オリオンさんの小説

【たたかいの彼方に】 第9話 『欺き』


第9話『欺き』

 ダークマターの侵略計画は着々と進められ、遂に、草花の惑星"フロリア"の一帯を全て侵略することに成功した。
これも、ナイトメア、マルク、ダークマインド、ダークゼロ、ドロシア、ギャラクティックナイト、と強大な悪者達を
ダークマター軍傘下に入れることに成功し、かつてない戦力を保持することができたからだった。

「ゼロ。お前の言っていた、こざかしい戦艦をぶっ壊しておいてあげたのサ」
「ふふふ・・・・・・よくやった。マルク」
 ダークマターの本拠地――ファイナルスターの中心部でのこと。ダークマター達の親玉にして総司令官を務めるゼロ。
そして、そのゼロに"マルク"と呼ばれた、先が二つに分かれた帽子を被った道化師が、話をしていた所だった。
 その2人の傍では、不安そうに座り込んでいるカービィがいた。かつて、何度もダークマターや悪者を退治してきた彼だったが、
今回は逆に捕まってしまい、身動きも取れなくさせられた。護身用として持っていた、敵を吸い込まずしてコピー技を使うことができる
"コピーのもと"も、没収させられてしまい、ただ、他の仲間達の助けが来ることを祈るしかできない状況におかされていた。
 そんなカービィにマルクが寄って言い掛けた。
「プクク・・・・・・みじめだな、カービィ。そんなお前の不安そうな表情。僕にはたまらないのサ。
 それより、僕が壊した戦艦の中に、ヘンテコな動物達が沢山いたけど、あれはお前の仲間なのか?」
 "ヘンテコな動物たち"という言葉に、カービィが反応した。
「・・・・・・きっと、リック達だ! マルク、リック達に何した!?」
 するとマルクは、笑いながら言った。
「ハハハ! きっとカービィは僕がしたことを知ったら絶望するだろうな。まず、お前の姿に変身して、あの戦艦に潜り込んだんだ。そしたら、変な仮面の騎士がここには強力なバリアが貼ってられていて入れないとか言い出したから、僕は嘘ついてやったのサ。あの星にバリアなんかない、と。そしたらみんなまんまと騙されちゃって、戦艦で突っ込んでいくわけ。勿論壊れたのサ。面白かったから僕がトドメを刺して戦艦を粉々にしてやったのサ」
「粉々・・・・・・じゃあ、リック達死んじゃったの?」
「残念。しぶとく生き残ってたよ。しかも、なんてことするんだって怒り出すから、僕はこう言ってやったのサ。お前達が一緒にいると、足手まといで邪魔だ、ってね!」
 最後の言葉を言い切った後、部屋はいつになく、しんとした。
「・・・・・・それを、僕の姿で言ったの?」
 やがて、声を震わせながら喋り始めたカービィに向かい、
「ギャハハハ! そのとおり! みんな悲しい顔してた。僕はもう、見てるだけで興奮したのサ!」
 とマルクが大笑いした。一方、カービィの目には涙が浮かんでいる。
 しばらくすると、ずっと無言だったゼロが話にでた。
「ククク・・・・・・悲しいだろう、カービィ。でもお前は・・・・・・お前は、本当は心のどこかでは、リック達を邪魔くさい奴等と思っているはずだ」
「・・・・・・なんで僕がそんなことを思わないといけないの?」
「お前は本来は強い。しかし、仲間を作ろうとするその臆病な心が、お前の強さを台無しにしているのだよ。あんな変な動物達6匹や"裏切り者"と一緒にいて何が楽しい? それだけではなく、どこの星から来たかも分からない変な姿をしてる生き物や羽の生えている奇妙な生き物なんかと仲間になって・・・・・・なぜそこまで仲間を作りたがるか、理解に苦しむよ」
「仲間を作ることは臆病じゃない!」
「どうかな? 時期にお前は悟る。仲間なんか作らなければよかったと。そして、誰にも頼らず、自分ひとりだけで前に進むことの素晴らしさを知ることだろう。・・・・・・"KD計画"によって!!」
 "KD計画"という言葉を言い切った後、ゼロが不気味な笑い声を放った。そして、カービィの表情がさらに険しくなる。
 ゼロは、そんなカービィをしばらく見ていたが、やがて嘲笑うように息を払い、目玉をマルクのほうに向けて言った。
「マルクには、済まないがもう一つ命令を下す。あのしぶとく生き残った戦艦の乗組員達を・・・・・・殺しはするな。引っ捕らえてこい!」
 お安い御用、とマルクは、得意の"ワープ"を使い、部屋から姿を消した。 

「あのカービィは、絶対偽物です。僕には分かります!」
 戦艦を壊され、酷い言葉を浴びせられ、悲しみの底にいた8にんの中のひとり――ピッチが強くそう言った。
「では、何故そう思えるのか理由を説明してくれないか」
 戦艦を壊されて相当ショックだったはずのメタナイトは、表面的には冷静さを取り戻していた。
「最後にあのカービィはダークマターの本拠地へ向かうって言ってましたよね・・・・・・バリアが貼られていることを知っていて」
 この時、うつむいていたピッチとメタナイト以外の6にんは、ハッと顔をあげた。本拠地にバリアが貼られていることを知っていないと
あのような嘘をつくことはできない。しかし、カービィは本拠地へ行くことができるような言い方をしていたのである。
「確かに・・・・・・あのカービィの言うことはおかしいわ」
「はぁ・・・・・・なんで俺はこんなことに気が付かなかったのか」
「それだけでは、ありません」
 ピッチがそう言った後、"激しく"輝くワープスターが、8にんの所にやって来た。
「このワープスター・・・・・・あのカービィは攻撃を受けて故障してしまったって言ってたんですが、故障どころが傷すらないんです。
 それどころが、何かに怒っているように"激しく"輝いてます。さっきのカービィは偽物で、僕達を騙す罠としか思えません」
 見事に矛盾を突いていたピッチ。――というより他のひとたちがあまりの衝撃に気づかなかっただけかも知れない。
 冷静さを失ってはいけない。感情が先走ってはいけない。8にんはこのことを痛感していた。そして――
「ありがとう。ピッチが居なかったら、ずっと落ち込んでたままだったかもしれない」
「それよりも、あの偽物をブッ倒さないとな」
 8にんの目にたたかう気力が戻り始めた。そしてもう一度、ダークマターを倒し、"本物"のカービィを見つけ出すことを誓った。
 だが、その時だった。
 宇宙空間からいきなり真っ黒い穴が開き始める。そしてそこから、凄まじい引力が生じた。
「わわ! あれは何ナゴ!?」
「逃げろ! 吸い込まれるぞ!!」
 その穴の引力は次第に強くなり、やがて8にんのうちの、リック、クー、カイン、メタナイトの4にんを吸い込み、閉じて消えていった。
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