つばささんの小説

【銀河にねがいを☆彡】3.フロリア


 
《フロリア》

カービィはフロリアに到着した。そこはポカポカと暖かい草原で、湖の向こうにはたくさんの桜の木が花を咲かせ、一面に美しいピンク色が広がっている。
「ここは、春なの…?」
カービィはつぶやいた。

その時、カービィを呼ぶ声がした。
「カービィ!」
カービィが振り向くと、鋭い金属のよろいをまとった住人がこちらにきた。
「君は…誰だっけ?プププランドの住人だよね?」
カービィは言った。
「俺はサーキブルだ。」
サーキブルは言った。
「カービィ、よく聞け。俺はこの星に飛ばされてきたのだが、他にもこの星へ飛ばされてきた奴がいるようだ。よく見えなかったがそいつらは森に落ちたようだ。」
サーキブルは言った。
「えっ、そうなの?じゃあその人達を探しにいこう!」
カービィは言った。

「それからカービィ、これを見ろ。」
サーキブルは地面を指さした。そこに赤い大きな玉が埋め込まれている。
「わぁ、きれーい!サーキブル、これなぁに?」
カービィは言った。
「これに触れると、この星の季節が変わるようだ。」
サーキブルは足で赤い玉をつついた。
すると湖の向こうのピンク色が突然深い緑色に変わっていき、気温はぐっと上がり、日が照りつけた。
「うわぁ!夏になっちゃった!?」
カービィは驚いて言った。

すると、サーキブルが言った。
「この星には、このような玉が至る所に埋まっているようだ。カービィ、あの湖を見ろ。」
カービィは湖の方を見た。
「あの湖を渡るにはどうすればいいか分かるか?」
サーキブルが言った。
「えっと…泳ぐ?」
カービィが言った。
「もっと簡単な方法があるぞ。」
サーキブルはそう言って、地面に埋まっている赤い玉を2回つついた。
すると一面に萌える緑の葉がどんどん赤やオレンジに色づいていき、空気も冷たくなっていった。やがて葉は枝から落ち、雪が降り始めた。底冷えする寒さの中、湖が真っ白に凍りついた。
「冬になっちゃった…。」
カービィは言った。

「森へ行くには、この季節の変化をうまく利用するのだ。小さな川なら夏には涸れ、冬は凍る…というふうに、地形も変わるからな。」
サーキブルは言った。
「よしっ!じゃあ湖を越えて森へ行こう!」
カービィは赤い玉を足でつついた。
すると辺りは春になり、湖の氷が溶けだした。
「だから〜、それじゃ湖を渡れないだろ!」
サーキブルは呆れて言った。


鳥の鳴き声ひとつしない静かな森の奥で、大きな2本のリンゴの木だけがゆさゆさと騒がしく揺れており、たくさんの葉っぱが乱れ散っている。
その木の根元から大きな叫び声が聞こえてくる。

「放せー!!」
この銀色のナックルにふさふさの金髪をした住人は格闘技の使い手なのだが、体中を木の根っこで縛られていて身動きがとれないようだ。
「あ〜、うるさい奴だぜ。少しはおとなしくしてろ!」
手前側のリンゴの木が言った。
「俺をどうするつもりだよ!?」
ナックルジョーが叫んだ。
「お前はマルク様のお願いごとを叶えて差し上げるために必要なんだよ。」
もう片方のリンゴの木が呆れて言った。
「マルク様?なんだそれ。そいつと俺に何の関係が…ぐはっ!」
ナックルジョーは地面に叩きつけられた。
「あー!教えてやるよ。だからもうちょっと静かにしろ!」
リンゴの木が言った。

「俺達はマルク様の全宇宙支配のお望みを叶えて差し上げるために、惑星を繋がなければいけない。そのためには、それぞれの星に必要な『能力』がいる。」
「はぁ?何だよそれ。」
ナックルジョーは言った。
「この星を隣のアクアリスと繋ぐためには、アイス、ファイター、カッターの能力が必要だ。」
もう1本のリンゴの木が言った。
「なにー!!」
ナックルジョーが叫んだ。
「それじゃあ俺は、そのマルクってやつの宇宙支配を手伝うための道具ってわけか?絶対許さねー!!うっ…」
ナックルジョーは強く締め付けられた。

