啓太さんの小説

【カビワド日記】第6話



「ゆめのこころはね、この村のみんながもってるものなの。」

「あ、あたしも!?」

ワドルディはとても驚いているようだった。
ぼくも、ちょっと意外でびっくりした。
いつもだったら、そういうものは
いろんなところに散らばっていて
それを集めていたりしたんだけど。

「ワドルディ、あなたにも夢があるわよね。」

「え、・・・うん、そりゃあ、あるけど。」

突然聞かれて面食らいながらも、
ワドルディは答えた。

「その夢への思いが、ゆめのこころ、とよばれるものってわけ。」

そうか、みんなが心の中で持ってる夢、
それが「ゆめのこころ」なんだ。
・・・そう考えるとそのまんまな名前なんだな。
・・・でも。

「この村のみんながもっているっていうのはわかったけど、
 でも、それをどうやって集めていったらいいの?」

「それはカマーがやるんじゃない?
 だって、一応妖精なんでしょ?」

「一応って何よ、一応って!
 ・・・取り出すことはできるわよ。
 ただ、取り出すためにはね、
 ちょっとした条件があるのよ。」

「そういうときって、たいてい『ちょっとした』じゃ、
 すまないものなのよね。」

ワドルディは、冗談のつもりで言っていたんだと思う。
でも、カマーがぎくりとしたのがわかってしまった。
ぼくもそんな簡単に済む問題ではないんだろうな、
とはおもっていたけど。
カマーは気にしていないふりをして続けた。

「ゆめのこころを取り出すためにはね、
 心を開いてもらう必要があるのよね。」

心を開いて?
なんだかよくわからない。
ぼくが聞く前にワドルディがちょっぴり
いらいらした様子で聞いた。

「はぁ?どういうことよ。」

「夢を持つっていうのはね、すごく大切なことなのよ。」

「わかりにくいわね。具体的にどうしろっていうのよ。」

カマーはそれからいろいろ説明してくれたけど、
夢っていうものが、目に見えるものでないだけに
説明に苦労しているみたいだった。

でも、なんとなくわかる気もする。
その人にとって、大事でなくしちゃいけない気持ち。
それが夢なんだ。

心の奥で大切にしまっているもの。
だから、そんなに簡単に取り出せないんだと思う。

それなら、ぼくがその心を開いてもらうには…

「ぼくがその人の友達になったら、
 心を開いてくれるのかな?」

「ええ、それが一番だと思うわ。
 さすが、カービィ。よくわかってるじゃない。」

カマーがほめてくれた。
でも、その横でワドルディはちょっと曇った顔で言った。

「それはちょっと単純じゃないの?
 友達になったって、それがイコール心を許せるって
 ことじゃないと思うし・・・。」

「・・・まぁ、そう簡単ではないでしょうね。」

確かに難しいかもしれない。
いろんなひとがいるから、なかなか友達になってくれない人も
いるかもしれない。
友達になれても、どこまで仲良くなれるかはわからない。

・・・そもそもどこまでが友達っていうんだろう。
そういえば、ぼくはそのことを深く考えたことがなかった。

わからない。
だけど、ぼくができること、ぼくがやりたいことは…。

そして、ぼくははっきりと言った。

「ぼくはみんなと友達になりたい!」


つづく