啓太さんの小説

【カビワド日記】第9話



「ぼくはそんなことしないよ!」

思わず叫んでいた。
みんなの夢をめちゃくちゃにするなんて、
そんなのぼくにできるはずがない。

「おまえにその気はなくてもな、
 お前の存在自体が悪なんだ。」

・・・な?
そんなこと言われたのは、今が初めてだった。
だって、今までだって困ってた人たちを助けてきたし…。
ぼくは悪いことなんてしたことはないし、
これからだってするつもりはないんだ。
それなのに・・・。

ぼくが黙ってしまうと、、
ワドルディが、きっ、とシルクをにらんで言った。。

「さっきからわけのわかんないことをごちゃごちゃと。
 あんたはどうしても、カービィを悪者にしたいみたいだけど、
 あたしからしたら、あんたのほうがよっぽど悪者よ!」

「あれ?お嬢さんはそいつの味方なのかい?」

「あんたと比べたら、ずっとまともでしょ。」

シルクはまたにやりとして言った。

「カービィ。お前には夢があるか?」

突然のぼくへの問いかけ。
ぼくの夢・・・。

あれ、ぼくの夢は・・・。

「ないんだろ?お前には夢が。」

答えられない。
ぼくの夢は・・・、夢は・・・。

カマーならぼくの夢、わかるかな?
そう思って、振り返ってみたけど、
カマーはじっとぼくの顔を見ているだけだ。

それはそうかもしれない。
自分でもわからないことを
いくら妖精だって知っているはずがない。

「答えられないみたいだな。」

「それがどうしたっていうのよ。」

「夢を持たないよそ者が、この村に来るとな、
 この村のバランスが崩れるんだよ。」

だから・・・みんなの夢がめちゃくちゃになるから・・・。
だから・・・ぼくを倒す。

「そんな話、誰から聞いたのよ。」

「お嬢さんたちに話すことじゃないさ。
 ただ一つ言えるのは、カービィを倒して
 連れていくことが、オレのヒーローへなる道ってとこだ。」

「連れていくってどこに?」

ぼくがそう聞くと、シルクはおおげさな
「しまった」という顔をした。

いったいどこだっていうんだろう。
でも、想像したくない。そんな未来なんか考えたくない。

「ちょっと、あんた妖精なんでしょ?
 あいつの言っていることはなんなのよ!」

「あの子の言っていることは本当よ。
 もしも、夢をもてないものが本当にいるのなら、ね。」

カマーは真顔でぼくを見つめたまま、そういった。

え?
それってつまり・・・

「ははは!やっぱりカービィ、お前はこの村にとって悪なんだ。」

「それじゃあ、カマー、どうしてぼくに助けをもとめてきたの!?」

「あなたも夢を持っていると思ったからよ。当然ね。」

そんな・・・。
それじゃあ、やっぱりぼくが悪者ってことなの?
いやだ・・・いやだよ。

「よーし、カービィ!おとなしく、オレに倒されろ!」

「・・・ぼくは・・・。」

そのとき、何かが、ぱこん、と大きな音を立てた。
見ると、シルクが頭を押さえて痛がっている。

「え?」

ワドルディは石ころを持っていた。
さっきのも、どうやらワドルディの一発だった。

「ワドルディ…?」

ふう、と息をはいてワドルディは言った。

「もう、頭にきた・・・。
 カービィ、あんたが倒されるのは何が何でも阻止させてもらうわ。」

そう言って、ワドルディは自分の名前を言ったときと同じ、
元気な笑顔でぼくに笑った。


つづく