オリオンさんの小説

【たたかいの彼方に】 第4話 『仲間のために』


第4話『仲間のために』

「カービィは・・・・・・きっとダークマターに捕らわれたんだ」
 カインがそう悲しげに言い切って後に、しばらく続いた沈黙の後、リックが言う。
「お・・・・・・おい、カイン! なんでそんな風に考えるんだよ! カービィは、もうあの本拠地に、潜入して戦っている! そうとも考えれるだろ?」
 カインが少し、顔をしかめて言い返す。
「なぜ、そう思った?」
「なぜかって言われても困るよ。でもさ・・・・・・」
 リックの声は少し震えていた。彼も、カービィが、カインの言うとおりになっているのかもしれないと思っていたから。
「・・・・・・でもさ、ここでそういうこと言うのは止めようぜ! せっかくダークマター倒しに行こう、ってみんなで盛り上がってたのに、ここでお前が変なこというから・・・・・・」
「変なこと? 僕は、自分の考えを言っただけだよ!」
「ちょっと。ここでケンカはよくないナゴ!」
 言い合いになりそうな所をすかさず止めようとしたナゴ。しかし、張り詰めた雰囲気に、変化は一切もなかった。
 張り詰めた雰囲気と静寂がしばらく続く。その時、戦艦の前には――
「・・・・・・ん? ワーピスターが戦艦の前で止まっている」
 それに最初に気づいたのはメタナイトだった。そして、他の7にんも見る。
戦艦の前に止まっているワープスターは点滅的に光り、何やらサインを出しているように見えた。
 リックがそれにすかさず気づき、というより一方的に察して、言った。
「きっと中に入れて欲しいんだ。おいらが行ってくるよ」
 そして、本当に分かっているかは分からないが、出口の方へ走っていった。
 リックがいなくなった後、わざとらしくため息をつくカインを見たチュチュは、こう話しかけた。
「あんたって見た目からして、無口そうに見えたけど、意外とはっきり言うんだね」
「・・・・・・ごめん。今は、あまり話したくない」
「そう・・・・・・」 
 とカインからの返答を彼女がまた返したのを最後に、無言の空間が広がった。
 しばらくしたとき、突然叫び声が聞こえてきた。
「リックの声だ! 俺はそっちへいく!」
「・・・・・・ぼっ僕もついて行きます!」
「私はハルバードを操縦しないといけないからここに残る」
「じゃあ、私たちでいくわ。・・・・・・カインは?」
「・・・・・・もちろん、行くよ」
「待って〜。僕を忘れないで〜」
「グーイ。早くするナゴ!」
 メタナイトを残し、クー、カイン、ナゴ、チュチュ、ピッチ、グーイの6にんは、先ほどの叫び声
の方へ向かって走っていった。すると――
「あれ? さっきの叫び声、リックのだよな?」
「う・・・・・・ううん。俺は何も言ってないよ」
 ワープスターを抱え、何食わぬ顔をしているリックがそこにいた。
「はぁー、リックさんの、ひと騒がせ」
 と何事もなかったことに、他のひとびとは、呆れつつホッとした。だが・・・・・・
「・・・・・・カイン! 何をするんだ!」
 クーが叫ぶ方に、他が向くと、カインがいきなりグーイを口に入れ、得意の"スパ−ク"でリックを攻撃していたのが見えた。
そして、グーイを口から出してカインは言った。
「みんな。リックはダークマターに取り憑かれている。騙されてはいけない」
「何でそんなことが分かるのよ?」
「だって、リックはいつも自分のことを"おいら"って言う。でもさっきは"俺"だった。それに、なんかさっきから動きや、喋りが不審なんだ」
 すると、リックの体から黒い何かが出てきた。そして、出てきた黒雲はひとつ目を開け、
「ふふふ。察しの良い、さかなじゃないか。そうだ。俺が第1番部隊隊長ダーク・リムルだ」
 と正体を明かし、そして名を名乗った。
 他の生き物に憑依し、意志を操る。これこそがダークマターの能力で、恐れられる所以だった。
 やがてダーク・リムルは、6にんに向かい、突進を仕掛けようとする。その時、
「くらえ! 羽カッター!」
 クーがグーイを足で捕まえながら咄嗟に回り込み、"カッター"でリムルを攻撃した・・・・・・はずだった。
「ふん。甘いぞ」
 そうつぶやく声と共に、クーの背中に強烈な突進をお見舞いした。とある妖精を星へ吹き飛ばす程の力であるから、クーは戦艦内の
壁に激突した。
 今度はチュチュがグーイの上に乗って"アイス"を使い、氷を飛ばして攻撃しようとするが、リムルはあっさりと見切り、
また突進でチュチュをブチ飛ばした。
「・・・・・・遅いんだよ。おまえらは、いちいちその"黒いの"と合体しないと、強い技が使えないのか? 呆れる」
 リムルの目が、弱すぎて話にならない、と語っているように7にんには見えた。 
「・・・・・・何もいうことが無いなら、もう遊びはやめにして、今から俺の本気を見せてやるよ」
 そう言ったリムルは、体から出てきたオレンジ色の鱗みたいなのを放った。7にんそれぞれは、すかさずかわす。が、
艦内の床に鱗みたいなのが当たった瞬間――爆発。その床は真っ黒く焦げ、変形までした。どうやらあれは爆弾のようだ。
「あわわ・・・・・・あんなの喰らったらひとたまりもありませんよ・・・・・・」
「ピッチ! そんなこと言ってる場合じゃないわよ!」
 やがて、グーイと合体してコピー技を使う隙もないと察した6にんは、爆弾を放ち続けるリムルから、必死に逃げ回った。

 逃げて逃げて、気が付けば7にんは戦艦内のとある小部屋に入ってしまっていた。周りには剣やら槍やらとあるから、どうやらここは武器庫のようだった。
「ふん。行き止まりのようだな。いまからトドメをさしてやる。ここならよけれまい」
 まさに万事休すの状態となった7にん。
(どうしよう・・・・・・おいらがダーク・リムルを入れた。周りよく見てなかったからこんなことになったんだ)
 この時、リックはそんなことを考えていた。そしてさらに、今までの言動を思い返すと、
(おいらはちょっと調子に乗ってたな・・・・・・)
 そう思ってしまい、仲間にごめんを言いたい気持ちがあふれ出てた。
 体から爆弾を出すリムルに恐怖してしまい、あとずさりをする。
 しかし突然、リックの背中に、何かが当たった。
(なっ? なんで"これ"がこんな所に・・・・・・)
 見ればそれは、懐かしい物だった。初めてダークマターがポップスター、その中にある虹の島々を侵略したとき、英雄がダークマターを倒すために使った剣だった。
 しかし、不安もあった。この剣を使いこなすことができるか。そもそも剣自体触れたことがない。場合によっては、仲間に迷惑がかかるかもしれない。
(でも、このチャンスを逃したら、おいら達はここで終わってしまう!)
 仲間を助ける力が欲しい。ここで失敗したら、迷惑がかかる。操縦で手が離せないメタナイトにも。
 ダーク・リムルが爆弾を放った瞬間、リックは後ろにある剣を強くつかみ――リムルに向かって思いっきり縦に振った。
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