれたら嬉しいよ!」
「もちろん!私もカーくんやアドとずっと仲良くしていきたいから
これからも宜しくね!」
アドレーヌはそう言ってそのままカービィをぎゅっと抱え上げて
立ち上がりました。
「よーし!決めた、二人共、今晩は私が夕食、ご馳走してあげるから私の家に来て」
その隣で二人の事を見ていたアドはすっかり日が沈んで
夜が近づきつつある空を見て元気よく立ち上がって
二人にそう言うと自分の家までの道を先陣を切って歩き始めました。

「‥じゃあ、行こうかカーくん」
「うん!」
そして、そのアドの後をアドレーヌとカービィも追いかけていき
夕焼けに染まる雲の上の道を三人はアドの家まで並んで歩いていきました。
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