その頃、カービィ達は大きな雲の迷路の中にいた。 辺り一面が白い雲で覆われ、カービィ達は完全に迷い込んでしまった。 「ここ、どこ〜?」 カービィはうなだれた。 「積乱雲の中に入り込んだようだな。」 ブレードナイトは言った。 「ぼく、もう歩けない…。」 カービィは疲れてその場に座り込んでしまった。 「カービィ、大丈夫か〜?」 ウィリーはカービィをのぞき込んだ。 「おなかすいた…」 カービィは完全に伸びてしまった。 「カービィ、こんな所まで私達を連れてくるのは大変だったな。少し休んでいこう。」 ブレードナイトは言った。 「えーっ!俺じっとしてらんねぇタチでよぉ〜。ま、エンジン切りゃ別だけどな!」 ウィリーは言った。 「そうか。」 ブレードナイトはそう言うとウィリーのエンジンを切った。 「オヤスミ。」 ウィリーはおとなしくなった。 カービィとウィリーが眠り込んでいる間も、ブレードナイトはカプセルJたちのことが心配で仕方がなかった。 それから5分ほどたった時、カービィ達の周りの雲がみるみる黒くなっていった。 「!?」 ブレードナイトはカービィ達の近くに立ち、警戒した。 すると、薄暗い雲の中をピカッと稲妻が走った。 ブレードナイトはウィリーのエンジンをかけた。 「…おっ?」 ウィリーは目を覚ました。 「頼む、私とカービィを乗せて行ってくれないか?ここにいるのは危険だ!」 ブレードナイトはカービィを抱えてウィリーに乗り込んだ。 「軽く重量オーバーだけどよ。行くぜっ!」 ウィリーはブレードナイトとカービィを乗せて猛スピードで走り出した。 後ろから稲妻がウィリーに迫ってくる。 「ふほほ、最高の気分だぜっ!」 ウィリーは道という道を突っ走っていった。 すると、前方に光が見えてきた。 「ひゃっほーい!!」 ウィリーは雲の中から飛び出した。 真っ青な空が視界に飛び込んできたかと思うと、ウィリーは近くの雲の上に落下した。 その衝撃でカービィとブレードナイトはウィリーから振り落とされ、雲の中にうもれた。 「あれ…?ここはどこ?」 カービィは目を覚ました。 「なんとか切り抜けたな。ありがとよ、ウィリー。」 ブレードナイトは言った。 「ねぇねぇ、あんな所に大きなお城があるよ!」 カービィは、先ほど飛び出してきた大きな雲の峰にお城が建っているのを見つけて指さした。 「本当だな。あそこにポップスターの住民がいるかもしれないぞ。」 ブレードナイトは言った。 「もいっちょ行くか?」 ウィリーは言った。 「そうだな。乗せていってもらえれば助かる…。」 ブレードナイトはさっきの暴走で少し気分が悪くなっていたが、またウィリーに乗り込んだ。 「ゴー!」 ウィリーはブレードナイトを乗せてお城の方に向かって猛スピードで走り出した。 「あっ!待ってよぅ〜!」 カービィは慌てて2人を追いかけた。 カプセルJとバードンは、大きな螺旋階段を飛び越えてクラッコから逃げ回っている。 ワドルドゥとワドルディの絵画が金縁に入ってたくさん飾られている。 「キミ、何でここに入っちゃったの?出られないのに。」 カプセルJは言った。 「だって、アンタのこと放っておけなくて…アンタこそ何でここに入っちゃったのよ?出られないのに。」 バードンが言った。 「分かんない。」 2人は狭い寝室に入り込んでしまった。 「あっ!どうしよう!逃げられないよ!」 カプセルJはパニックになった。 「追い詰めたぞ…覚悟!!」 クラッコはバードンを睨みつけた。クラッコの目がピカッと光った。 「あっ、あっ、危ないっ!!」 カプセルJはバードンの前に飛び出していった。 「きゃあー!!」 バードンは悲鳴を上げた。 カプセルJは雷を受け、その場に倒れ込んだ。 ドーン!