オリオンさんの小説

【たたかいの彼方に】 第14話 『明かされる真実』


第14話『明かされる真実』

「はぁ……はぁ……」
「もう疲れちゃったのかい? そんなことじゃあ、僕は倒せないのサ」
 ブルブルスターの雪原の中、激闘を続けていたドロッチェとマルク。羽織っているマントはボロボロで息切れしている団長と、目立った傷は無くケラケラ笑っている道化師。どちらが有利かは一目瞭然だった。
 しばらく黙っていたマルクはまた攻撃を始めた。羽から大量の針のような光線を相手に向かって撃つ。一方ドロッチェはフッと姿を消し、マルクの後ろに回り込んだ。ドロッチェは瞬間移動が使えた。
 しかし、マルクはそれを分かっていたかのように、ドロッチェが回り込んだ方を向き、口からビームを発射し、相手に直撃した。
「馬鹿め。君の攻撃くらい読んでいるのサ!」
 マルクが得意げに言った。しかし、直撃したはずのドロッチェはダメージを受けてない様子だった。
「何? 僕のビームが効いてないだと!?」
「星の力さ」
 動揺しているマルクにドロッチェがそう言った。よく見ると、彼の体の回りに三つ星が取り巻いている。
「むむむ! その星は一体何なのサ!」
 そう尋ねられたドロッチェは杖らしき物を取り出した。すると、取り巻いていた星がその杖に集まってくる。
「これは、俺の一番愛用している武器だ。三つの星が動き、輝き、強者をくじく。ひとよんで"トリプルスター"。こいつはあまりにも強すぎてね……俺が強いと思った相手にしか使わないことにしている。喜べマルク!」
 そう言い切った後、ドロッチェはトリプルスターを振りかざした。すると、三つの星が凄まじい速さでマルクに突撃する。
「まだまだぁ!!」
 今度は三つの星がドロッチェに操られているかのように動き、マルクを攻撃する。ワープで逃げられても、三つ星は怖いまでにマルクを追い、攻撃を加えていった。

