オリオンさんの小説

【たたかいの彼方に】 第6話 『迫る危機』


第6話『迫る危機』 

 リック等がダーク・リムルを倒した頃、ポップスターでは、ダークマターの本格的な侵略が始まっていた。何十、何百、何千ものダークマターがポップスターを覆い尽くし、土地の一部は、もはや占領下になっていた。
 勿論、それを阻止しようとするひとたちもいた。"自称"国王のデデデを筆頭に、その手下達がプププランド各地でダークマターの侵略の歯止めをかけていた。しかし、戦局は――

「大王様、大変です! ウィスピー率いるベジタブルバレー辺りの軍隊が殲滅させられました!」
 大王がいたデデデ城の最上階の部屋の扉を開け、慌てた表情で話す、頭にバンダナを巻いたワドルディ。一方、大王がしかめた表情で
「ぐ・・・・・・このまま行けば、プププランドにも被害が及び、侵略も時間の問題か。せめてこのダークマター軍を指揮している者さえ倒せれば、勢力は弱まるはずなのだが・・・・・・普段は争いなんて滅多にしない民族では、防ぐことができないのか」
 と諦めともとれる言動をしてため息をついた後、今度は考え込むように言った。
「それに・・・・・・カービィがどこを探しても見つからないのが不思議だ。ワシが昔、住民から食べ物を奪った時に、ものすごい勢いで飛んできたような正義感の強い奴が、こんな大騒ぎに限って、姿を眩ますとは・・・・・・せっかく協力くらいしてやろうと思ったのに」
 曰く正義感の強い奴は今、その侵略者に捕らわれている。無論そのことを、大王を含め、プププランドにいる者は全員知らない。
 部屋中が途方に暮れていた時、城の近くで叫び声が聞こえた。その声は、大王にとって聞いたことのある声だった。
「ワド! ここで部屋の管理をしろ。ワシは外へ行く!」
「あっ・・・・・・ちょっと待って下さいよ!!」
 と悲しくワドルディをものともせず、部屋に掛けていたハンマーを担ぎ、叫び声のした方へ、駆けつけた。
 
 すると、そこには、ポップスターでは見られない容姿をした少女と、なにやら興奮しているように見えるひとつ目のダークマターがいた。
「ぐふふ、追いついたぞぉ・・・・・・さあ! 僕の体になれ!!」
 そう言いながら、その少女に向かって突進し始めた。大王はその隙を狙って、素早くハンマーでぶん殴り、突進を止める。
「! ・・・・・・ありがと。デデの旦那」
 "旦那"と呼んだ少女――アドレーヌは、興奮しているダークマターから逃げ続けていたのか、弱々しい口調で礼を言った。
「誰だおまえは? 息を荒くして・・・・・・」
 そう尋ねる大王に、ダークマターは、さらに息を荒くして、怒り出した。
「むむ、お前か! 僕とアドちゃんとの時間を妨害する奴は! そんな奴に名前を言う資格はない!」
 そして、ひとつ目ダークマター特有の、目からの光線で大王を攻撃しようとする。が、大王は体を膨らませ、フグのような形になって上手いことかわし、息を吐いて元の姿に戻り、もう一度、ハンマーで攻撃を加えた。すると――
「いてて・・・・・・第8部隊隊長こと"ダーク・リムラ"をここまで追い込むとは、やるじゃねぇか」
 とさっき言ったことも忘れて、余裕で名前を口にしたリムラ。一方大王は、名前を聞いて、アドレーヌに異様なまでに執着することに納得した。
「お前、かなり昔にアドに乗り移った奴だな?」
「ややや! ご名答。でも僕、お前見たことねぇぞ? 僕が見たのは、ピンクい玉みたいなのと、赤いやつと、あと、可愛らしい妖精さんと・・・・・・とっても素敵な絵描きさんだ。あの子に乗り移ったときは最高の気分だった。特に乗り移る瞬間がね。体と体が接触する・・・・・・ぐふふ! たまらない!」
「・・・・・・変態め。とりあえず、お前がこの軍団を率いているのだな? 下っ端どもへの見せしめとしてお前を倒してやる!」
 と長ったらしいリムラの語りを、適当に流し、大王はもう一度ハンマーを振りかぶって、襲いかかり――かわされた。
「隊長の力を甘く見るなよ!」
 そう言って、素早い動きをしながら、目から黒い光線を何本も出して攻撃をする。
(くそ! 思ったより素早い。ハンマーじゃかわされる!)
 リムラは攻撃をかわし、光線で相手を傷つけていく。大王の帽子、ガウンは次第にボロボロになっていった。
「ぐふふ、僕はすぐにキレるリムルとは違うんだ! これでも喰らえ!」
 とリムラは目を光らせて、何かを溜める行動に出た。おそらく強力な攻撃が来る、と察するが、体力の消耗もあって、かわしきれる見込みがないとうすうす感じていた。
 そんな時、ダーク・リムラは急にひるんだ。そして、雷にでも当たったかのように痺れている。
振り返ると、そこには、キャンバスを立て、筆とパレットを持ったアドレーヌの姿があった。彼女は、自分の持つ、絵の実体化能力でクラッコを描き、雷をリムラに落としたのだ。
 やがてリムラは、地面へと落ち、消滅していった。
「アド・・・・・・助かった」
「うん。助けてくれたから、そのお返しだよ」
 クラッコをキャンバスの絵に戻しながら、大王の所へ、かけよった。
 しかし、これで終わりではなかった。
「!! 何? あれは!?」
 急に、彼女は驚き、指を指した。大王もその方を見てみる。すると――
(なぜ・・・・・・隊長を倒しても、勢力が弱まらないんだ? いや寧ろ強くなっている)
 大勢のダークマターが、プププランドの空を包むかのように襲ってきた。やがて、それらは、辺りを攻撃し、建物、自然をみるみると破壊していく。
 やがて2人の所にも、ダークマターはやってきて、その矢先、攻撃を仕掛けてきた。
 大王がハンマーを振り回すものの、多すぎるまでのダークマター達には、何の意味もなかった。アドレーヌは、絵を描いて初めて攻撃などができるわけで、こんな状況では何もできない。
 やがて、2人は追い込まれ、人型のダークマターに剣を四方から突きつけられ、完全に動けない状態にされてしまった。
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