という爆音が部屋の中に響いた。 「やだ…アンタ…しっかりしてよ…」 バードンは泣き出してしまった。 「次はお前だ!」 クラッコはもう一度雷を落とそうとしたが、バードンは素早く宙に舞い上がり、クラッコの真下をくぐり抜けて反対側へ飛び出した。 「すばしっこいやつめ!」 クラッコは憤慨した。 クラッコは大広間でバードンを追い詰めると、体からトゲを出してバードンに体当たりしてきた。 「きゃぁ!!」 バードンは壁に叩きつけられた。 (うっ…あたしは、ここで死ぬの?もしあたしが死んじゃったら…みんなが悲しむ…バーニンレオも、ワドルドゥも、チリーも…そんなのイヤ!!なに弱音吐いてんのよ、あたし!頑張んなきゃ!!) バードンは顔を上げて起きあがった。 「あたしはまだ死ぬわけにいかないのっ!」 バードンは叫んだ。 「ならば、おとなしく私の言うことを聞くのだ…!」 クラッコは言った。 その時、正面からウィリーが飛び込んできた。 「いよぉー!!」 ウィリーは叫んだ。ブレードナイトはウィリーから振り落とされ、床に落ちた。 「も〜!置いてかないでよぉ!」 カービィは2人に追いついて叫んだ。 「カービィ!」 バードンは叫んだ。 「来たな、ホイールの能力…お前を待っていたぞ。」 クラッコは言った。 「クラッコ!?ワドルディが見たというのは本当だったのか。まさか、こいつが…?」 ブレードナイトはつぶやいた。 クラッコはカービィ達に向けて雷を落としてきた。 「キャ〜!!カミナリ〜〜!」 カービィは飛び上がってウィリーにしがみついた。 「ウィリー、クラッコはお前を狙っているのだ。逃げろ!」 ブレードナイトは叫んだ。 「なんだかよく分かんねぇけど?ま、いいや。まだまだ走り足らねぇんで!行くぜっ!」 ウィリーはカービィを乗せて暴走し始めた。 「ここから逃げ出せるとでも思っているのか?」 クラッコは猛スピードで走るウィリーを追いかけ始めた。 ブレードナイトとバードンはその場に残された。 「バードン、クラッコはマルクという魔法使いに操られているのだ。」 ブレードナイトは言った。 「マルク…?あ、そういやあの人、そんなこと言ってたっけ。」 バードンは言った。 「この広い城のどこかに、クラッコを操っている黒く光るものがあるはずだ。バードン、クラッコがウィリーを追いかけている間に、私達はそれを探そう!」 ブレードナイトは言った。 「そうなの?じゃ、手分けして探しましょ!」 ブレードナイトとバードンは黒く光るものを探し始めた。 「ひょー!たまんねぇぜ!!」 ウィリーは最高速度で城の中を突っ走った。 「ウィリー、落ちちゃいそう〜!」 カービィは両足が宙に浮き、必死でウィリーにしがみついている。 「カービィ、俺たちは『絆』っちゅう見えない糸で結ばれてんだ。だから、落ちることはねぇ!」 ウィリーは言った。 「そうなの?分かった。」 カービィは納得した。 ウィリーはカプセルJのいる寝室に飛び込んだ。 「もう逃がさんぞ…」 クラッコは2人を追いつめ、睨みつけた。 「ぎゃあ〜!!また来たぁ!」 カプセルJは悲鳴をあげた。 「あん?お前も狙われてんのか?じゃぁ俺に乗んなっ!」 ウィリーは言った。 「えっ、どうやって?カービィが乗ってるのに…。」 カプセルJは言った。 「何とかして乗れっつーの!死んじまうぞっ!」 ウィリーは叫んだ。 「ひ〜〜!」 カプセルJはカービィを抱えて急いでウィリーに乗り込んだ。 「あばよっ!」 ウィリーはそう言うと、猛スピードで部屋を飛び出した。 「ちょこまかとすばしっこい奴らめ!」 クラッコは憤慨した。 |
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