オリオンさんの小説

【たたかいの彼方に】 第25話 『守り抜くもの』


第25話『守り抜くもの』
 
 リック達が武器庫を発った頃、司令室では、ゼロがその様子をモニターで見つめ、周りに、それを見守るかのようにドロシア、ナイトメア、ダークマインド、ダークゼロがいた。生き残った七星を全員招集している辺りから重要な場面であることが伺える。
 やがて、ゼロが無音の空間を断ち切った。
「ギャラクティックナイト……銀河最強と呼ばれた割には全然使えない奴だった。私情に駆られ、脱獄者を増やし、そして今の状況が生まれた。これはかなりまずいことだ」
 深刻そうに息をひとつ吐いて続ける。
「あの脱獄者共は一刻も早く皆殺しにしなければならない。そこで、その任務を請け負う者をお前達の中からふたり選んでもらいたい」
 張り詰める雰囲気の中、ドロシアが言いに出た。
「わたくしが行きましょう。一瞬であの脱獄者達を殺して見せます!」
「分かった。だが、油断は絶対してはならないぞ。あともうひとりは……」
「ダークマインド! お前、行け!」
 ダークゼロが、赤みを帯びたゼロのような姿をしているダークマインドを推す。
「断る。それより、お前が行けばどうだ?」
「嫌だ! あいつら弱い! つまらない!」
「……ならば私が行こう」
 ふたりが言い合っていると、ずっと黙っていたナイトメアウィザードが挙げた。すると、ゼロは少し驚いたような表情をする。
「お前が行くのか? と言っても別に誰でも良いのだが……まあ、余はお前の"えげつなさ"を楽しませてもらうとするよ」
「では行きましょうナイトメア。一刻も早く脱獄者達を殺さないといけませんわ」
「待て!!」
 ドロシアとナイトメアを、ゼロが赤い筋を浮かべながら呼び止めた。
「もし脱獄者を殺すことが難しくても、これだけはやって欲しいということがある。仮面を付けている剣士が持っているだろう七色の剣を壊せ。あれは、ダーククリスタルの力を弱める害悪と見た」
 そう言われたドロシアとナイトメアは、頷きという形で了解の返事をし、司令室から姿を消した。
「では、残ったお前達にもやってもらいたいことがある。無事牢屋に入っている動物3匹と妖精をここへ連れてこい。それからはまた話す」
「了解しました。……しかしゼロ様、あの抵抗するひとたちが怖いのですか? 下っ端に任せずに我ら七星をここまで動かす貴殿の胸中を知りたいと思って……」
 そんな疑問を抱いたダークマインドが聞くと、ゼロは言った。
「お前達には、ダーククリスタルのための、ある役割が存在するからだ……ククク」
「……ゼロ様?」
 言い終えてから笑みを浮かべるゼロをダークマインドは不審に思ったが、やがて何もなかったような表情を作り、ダークゼロと共に司令室を出て行った。
 そして、独りとなったゼロは今度は目を瞑り、テレパシーを取り始めた。相手は――
『第20番部隊長。今何をやっている?』
『えーと、今はポップスターをウロウロと。それより何のご用件で?』
『実はな……』

