オリオンさんの小説

【たたかいの彼方に】 第36話 『壮絶戦』


第36話『壮絶戦』

「ゼロ様。侵入者は排除しておきました。後、こちらは戦利品です」
 ファイナルスターの司令室にて、リボンが言いながらダークマインドがドロッチェから奪った沢山の武器をゼロに見せる。
「三つ星の杖に冷却ステッキ。そしてこれは……」
 スターロッドとラブラブステッキを見て、ゼロは目を瞠った。それから珍しく機嫌の良さそうな表情へと変わる。
「……マインド、リボン。そしてこの作戦に関わった部隊もよくやってくれた。闇の力を弱める忌々しい武器が二つもこちらの手に渡った。今回の奇襲は大成功だ」
「しかし、ゼロ様もひとがわるい。何故マインド様を奇襲作戦に登用しないと嘘をついたのですか?」
 部隊全体を指揮していた目玉型ダークマターが怪訝そうにゼロに訊く。ゼロがあらかじめ説明しなかったことによりダークマインドの流れ弾を受けた隊員がいるのも事実である。
 だが白い球体はこう答えた。
「……マインドが七星の中でとりわけ強い力を持っていることをお前は知っているだろう。だから登用すると言えば、その力に頼る気持ちが現れるかもしれない。その危険性を防ぐために敢えてそうした。特に今回のは世界を変えるための重要な任務だからな」
 世界を変える――復活したゼロの大きな野望。しかし、世界を変えるというのは実際の所、ゼロ自身を権力の頂点とし銀河を支配する超巨大侵略国家の形成であった。
「さて……」
 ゼロはモニターを起動し、様々な場所を映し始める。
「後はリック達が持っている虹の剣。アレさえ奪えれば奴等はどうとでもなる。しかし、奴等はドロシアとナイトメアを倒し、侵略の邪魔を幾度となくしてきた強者達。カービィさえ捕らえれば後は取るに足りないとは思っていたが……ふん、これが俗に言う友情の力とでも言うのかね……」
 あしらうように呟く。それからゼロはモニターでリック達が居る場所を特定すると、佇んでいたダークマインドへ向けて「虹の剣を奪ってこい」と告げた。すると赤い球体は何一つ文句を言わず、軽く頷いてから司令室を後にした。
 ダークマインドが出て行った後、しばらくしてダークマターがゼロに訊いた。
「ゼロ様。最近、ダークマインド様の様子がおかしいのは、一体何故なんでしょう……何て言うか、自我を持っていないというか……」
 すると、白い球体は急に笑い出した。それを見たダークマターは不審に感じる。
「くく……取りあえず言えることは、もう昔のダークマインドには戻れないということだな」
 やがて吐き捨てるように言ったゼロは動揺するダークマターをものともせずにモニターへ目を向けた。その画面には、壊れたままの武器庫の扉に丁度入ったリック達の様子が映っていた。


「妖精達が……いない?」
 武器庫に着いたリック達が一斉に驚く。虹の剣がダーククリスタルの力を打ち消すことが出来ることを知ったからには闇に染まってしまった妖精達を助けようと思い、ひとまず武器庫へ行くことにしたが現状はこう。原因はよく分からなかったが、考えても無駄だと見た彼等はひとまず座り込んで疲れを取った。
 それからカインが辺りを見回した後、武器庫にあった沢山のオブジェを持ってきながら、ナゴ、ピッチ、チュチュにコピーのもとについて説明をし始めた。
「……というわけで、このフィギュアみたいなのから好きなのを選んで。僕はこれでスパークが使えるようになった」
 カインが輝く豆電球を口から出して薄暗い武器庫を照らす。
 そして三にんが見せられたものは様々な生き物が象られたオブジェ。魔法使いの格好をした生き物。忍び姿の生き物。そして――
「何? この虫みたいなの……気色悪いわ」
 チュチュがぼそっと口にしたのが、バグジーと呼ばれる巨大昆虫が象られたものである。見た目からはどんなコピー技かは推測しづらい上、見た目もカッコイイというわけではない。それどころか気色悪いとさえ言われる始末。しかし、
「……これ、お前にお似合いだな。ほれ!」
 リックがからかうような表情で、そのオブジェを掴んでチュチュに投げつけてしまった。彼女は猛烈にいやがる。しかし……
「あっ……」
 オブジェは突然輝き始め、チュチュの口の中へと入り込んでいく。
「なっ何するのよ!」
 チュチュは怒りだし、伸びる手で笑っているリックの胸ぐらを掴む。すると――
「!!?」
 何が起き出したか分からずリックは慌てる。まず、地上と天井が真逆になった。……と思ったら背中に突然大きな痛みが走った。
 やがて、リックの視界には逆さまのチュチュが映る。彼女にバックドロップをされたと気づいたのは、そこから更に時間がかかった。