(いてて……ドロッチェのやつめ。まだこんな武器を隠し持っていたのか……)
 結局マルクは手も足も出ずに、雪原へ仰向けに倒れ込んでしまった。ドロッチェの『あまりにも強すぎる』の評価は妥当であったと言える。
 ドロッチェは、倒れているマルクを見下ろし、トリプルスターを突きつけて言った。
「さあ、どうして欲しい?」
 するとマルクはゆっくりと口にした。
「トドメを刺してくれ。…もう痛いのはごめんサ」
「分かった。ならば望み通りにしてやる!」
 ドロッチェはもう一度、トリプルスターを振りかざし、トドメを刺そうとした。しかしだった。
(マルクが消えた!?)
 三つ星を当てた瞬間、マルクがフッと消えた。そして後ろから――
「ひーかかったのサ♪」
 トーンの低いおどろおどろしい声が聞こえたと思ったら、ドロッチェの視界は暗闇に包まれていき、気が付くと、地面に叩き付けられ、その後から壮絶な痛みを感じてきた。
 痛みに耐えれずに倒れたドロッチェに今度はマルクが見下すように言った。
「馬鹿な奴め。僕があんな潔く倒されると思ったのかい? これでも僕は"七星"の一員なのサ」
「ナナホシ?」
「ダークマター軍の中でとりわけ強い力を持っている"7にん"に付けられた名前サ。でも、その中にいるのは純粋なダークマターばかりじゃない。ゼロによって実体を取り戻した、かつてカービィに倒されたワル達もいるんだ。僕もそのひとりってわけサ」
「てことは……お前はカービィに一度倒されているのか?」
「そう。僕はかつてポップスター侵略を試みたのサ。馬鹿な月と太陽をケンカさせ、正義感の強いカービィを使って、なんでも望みを叶えてくれるノヴァを復活させた。そこで僕は、カービィを出し抜いてポップスターを僕の物にしろと頼んだんだ……でもあいつは、諦めなかった。変な乗り物を使ってノヴァを破壊し、僕はあのピンク玉に簡単に倒されてしまったのサ……残った体力でノヴァの力を取り入れて復活しても、カービィは、ものともせず僕を殴り倒す……」
 マルクが目をぎらつかせ、怒りのこもった口調に変わる。
「……ムカツクのサ! あいつは何の用があって僕の野望に口出しするんだ! 復活してもこの憎しみは消えないのサ! 僕を小馬鹿にしたカービィが許せないのサ!!」
 一呼吸おいて、マルクが表情を緩めながら、また喋る。
「……でも、良かったのサ。復活したことで、ダークマターに捕らえられたカービィの惨めな姿を見ることができたから……それが復活してからの一番の幸せサ」
「カービィが……捕まっただと!?」
 ドロッチェが思わず驚きの声をあげる。
「そうさ。しかも、僕が何でカービィを捕まえたのかって聞いたら、ゼロはこう言ったんだ。『カービィを利用して銀河制覇を成し遂げる!』って。そのためにクリスタルが必要らしいのサ」
 これを聞いたドロッチェの顔は、何故か引きつっていた。何か最悪の事態を予想したようだった。
「……それは本当に言っているのか? 実はこれも、俺達を動揺させる嘘なんじゃねぇのか!?」
「……嘘か本当かは、君に任せるよ!」
 マルクは喋りきったすぐ後に、マルクは口を膨らませた。不意をうって、トドメを刺そうとしていた。全く汚い戦い方である。
 しかし、相手もこれを見切っていた。
 ドロッチェは残った体力で、トリプルスターを使い、ビームを吐くわずか寸前で、マルクに三つ星を当てた。
「なにい!? 僕の攻撃を読んでいただとーー!!?」
 叫び声をあげながら、マルクは真っ二つに割れていく。そんな様子を見て、ドロッチェは戦いに勝利したんだと、胸をなで下ろした。
 しかし、それこそが勘違いだった。
 マルクの消えた場所から、何やら黒い穴ができた。そしてそれは、強力な引力でドロッチェを吸い込んでいく。
(しまった! 騙された!!)
 視界が真っ暗になり、気が付くとドロッチェは、また地面に叩き付けられ、体全体の神経を擂り鉢でこすられるような激痛に襲われた。
 マルクが姿を現し、痛みに耐えれず倒れてたドロッチェに言った。
「……中々楽しませてもらったのサ。でも結局君は雑魚。僕に刃向かうなんて一兆光年早いのサ。さあ、最後に言いたいことがあるなら言えよ?」
 しかし、返事する余裕が無いのか、ドロッチェはただ、ゼェゼェと、息をしているばかりである。
「言うこと無いなら僕の"とっておきの技"で、トドメを刺してやる。残念だったな、ドロッチェ! "貴重な情報"を入手できたのに結局君は死んじゃうなんて、惨めを超して笑っちゃうのサ! ま、結局君が死ぬのは確定だったから僕もベラベラ喋ったんだけどね!!」
 そう言ってマルクは、体を液状にし、大量の滴に分裂させた。やがてその滴は鋭い針へと形を変えて、一斉にドロッチェに降りかかった。この技はかつて戦ったカービィすら受けたことのない、まさに"とっておきの技"だった。
 しかし、攻撃は阻止された。
 緑色の鳥のような生き物が、刃の形で高速で飛び、マルクの大量の針攻撃を阻止している。
 何事だと、マルクは姿を戻して、周りを見渡す。するとそこには――
「君達はあの時の! どうして急にいなくなったのサ!?」
 ゼロに戦艦ハルバードの乗組員を捕まえよ、と命令されたときに出会い、戦い、そして急に姿を消した4にん――ナゴ、チュチュ、ピッチ、グーイがいた。
「ワープスターに連れられて、しばらくこの星で体を休めていたの」
 チュチュが、ワープスターと呼んだ五芒星の乗り物に乗りながらそう言った。
「今度は僕達が相手ナゴ!」
 ナゴが叫ぶと同時に、4にんがマルクに立ち向かった。
「くっ……雑魚どもが調子に乗るなよ!」
 きつい口調で言い放つマルクは、羽から大量の針状の光線を出す。しかし、それは"カッター"をコピーしたグーイの力を得たピッチによってはじき返された。
 マルクが別の攻撃に切り替えようと思った瞬間、背後からはワープスターに乗ったチュチュが回転しながら突撃する。
(くそぉ! ちょっとタンマなのサ!!)
 しかし、4にんはマルクのそんな思いも無視し、ナゴは、チュチュの攻撃によって出来た隙を見逃さずに、持っていた虹の剣でマルクを真っ二つに斬った。
(ぐはぁ! ……ちょっとダメージ喰らいすぎたのサ。魔法を使う余裕も無い。まさか……僕はやられるのか……!)
 真っ二つに斬られたマルクは、闇となって今度こそ消滅していった――

