啓太さんの小説

【カビワド日記】第2話


サンドイッチをほおばりながら、
ぼくはカマーの話を聞くことにした。

カマーは体が小さいので、
サンドイッチをさらに小さく切ってあげることにした。
ただ、ぼくは不器用だったからちょっと崩れちゃったけど。
ちょっと不安そうな顔をすると、
カマーはぱくっと食べ始めた。

「うんうん。形は悪いけど味はいけるじゃない!
 特にこのトマト絶品ね!」

「えへへ。よかったぁ。」

トマトはぼくの大好きなトマトを使ってる。
そのまま食べてもおいしいし、こうやってパンにはさんで
サンドイッチにしてもすごくおいしい。
カマーが喜んでくれたからぼくもほっとして食べ始めた。

「あ、そういえば、ぼくに何か用があったの?」

「そうよ!!」

カマーは突然とびあがった。
その拍子にぼくの顔にサンドイッチにはさんでたレタスが
ぴったりとはりついた。

「うわぁっ!!」

「きゃー、ごめんなさい!!」

どたん!ばたん!
前が見えないままじたばたしたらいろんな音が聞こえてきた。
がしゃん!ぼたぼた!
ようやくレタスがとれた。

「うわぁ・・・」

とれたときにはお家の中がすごいことになってた。
おそうじしないと・・・。

「本当にごめんなさい。こんなつもりじゃぁ・・・」

わたわたとカマーはぼくにあやまってくれた。

「気にしないで。あとで掃除するから。それより、話を聞かせて。」

さっきのとびあがった様子だと、結構大事な話な気がする。
お掃除してる場合じゃないんじゃないかな?
そう思ってぼくは、カマーの話を聞いてみることにした。

「私はね、カナエ村っていうところからきた妖精なの。
 ここからはすごく遠いところにあるんだけどね。」

そういってカマーは自分のことを話し始めた。

こことは違う星のどこかにカナエ村っていう場所があって、
カマーはそこで、妖精として村をずっと見守ってきていたらしい。
普段は誰の目にも見えない存在だったらしいけれど、
ぼくに助けを求めて実体化してやってきたということだった。

そして、カマーはあるものをつかさどる妖精だった。
それが・・・


「夢?」

「そうよ。あ、夢といっても夜寝てる時に見るほうじゃなくて、
 みんながなりたいと思うもの、やりたいと思うもの。
 そういう希望や願いを表す方の夢ね。」

「つかさどるってことは、カマーがみんなの夢をかなえてるの?」

「いいえ、違うわ。私にはそんな力はないの。
 というか、そもそも夢っていうのは強い想いがあれば、
 誰でもかなえられるものだからね。」

夢をつかさどる妖精さんがいうと、
なんだか夢をかなえることがすごく簡単に聞こえる。
夢をかなえるためにはたくさんの努力が必要だけど、
それはつまり強い想いがないとできないことだから・・・、
あ、やっぱり、もっともなことなのか。

「私が持っている力は、その人の持っている夢を感じること。
 どんな夢をもっていて、どれくらいの想いをもってるか。
 ちょっと心の中をのぞくくらいね。」

「ほわぁああ。」

思わず変な声がでた。
ちょっと心の中をのぞく、ってものすごいことだよね・・・。

「だから私はみんなのがんばってるのを
 ほほえましくみさせてもらっているってわけよ。
 基本的には村のみんなには干渉しないの。」

「・・・基本的にって?」

ぼくが気になったその言葉について聞いてみると、
カマーの表情はさっきまでと違った真面目な顔になった。
それを見てぼくは思わず緊張してしまう。

普段は姿をみせないで見守っている。
それが、今ぼくの前で実体化している。
それは、つまり・・・

「干渉しなきゃいけないなにかが起こったってこと?」

「そういうことね。」

カマーは目だけ真剣なまま、口元で笑った。


つづく