「みなさん。つきましたッス!」
 ワドルディに連れてこられたドロッチェ団とシャドーカービィ。着いた先には、周りの景色を映すほどの綺麗な水が湧き出る泉があった。夜なのにも関わらず、朧気に明るい場所であった。
「ここが……夢の泉」
「綺麗ですなぁ」
 感嘆の声を漏らしたのはドロッチェとドク。他のひとたちも綺麗さに見とれている。
 しばらくして、スピンが気になったことを尋ねた。
「……それよりワドルディ。あの泉の真ん中にある杖みたいなのは一体何だ?」
 すると、ワドルディは大きく頷いて、
「落ち着いて聴いていて下さい。……あれが夢の象徴の"スターロッド"です」
 言い終えた時、周りが一斉に驚いた表情をした。探していた物がこんなにも早く見つかれば、そうなってしまうのも無理はないが。
「こんなに早く見つかるなんてなぁ! オラびっくりだ」
「やったよドロッチェさん。3つのうちの1つがもう見つかったんだよ!」
 やがて仲間達が歓声を上げ、ドロッチェも嬉しさが見て分かる表情をしている。
「ならば、早速抜かないとな!」
 ドロッチェが夢の泉の中心に向かっていこうとした。すると――
 突然、凄まじい轟音と共に、数々の隕石が落ち始めた。周りの自然もみるみる破壊されていく。
「この攻撃は……」
 シャドーカービィが感づく。すると後ろから、
「やあ、みんな。また会ったね」
 声と共に、ミラクルマターが姿を現した。正十二面体に沢山の目、と大抵のひとが第一に不気味という感想を抱くような姿をしている。
「夢の泉に何しに来たッスか?」
 ワドルディが言いに出ると、ミラクルマターは猛スピードでスターロッドの方へ向かっていく。
「まずい!!」
 何かを察したかのように、ドロッチェはミラクルマターを出し抜いて、瞬間移動を使ってそこへ行き、スターロッドを抜こうとした。しかしだった。
「君は退いていたまえ!」
 スターロッドを取る寸前にまで手を伸ばしていたドロッチェは、ミラクルマターに突進ではじき飛ばされてしまった。そしてスターロッドの前に立った正十二面体は、切ったスイカのような形をした刃らしき物体に姿を変形させる。これは、カービィのコピー能力で言う"カッター"だ。
 ミラクルマターはスターロッドを壊そうとしている!
 そんなことをさせまい、とストロンが跳んでミラクルマターに向かい、自慢のパンチで、シャドーカービィが"マスター"と呼ばれる輝く剣で攻撃をする。が、相手のバリアによって失敗に終わってしまう。
「そんなことしたって無駄だよ。さて、僕はゼロ様に"闇の力を弱めるような物"を全部壊せって言われている! というわけで、このスターロッドは……」
 そう言いながら刃を杖に当てようとする。ドロッチェ達も壊されてたまるか、と怒濤の攻撃を仕掛けるが、案の定、全然効かなかった。しかし――
「ぐああ!!」
 スピンが投げた手裏剣には痛みを感じたのか、ミラクルマターが動きを止め、姿を元に戻した。
 これを見て、刃物が弱点だと察したスピンは、もう一度手裏剣を投げてみるが、今度はバリアで跳ね返されてしまう。
「どうなってんだ?」
 先ほど効いた攻撃が2回目からは効かないことに、スピンが首をかしげる。抵抗力がついたからか、それとも――
「目には目をだね……」
 隣でシャドーカービィが目を細めボソッと言った。これは、ある星に存在した法典の内容の一部であったが、ミラクルマターの弱点を忠実に表す言葉でもあった。
 シャドーカービィの言葉を聞いたドロッチェは何か分かった表情をし、マントに隠し持っていた、トリプルスターに頼りきりで使っていなかった冷却レーザーを放つステッキに触ってみた。
「雑魚のくせに余裕ぶりやがって……気に入らないなぁ!!」
 一方、ダメージを与えられたミラクルマターは急に怒りだした。様々な能力を合成させ、鎌鼬を繰り出し、炎を帯びた何百もの剣、雷を帯びた岩で、ドロッチェ達に攻撃を仕掛ける。
「くそぉ。やはり強いな……」
 ドロッチェのトリプルスターやチューリン爆弾の攻撃も上手く通らず、絶大な攻撃力に圧倒され、戦局は次第に不利となっていく。
「いい加減くたばりやがれ!」
 ミラクルマターはしぶとい相手に対し更に激しく怒り出し、ついにウォーターとボムを合成させた超強力爆弾を作り出した。爆発すれば辺りは全て塵と化し、スターロッドどころでは無くなる。
「もう一度僕が吸い込む!」
 シャドーカービィが、爆発を防ぐためミラクルマターの爆弾を吸い込もうとする。すると、ミラクルマターは、
「馬鹿め。同じ手にかかるわけがないだろう!」
 と言いながら姿を"氷のような物体"に変え、シャドーカービィを凍らせ、動けなくした。これでは吸い込むことが出来ない。
 僕の勝利だ、とミラクルマターは大声で笑った。
 しかし、正十二面体の"英断"が、自身の消滅へと繋がることは全く予想していなかった。
 突然の痛みにミラクルマターは叫び声を上げる。氷の姿になったことで氷が弱点になったのを、相手に見事突かれてしまったのだ。
「糞ネズミが! まだ、そんな武器を隠し持っていたのかぁ!!?」
 ドロッチェの放つ冷却レーザーを浴びながら、やがてミラクルマターは消滅していった。
 
 ミラクルマターが消えたのと同時に超強力爆弾も消滅し、氷も溶けてシャドーカービィも身動きが取れるようになった。
「ん……あのサイコロはやられたのか?」
「ああ。しかし、こんなあっけなく倒れるなんて思わなかったな……」
 あれほどの強さを持ってして、レーザーごときですぐに消えていったミラクルマターが、ドロッチェには少し信じられなかった。能力を極めすぎたが故、弱点に更に弱くなったりでもしたのか。
「……まあいいじゃないですか。倒せたことには変わりないんですから。それよりこのスターロッドを抜きましょう」
 考え込むドロッチェに、ストロンが言い聞かせるように呟きながら、体格の割にしなやかに跳んで中心部へ向かい、夢の泉のスターロッドを抜いた。
 ――その時だった。
 ストロンは突然叫び声をあげながら、泉へ落ち、水浸しになった。
「誰だ!? いきなり雷落とす奴は!」
 雷、と聞いて他のひとたちは上を見た。すると、
「やい泥棒! スターロッドはポップスターの国宝だ。元の場所へ戻せ!」
と怒りを秘めた口調で話しながら、雲のような生き物――クラッコがゆっくりと降りてきた。
page view: 1454
この小説を評価する:                   (0)