つばささんの小説

【銀河にねがいを☆彡】24.ハーフムーン


 
【ハーフムーン】

カービィは涙を流しながら、真っ暗な世界の中で強風に飛ばされていた。
空にはたくさんの星が瞬いている。

飛ばされていくカービィの後ろを、マルクが猛スピードで追ってくる。
「待てー!待つのサー!!」
しかし、カービィはマルクの声にピクリとも反応しなかった。
「ねぇゼロ、もうやっちゃっていい?このままじゃ追いつかないのサっ!」
マルクはそう言ってカービィに杖を構えた。
『ばか!それをやるとデラックスストーンも壊れると言っただろうが。本来のお前は三流魔法使いだ、忘れたか。』
赤い目玉が言った。
「ボ…ボクが三流魔法使い!?なんてこと言うのサ!!え〜い、カービィを殺すのサー!!」
マルクはカービィに杖を構え、黒いエネルギーを放った。

すると、突然カービィの目の前に鏡が現れ、カービィはその中に吸い込まれた。
≪パリーン≫
マルクの攻撃を受けた鏡は粉々に砕けた。
「あれっ、カービィはどこに行ったのサ!?」
マルクは叫んだ。


カービィは気がつくと、静かな宇宙空間に散りばめられた星くずの上に立っていた。
カービィは不思議そうに辺りを見渡した。

すると、カービィは土星のような星のリングの上に、ワドルドゥがいるのを見つけた。
「ワドルドゥ!!」
カービィは無我夢中でワドルドゥのところへ飛んでいった。

「あれ…?」
そこにはワドルドゥではなく、ワドルディがいた。うつろな目をして たたずんでいる。
「…お兄ちゃんはもういないっスよ。マルクに殺されたっス。」
ワドルディはつぶやいた。
「えっ…そんな…」
カービィは頭の中が真っ白になった。

「チリーも殺されたってほんとっスか…?なら、おいらも死ぬっス…さよなら、カービィ。」
ワドルディはそこから飛び降り、深い闇の中へ落ちて消えていった。


「起きなさい、カービィ!」
カービィは杖のような物で叩かれて飛び起きた。

「ゆ…夢…?」
カービィは汗びっしょりになって、心臓がドキドキしている。
「やっと気付いたね。」
星のかけらが集まってできた小さな空間に、手にロッドを持った魔女がいて、倒れたカービィをのぞき込んでいる。

「きみ…だれ?」
カービィはつぶやいた。
「あたしはシミラ。あんた、ずいぶんうなされてたねぇ。」
シミラは言った。
「ぼく、とっても辛いの…チリーが死んじゃって…ワドルドゥも…」
カービィはまた泣き始めた。
「おやおや、ワドルドゥは生きてるよ。」
シミラは言った。
「えっ、ほんと?」
カービィは叫んだ。
「あたしの鏡は真実を映すんだよ。だから分かるのさ。」
シミラは言った。
「へえ〜、すごーい!」
カービィは言った。

「…あたし達がここに隠れてるのがマルクに見つかるのも、時間の問題だ。早く願いの泉を元に戻しに行くよ。」
シミラは言った。
「でも…外に出てマルクに見つかっちゃったらどうしよう?」
カービィは不安げに言った。
「ミラー能力を装備していけばいいよ。いざという時に、分身で惑わすことができるからね。」
シミラは言った。

「あ、そういえば、ぼくこの石でどんな能力も使えるんだった。」
カービィは七色に輝く石を見つめた。
すると、カービィの脳裏に突然チリーの姿が浮かんだ。
「う…チリー…」
カービィの目から涙が溢れだした。

デラックスストーンはそのままチリーの姿を映し出し、青く輝きだした。
カービィは青い光に包み込まれると、アイス能力の姿に変身した。

「……」
カービィはデラックスストーンをしっかり抱きしめたまま動かなくなった。
「…今は仕方ないね。もう少し休んでおいき。」
シミラは言った。


シミラはカービィを元気づけるために、たくさんのお話を聞かせた。
カービィはシミラの話を聞いているうちに、少しずつ元気を取り戻してきた。

「じゃあ、次のお話。これは最近のことなんだけどね、あたしはある青年を占ってやったんだよ。オレンジに燃える立派なたてがみをしていた。」
シミラは話し始めた。
「へぇ〜。」
カービィは言った。
「彼には幼なじみのコンドルがいたんだけど、ある日彼女が見ず知らずの少年から、突然告白されたんだと。」
「そうなんだぁ〜。」
カービィはお話の世界に入り込んだ顔をしている。
「彼女は断ったらしいけど、その青年は相手が誰だったのか知りたいと言ってきた。」
「へぇ〜…」
カービィは言った。
「それがマルクだったのさ。」
シミラは言った。
「えっ、そうなの?」
カービィは驚いて言った。