「チュチュさん。無事でしたか!?」
 呼ばれた方向に顔を向けると、クリスタルを抱えたリボンと団長を除いたドロッチェ団員がやって来るのがチュチュの視界に入った。
「うん! これでもう安全よ。ダークマターはやっつけたし、散々私達を苦しめてきたマルクも無事倒したのよ!」
「……ありがとう。あなた達がいなかったら、襲ってきたダークマター全部は、追い払えなかったわ」
「いや、リボンさん。オラ達も本気を出せばあんな黒雲達なんて余裕で倒せますよ」
「だから"全部は"ってリボンは言ったんだと思うナゴ……」
 そんな会話をしばらく続けると、今まで倒れ込んでいたドロッチェが起き上がった。
「……あれ? 俺は生きているのか? 確かマルクとかいう奴に……」
 余程の激痛でしばらく気を失っていたようだった。そんな彼に、団員達が事情を全て話す。
「そうか。俺は見ず知らずのひとに助けられてしまったのか……こんな鳥や猫のような生き物に……」
「あなたもネズミですけどね。あと、僕はピッチって言います。こちらからナゴさんに、チュチュさんに、グーイさん……と」
「覚えておくよ。しかし、お前等はどんな用事でこんな星をうろついていたんだ」
 ドロッチェの質問に、グーイが答えた。
「僕たちは、ダークマター復活とほぼ同時に行方不明になったカービィを探しているんだ。もともとは8にんで行動していたけど、途中で離ればなれになっちゃって……カービィはともかく、残りの4にんも行方不明になっちゃって……」
 すると、ドロッチェは何故か深刻そうな表情へと変わっていった。他のみんなも首をかしげる。
「ドロッチェさん。どうしたんですか?」
 リボンが尋ねてしばらくたった後に、やっとドロッチェは重そうな口を開けた。
「グーイ、ピッチ、ナゴ、チュチュ……お前達はカービィを探しているんだな」
「あなたは、カービィを知っているの?」
「知っているさ。俺はあいつとは友達だ。友達の仲間なら俺は全力で手助けしてやるつもりでいる」
「で、内容は何なの?」
「俺はマルクからカービィの現在を聞いた。ていうよりあいつが勝手に喋ったことだけど……」
「マルクの言ったことなんて信用できないナゴ」
「いや、俺を殺そうとするときに、あいつは言った。『"貴重な情報"を入手できたのにここで死ぬなんで惨めを超して笑っちゃう』って。だから多分本当の事だと思う。仮に嘘だったとしても、参考までに聞いておいてもらいたい」
「分かりました。で、その聞いたことっていうのは……」
「今から話す。だから、落ち着いて聞いていろよ」
 そしてドロッチェは、"カービィの現在"を4にんに伝え始めた。
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