「いてぇ……チュチュ、そこまで怒ることかよ……」
 相当痛かったのか涙目になったリックに対し、チュチュは、体が勝手に、と自分の手みたいな物を見つめていた。
 そんなふたりに割り込むようにメタナイトが話に出た。 
「チュチュはスープレックスの力を手に入れた。取りあえず、チュチュと取っ組み合いのケンカではもう勝てないと思った方が良い」
「そんな……からかわなければ良かったよ……」
 とリックは、しまった、という表情で体を起こして痛む背中を撫でる。
「でも、いいじゃないか、すうぷれっくす。戦いだと凄く使えると思うナゴ」
 ナゴはすかさずフォローに入り、隣にいたピッチも相づちをうつ。しかし、ふたりを見たリックは更に驚いた表情をした。何故なら、ナゴが壁に張り付き、ピッチが爆弾のような黒ずんだ色になっていたからだ。
 メタナイトがまた口を開く。
「ピッチはボム、ナゴはニンジャをコピーした。これでみんな、敵を吸い込まなくてもコピー技が使えるようになったな」
「ボム、ニンジャ……って何でオイラ達が使ったことの無いようなコピー技が使えるんだよ?」
 リックは「自分も今まで使ったことの無いようなコピー技を使いたい」とオブジェを持っていたカインの元へ寄った。だが……
「ごめんリック。残ったもの僕が全部使っちゃった……」
 とグーイが舌を出しながら謝った。隣にいたカインも少し気まずそうな表情になっている。
「グーイ……お前はそんなの無くてもコピー技使えるだろ」
「いやぁ、お腹に溜めておいたはずの物が全部無くなっちゃってさぁ」
「そんなに早く消える物なのかよ!」
 その言葉に、グーイは一息ついて、マルクによってリック、カイン、クー、メタナイトと離ればなれになった後の事を説明した。様々なひとと出会い、様々な戦いがあったことを。
 これを聞いたリックは十分に納得してくれた。その上、「それなら、ひとつのコピー技を極めてやるまでだ」と前向きな返事までし、グーイをホッとさせた。
 ――その時だった。
「みんな! 部屋の隅へ寄れ!」
 メタナイトが急に慌てた表情で、周りの皆に忠告する。
 これを聞いた皆は両側の壁へ寄った。丁度その刻、巨大な光線が空いている扉から入り込み、壊れていた入り口はさらに大きくなり、光線が当たった壁にはクレーターのような大きな穴が空いた。
 濃い煙が立ち上がる。そして、入り口の向こう側には――七星で最強の力を持つ者、ダークマインドがいた。
「俺達に何のようだ?」
 言いに出たクーに、赤い球体は答えた。
「テマエドモガ、モッテイル、『ニジノケン』ヲ、ウバイニキタ」
 ダークマインドはまた巨大な光線を目から発射し、武器庫内の壁の穴をさらに大きくした。
 しかし、これを見た彼等がたじろくことは無かった。
「渡さないに決まっているだろ。虹の剣はとても大切な物だ。どうしても欲しいなら俺達を倒してみろ!」
「……ワレハ、ニジノケンヲ、ウバウ」
 ダークマインドは目をカッと見開いた後、居丈高のクーに向かって光線を発射する。が、
「甘いぞ」
 クーはカッターで大量の羽を使い光線を切り裂き、そこからダークマインドの裏側に回り込みもう一度攻撃を行う。
 ダークマインドは光線をたかが梟の羽で切られたことにも動揺せず、四枚の鏡を出現させ、クーに攻撃しようとする。
 しかし、これによって出来た隙につけ込み、リックがファイアで、カインがスパークで、ナゴがどこから出したのかクナイで体の部分を攻撃する。そのふたりとは反対方向から、デデデ大王がハンマーで、グーイが真上からストーンで攻撃し、ピッチは自身が爆弾となりマインドの傍で大爆発を引き起こす。
 しかし、ダークマインドには全然効いていなかった。それどころか、攻撃など受けていないかのように淡々と鏡から何十体もの生き物を繰り出した。そして生き物達は一斉にリック達に襲いかかる。
「やっと私の出番ね」
 そこで、今まで避けてばかりだったチュチュが前に出て、雑魚敵を掴み大きく振り回しながら辺りを一掃した。これは、チュチュがストーンをコピーした時の技の流用だ。それから、最後の雑魚敵を掴んだ後、大きく跳んでダークマインドの目玉にぶつけた。
「……!」
 相手の表情がほんの一瞬変わる。しかし、赤い球体はまた何事もなかったかのように、今度は何百枚もの鏡を素早く出し、武器庫内に張り巡らす。
 何か大技を繰り出す。そう思った彼等はすぐさま鏡を壊そうとした。しかし……
 ダークマインドが小さなレーザーを数本発射すると、そのレーザーが鏡を反射して凄まじいスピードでリック達を襲いかかった!
