オリオンさんの小説

【たたかいの彼方に】 第10話 『迷走』


第10話『迷走』

 突然現れた黒い穴は、やがて宇宙の中にいた8にんを吸い込もうとし、やがて8にんの中にいた
4にん――リック、クー、カイン、メタナイトは吸い込まれ、そしてその穴も次第に小さくなり姿を消してしまった。
 残りの4にん――ナゴ、チュチュ、ピッチ、グーイはなんとかその黒い穴から逃げ切ることができた。しかし、この真っ暗な宇宙の
中でひとが減ってしまうことは、4にんにとってもそれなりのショックだった。
「どうしよう……リック達と離ればなれになったナゴ」
「リック達なら大丈夫だよ。それより、またあの黒い穴が出るかもしれないから早くここを離れた方がいいと思う」
「ワープスターもあるから、移動も簡単にできます」
「そうね。じゃあ、まずはここを離れましょう」
 そうチュチュが言った瞬間、彼女の背後から、
「……できないよ。お前たちはここで死ぬんだから」
 突然奇妙な声が聞こえた。
 4にんが振り返ると、いつここへ来たのか、二つに分かれている帽子を被った道化師――マルクがいた。
「誰?」
 名前を知らない4にん、その中のグーイがおそるおそる尋ねる。するとマルクは、
「プクク……教えてやろうか。僕はマルク……お前たちを消すために生まれた魔法使いなのサ!」
 と言いながら、煌びやかに光る羽を広げ、口から極太のビームを発射した。
「な……何この攻撃!?」
 動揺する4にん。しかし、マルクは瞬間移動で4にんの背後に回り込み、容赦無く次の攻撃を仕掛けた。
「ぎゃはは! 逃げられると思うなよ?」 
 羽から何百もの光線を突きつけ、4にんを攻撃する。
「ここはバラバラになってマルクの狙いを分散させるナゴ!」
 4にんも光線をかわしながら、4手にわかれる。しかし――
「そんなことしたって無駄無駄! こいつを喰らえ!」
 マルクは口から今度は奇妙な物体を吐きだした。そしてその物体は、強烈な冷気を放ちながら、宇宙全体に広がった。
「フハハ! みんな氷付けになってしまえ!」
 ここで氷付けにされ、身動きが取れなくなれば間違いなく4にんはマルクの餌食となる。そんな状況に4にんは冒された。
 しかし、この状況は打破された。
「ぐ!? うぎゃあああああ!!」
 突然、マルクの笑い声は断末魔に変わり、それを聞いた3にんは、すぐさまその方向を見た。すると、残りひとりのグーイが、
ワープスターを呼んだのか、その上に乗り、七色に輝く剣で、マルクのちょうど腹辺りを突き刺していたのである。
「何で、グーイが虹の剣を持ってるナゴ?」
 ナゴが"虹の剣"と呼んだその剣は、かつて、ポップスターの侵略を行ったダークマターを倒すために使われた剣、そして、
ついこの間、ダーク・リムルに襲われたときに希望を与えてくれた剣だった。
「うん。リックにこれを持っていてくれ、て言われてね。ここで役に立つなんて思ってなかったよ」
「はぁー、助かったわ……」
「グーイさん。凄すぎます!」
 また起きた虹の剣の奇跡と勝利を、4にんは喜びあっていた。
 しかし、たたかいはまだ終わっていなかった。
 グーイの背中に、突然凄まじい衝撃が起きた。やがて、他の3にんにも、何か重い物でぶん殴られたような衝撃を受けた。
 何事だと思い、4にんは辺りを見回す。すると、赤色と青色の輝く大きな弾が、激しく動き回っていた。
衝撃の原因はそれだと察した時にはもう遅い。強烈かつ素早い弾の突進に避けも耐えもできず、やがて4にんは気を失ってしまった。

 謎の2つの弾はやがてに1つに戻り、変形。そして、元の姿――マルクへと戻った。
どうやらそれは、自ら体を分裂させて、相手を攻撃する魔法の一種のようだった。
「ふふふ……僕にたてつくなんて10000光年早いってのに、本当に馬鹿な奴等なのサ……
 さて、この目障りな動物たちは、僕の手でぶっ殺してやるか」
 そう言いながら、口に光りを溜め始める。その時――
『何をやっている! マルク!』
 マルクの頭に、聞いたことのある声が響いた。
「ゼ……ゼロ!? どこから喋っているのサ!?」
『テレパシーだ。それよりもお前、戦艦にいる乗組員達を、殺しはするな、引っ捕らえよ、と言ったはずだ……』
「だから僕はブラックホールを使って捕まえたのサ! 何か文句あるかい!」
 突如出現した黒い穴も、どうやらマルクの魔法だったようだ。
 ゼロのテレパシーの声がいっそう強くなる。
『まだ4にん残っていただろ! こやつらに何故危害を加えた? 言われたこと以外はするではない!』
「はぁ……何でゼロはいちいちそんな面倒くさいことするんだい? どうせ捕まっているカービィへの見せしめに使うだけだろ?
 それなら、わざわざ全員捕まえるんじゃなくて、少しだけ、とっつかまえて、後は消しちゃう方が良いんじゃないのか?
 今思うと、4にんは連れて行きすぎだったのサ。ギャハハハ!」
『全員だ、全員!! さっさと引っ捕らえろ!!!』
 頭にガンガン響く程、怒鳴られたマルクは、ひとつ舌打ちをして、また黒い穴を作り出した。しかし、
「ありゃりゃ!? 何であいつ等居ないんだ? 気失ってたはずなのに……」
 気を失っていた4にんは既にそこにはいなかった。

「全く。マルクは何をやっているんだ……」
 ファイナルスターの司令室で、ゼロは部下の愚行に苛立っていた。
 隣にいたカービィはただ、不安そうな表情でうつむいていた。マルクがカービィに変身して言った言葉を
仲間達はどう受け止めたのかがずっと心配だったからだ。
 しばらくすると、ひとりの人型ダークマターが部屋に入ってきた。
「……用件はなんだ」
「ゼロ様! リップルスター侵略計画は無事成功し、妖精も一斉捕獲しました……しかし、肝心の"クリスタル"がどこを探してもありません!」
「……阿呆かお前。ないなら見つかるまで探せ! そんなことも分からないか!」
「そのつもりです! 第3部隊、第4部隊、第5部隊が全力で星の隅から隅を探してます!」
「物を見つけるまでが探す、ということだ! くだらんことをいちいち報告するでない!」
 その会話を傍から聞いたカービィは、頭に重い物が落ちた気分になった。
(一斉捕獲……じゃあ、リボンちゃんも、捕まった?)
 止まることを知らないダークマターの侵略。それを止められない自分の弱さに、カービィは心の底でふつふつと沸く怒りを感じていた。
page view: 1505
この小説を評価する:                   (5)