「あたしはその青年のために、マルクのことを詳しく調べてやったよ。…すると、マルクは彼女に振られたのは自分に力がないからだと思い込んでて、強さを求めていたのさ。」
シミラは言った。
「そのうちにマルクは全てのものを自分の支配下に置いて、思い通りにしてみたくなったんだろう…。」
「そうだったんだぁ…」
カービィはつぶやいた。
「そんなマルクの弱い心に邪悪な者が入り込んで、こんなことになるとはねぇ。」
シミラはつぶやいた。
「…よし、そろそろ行けるかい?」
「うん!」
カービィは立ち上がり、2人は外へ出ようとした。

その時、上の方から小さな物音が聞こえてきた。
「おや?そこに誰かいるね。」
シミラはそう言ってロッドの先を宙に向けた。
すると、壁に張り付いたバイオスパークが麻布をはぐって現れた。

「わぁ!」
カービィはびっくりして叫んだ。
「見つかってしもうたか。しかし面白い話を聞かせてもらった!」
バイオスパークはそう言って2人の前に降りてきた。
「バイオスパークじゃないか。あんたもマルクから隠れてたのかい?」
シミラは言った。
「いや、拙者は先ほどそのマルクという者に会って、カービィを見つけたら教えてほしい、見つけ出せばポップスターに帰してやるなど申しておったので、報告にきたのじゃ。」
バイオスパークは言った。
「そんなぁ…」
カービィはつぶやいた。

「ここにはくせものが大勢おるのか?」
バイオスパークが言った。
「大勢じゃない。あたしの占いによると、この星にいるくせものはマルクだけだ。」
シミラは言った。
「えっ、そうなの?」
カービィは言った。
「バイオスパーク、あんたもこの星の呪いを解くの手伝ってくれるだろ?」
シミラは言った。
「勿論でござるぞ!」
バイオスパークは言った。


3人は星くずの小さな部屋から外へ出た。
辺りは暗い荒れ野が広がっている。空はたくさんの星が輝いているが、近いものは手が届きそうなぐらい大きく、静かで幻想的な世界だ。

「これからどうする?」
カービィは言った。
「あたしに任せな。」
シミラは目の前に大きな鏡を作り出し、何やら呪文を唱え始めた。
「シミラ殿、まじないか?」
バイオスパークは言った。

シミラが呪文を唱え終わると、鏡の真ん中に小さな赤い星が映し出された。
「あっ、なんか映った!」
カービィは興味深そうに鏡の中を見つめた。
すると、赤い星の周りにたくさんの星が映し出され、赤い星を中心にゆっくりと回転し始めた。

「北極星の暗示だ…。北へ向かえば希望があるみたいだよ。」
シミラは言った。
「北へ行けばよいのでござるな…?」
バイオスパークはシミラの占いが信じられないようで、そわそわしている。
「あたしの占いは外れたことがないんだよ。」
シミラはそう言って真北の方向へ歩きだした。

カービィは、赤い星はマルクの不吉な暗示ではないかと心配したが、シミラがあまりにも余裕な表情なので黙ってついていくことにした。


カービィたちが歩いていると、奇跡はすぐに起こった。

「え…?」
なんと、目の前にワープスターが乗り捨てられていた。それもカービィがよく知っているものとは違い、赤く大きいものだった。
「こんなワープスター初めて…」
カービィはワープスターを触りながら不思議そうにつぶやいた。
バイオスパークはシミラの占いが当たったことに驚いて、まさに開いた口が塞がらない、あの状況になっていた。

「それにしても、こんな所にワープスターが落ちてるなんて変だねぇ…あたしがマルクだったら、飛んできた住人が逃げちまうから撤去するところだよ。」
シミラは言った。
「マルクの罠だと思うか?」
バイオスパークは言った。
「本物のワープスターなら、ぼくの言うことを聞くはずだよ!」
カービィは言った。
「ではカービィ殿、こいつを光らせてみなされ。」
バイオスパークは言った。
「うん、分かった!…光れ、ワープスター!」
カービィは叫んだ。すると、ワープスターはカービィの声に答えるように赤く光り始めた。
「本物と見なして大丈夫かい?」
シミラは言った。
「うん!たぶん大丈夫だよ!」
カービィはそう言って大きなワープスターに乗り込んだ。

「ねぇワープスター、ぼくたちを黒いものがある所に連れてってくれる?」
ワープスターはカービィの声に反応してもう一度赤く光った。

シミラとバイオスパークもワープスターに乗り込むと、ワープスターは3人を乗せて星空の中に飛び込んでいった。
 
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