「がぁぁあ!」
 叫ぶ者達を、赤い球体は冷血な目で睨みながら、レーザーを何本も何本も発射し、武器庫内は、沢山のレーザーがめまぐるしく飛び交う地獄のような空間となった。あまりの速さ故、メタナイトが剣で防ぐことさえも難しく、攻撃を喰らっている者は身動きが取れないまま、自分の体が傷ついていくのを見るしかできなくなった。
 やがて、ダークマインドは沢山の鏡を消した後、ボロボロになったリック達に向かい、トドメの巨大なレーザーを発射する――
 ――が横からやってきた巨大な雷の弾により阻止された。
 どうやらアドレーヌが、レーザー攻撃の死角をあらかじめ見つけていて、そこで雷弾を発する大砲を描いて実体化させたようだった。彼女が知っていたのかは分からないが、ボルトッツォと呼ばれる兵器と姿が非常に疑似している。
 ダークマインドは出した鏡を回転させながらアドレーヌが描いた大砲に向かって突進する。大砲はもう一度雷弾を撃つが、相手が至近距離で当たってしまったため、大砲は爆発してしまい、少女も大分ダメージを負った。
「アドの頑張りを無駄にするな!」
 デデデ大王の声と共に、真後ろからアドレーヌ以外の各々が一斉に攻撃にかかる。ダークマインドはこれを見切るかのように迅速に振り返って巨大な光線を発射し、皆はその光に飲み込まれていった。
 しかし、ダークマインドにとって予想外の出来事が起きた。
(……!?) 
 ダークマインドは思わず目を瞠る。巨大な光線が二つに枝分かれしたからだ。目を凝らせば、先頭にいたメタナイトが持っていた虹の剣が七色に輝きだしている。どうやらあの剣に防がれたのだろう。
 動揺を隠せなかったダークマインドの目玉に、メタナイトの七色に輝く虹の剣が突き刺さる。マインドはここで初めて痛そうな反応を見せるが、負けじともう一度光線を発射した。
「メタナイト、絶対その剣を離すなよ!」
 デデデ大王の言葉を聞き、メタナイトは手にもう一度力を入れ直す。体は相当痛いはずだ。 
 仮面の騎士以外は、光線を受けてボロボロになりながらも、ダークマインドに向けて様々な攻撃を繰り出す。
 しかし、ダークマインドは光線を発射しながら、体の回りの鏡を高速回転させて周りの者を瞬く間に吹き飛ばす。メタナイトもこの被害を受け、とうとう痛みに耐えかねた彼は剣を手放してしまい、剣もろとも吹っ飛ばされ、仰向けになった。
 ダークマインドは虹の剣を奪わんと落ちた所へ向かって動き出す。
「待て!!」
 この時、グーイとピッチはあらかじめ別の場所へ移動し、連携攻撃の準備を整えていた。ふたりは合体し、グーイはコピー能力ジェットを使い背中に噴出器をつけ、爆弾化したピッチを舌で前に掲げ、ダークマインドの瞳に目がけて突撃した。
 ふたりは相手の目玉に直撃し、大爆発を起こす。グーイとピッチは真っ黒焦げとなり地に墜ちてしまったが、ダークマインドをよろめかす程の痛手を負わせた。
(ここで……私が踏ん張らなければどうする!?)