「あ〜、俺うるさいやつは大嫌いだ。マルク様さえ許せばお前を黙らせてやるんだが。」
手前のリンゴの木が言った。
「お前ら、なんか変だぞ?まるでこう…操られてるような…」
ナックルジョーは言った。
「でもでも、アイスとカッターもいるんだろ?俺だけ捕まえたってどうせ…」
その時、ガサッという落ち葉を踏む音がした。
「だれだ?」
2本のリンゴの木は顔だけを音の方向に向けた。
「おい、おまえら…」
そこにはチリーがいた。

「チリー!何でお前がここにいるんだよー!?」
ナックルジョーはびっくりして叫んだ。
「そいつは俺の友達だ。放してもらおうか。」
チリーは言った。
「来たな、お前がチリーか。飛んで火に入る夏の虫、お前も捕まえてやる!!」
リンゴの木は根っこを伸ばしてチリーを捕まえようとしたが、チリーは体から鋭い冷気を発して根っこを打ち破った。
更に落ちているリンゴを手当たり次第凍らせ、木にぶつけ始めた。

そのうちの一つがナックルジョーに当たってしまった。
「痛てェ!!」
ナックルジョーは叫んだ。
「あ、ごめん。」
チリーは言った。
「こいつ!捕まえられないのか?兄貴どうしよう?」
片方のリンゴの木が言った。
「しょうがない、抵抗できなくなるまで痛めつけてやる!!」
兄のリンゴの木はチリーの真下から太い根っこを掘り出した。
「わっ!」
チリーは根っこに突き上げられ、ころんでしまった。
その次の瞬間、チリーは巨大な根っこで叩きつけられた。
「チリー!大丈夫か!?」
ナックルジョーは慌てて叫んだ。
「大丈夫…」
チリーはうめいた。
「チリー!くるぞ!」
チリーは再び襲ってくる根っこを鋭い冷気を放って打ち壊そうとしたが、根っこが太すぎてそれが出来なかった。チリーは再び巨大な根っこに叩きつけられた。
「やっ、やめろお!!」
ナックルジョーは叫んだ。


カービィ達が森の中を進んでいると、大きな叫び声が聞こえてきた。

「カービィ、今の聞いたか?…」
サーキブルがカービィの方を振り向くと、カービィは赤い玉を踏んづけたまま小さな川の中で凍りついていた。
「まったく!世話のヤケる!」
サーキブルは足下にあった赤い玉を踏んで季節を春にし、川の水を溶かした。
「あ〜、助かった!」
カービィは言った。
「カービィ、向こうで誰かが叫んでるぞ。早く来い!」
サーキブルはそう言って森の奥へ走って行った。
「待ってよぅ〜!」
カービィは急いでサーキブルを追いかけた。


カービィがサーキブルを追いかけてしばらくすると、サーキブルが突然立ち止まった。
「どうしたの?」
カービィは言った。
「しー…、カービィ、あれを見ろ。」
サーキブルは小声でそう囁き、リンゴの木の方を指さした。
「わっ!住民たちが!?」
カービィは倒れているチリーと縛られているナックルジョーを見て叫び声をあげた。
「ばか!大声をだすな…」
サーキブルは言った。

「いいか…カービィ、お前はおとりになってあいつらを引きつけろ。その間に俺はナックルジョーを助けだす。」
サーキブルは言った。
「えっ?ぼくおとり…?」
カービィは言った。
「そうだ。嫌か?」
サーキブルは言った。
「ぜんっぜん嫌じゃないよ!」
カービィはぶんぶんと首を横に振って否定した。
「それじゃ、早く行け!」
サーキブルはそう言ってカービィの背中を押した。
 
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