 起きあがるのも辛いメタナイトは、朦朧とした意識の中、目の前にあった虹の剣を掴んで立ち上がり、隙の出来たダークマインドの目玉を、全力を振り絞って――斬った。
 すると、虹の剣は先ほどよりも強い輝きを放ち、周りを七色の光で包み込んだ。その光はミスティックマター、ナイトメア、ドロシアと戦った時と全く同じだ。ボロボロだった彼等の傷の痛みはだんだんと引き、力が沸いてくる。ここまで来ればこちらのもの。そう思っていた。だが……
「グォアアアア!!!」
 ダークマインドは突然狂気に満ちた声を上げる。そして、虹の剣より強い光を放ちだす。
「何だ? 体が思い通りに動かない……」
 光を見た者は皆、自分が動こうとする方の逆へ行くようになり困惑する。これはリバースワールドと呼ばれるマインドの超大技であった。
「今スグ殺シテクレル! ソシテ、虹ノ剣ヲ奪イ取ル!」
 そう言いながらダークマインドは、目から光線ではなく、大量の星の弾をぶつける。反撃を試みるも、立ち回りが分からずに体に傷を増やしていく。逃げようと思えば立ち向かってしまい、狙い目はみすみす逃してしまう。これでは相手に傷ひとつも付けられない。
「虹の剣を以てしても……駄目……なのか……?」
 どうにもできないリック達は、とうとう弱音を吐き出し、ひと思いに攻撃をくらい続けていった――

「弱イ奴等メ……我ト戦イニナルト思ウ時点デ間違ッテイルノダヨ……」
 やがて皆動けなくなり、形勢逆転となったダークマインドはリバースワールドを解く。
「虹ノ剣ヲ手ニ入レル。全テハゼロ様ノ為……」
 そして、メタナイトが倒れながら持っていた虹の剣を鏡を使って奪おうとする――
 ――しかしだった。
「コイツ……?」
(……あれ?)
 ふたりが驚く。ダークマインドは奪えなかったことに驚いた。メタナイトは、自分の力がまだ残っていたことに驚いた。
(まだ、戦える……!)
 そう確信した後、虹の剣を片手に立ち上がろうとする。これを見たダークマインドは容赦なく光線を浴びせる。だが……
「流石メタナイトだな」
 デデデ大王が直撃寸前に、メタナイトの前に立ちハンマーを盾に光線を防いだ。その間に、リック、カイン、クー、ナゴ、ピッチ、チュチュ、グーイが赤い球体の周りを取り囲み、アドレーヌは離れた場所で、キャンバスに絵を描き、Mr.シャインとMr.ブライトを召喚させる。
 マインドはまた四つの鏡を出して回転させ、一掃しようとする。しかし、今度は違った。チュチュが鏡を掴み、投げ技で他の鏡を破壊した。
「鏡ガ……!」
 ダークマインドは、最大の弱点である鏡を破壊され痛手を負う。一方リック達は次々にコピー技でマインドを攻撃する。
 それから、アドレーヌが素早く皆をひとつの場所に集める。
 すると、シャインがリック等を守り。ブライトがシャインがいる以外の全方へ熱攻撃をした。ダークマインドは見事に直撃し体中が燃え、反撃もままならない状態に追い込まれた。
「……とどめだ」
 そして、メタナイトが、輝く虹の剣を全身全霊でダークマインドの目玉に突き刺そうとする。が――
 ――ダークマインドは、なんと鏡を使って攻撃を食い止めた。
「こいつ……どこまで……しぶといんだ……?」
「ゼロ様ノ為ニ、全テハゼロ様ノ為ニ……」
 メタナイトの剣とマインドの鏡が衝突する。ここでとどめがさせなければ、ダークマインドは形勢逆転をするかもしれない。そうとなれば、今度こそ負けてしまうだろう。
(虹の剣……もう一度力を貸してくれ!) 
 もう一度七色の光を放って欲しい。メタナイトに限らず誰もがそう思っていた。
 そして、その想いはひとつとなり―― 
「コンナ……コトガ……!」
 虹の剣は再び七色の光を見せてくれた。ダークマインドの鏡は見事に割れ、メタナイトは渾身の一撃をお見舞いすることに成功した。
 
 
「はぁ……はぁ……」 
 虹の剣を抜いた後、メタナイトは思わず仰向けになる。彼に限らず他の者達もほぼ気力で戦っていたようなものだった。 
 だが、ダークマインドは消滅しない。ナイトメアやドロシアみたく、闇となって消えてはいかなかった。
「そんな……まだ戦えるの?」
 チュチュが弱気な表情を見せる。こちら側は全力で戦い、完全燃焼した。それなのに相手がまだ余裕を持っているのならどうなるのか。想像さえしたくない。
 やがて、ダークマインドは傷だらけの目を開ける。そして、リック、カイン、クー、ナゴ、チュチュ、ピッチ、グーイ、メタナイト、アドレーヌ、デデデ大王の全員が予想できなかった行動を取った。
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