オリオンさんの小説

【たたかいの彼方に】 第2話 『最後の星』


第2話『最後の星』

「ん・・・・・・ここは、どこ?」
 目が覚めて、見慣れない周りの景色を見て、そう口にした桃色の球体の形をした者――カービィは辺りを見回す。
「暗くて不気味なところ」
 そんなことを言いながら辺りを歩くと、不気味な笑い声が聞こえる。
 その方に顔を向けると、漆黒の緞帳から、真っ白な球体で、目は赤く、カービィの何十倍もあるような体積の物体が現れた。
「やっと目覚めたか、カービィ」
そうゆっくりとしていて、且つ、肌がピリピリするような威厳を持った口調で話しかける。
その声の主こそ、過去に何度も悪さをしてきたダークマターの親玉だった。名前は――
「ゼ、ゼロ! なんで? 僕が倒したはずなのに?」
 そう言ったカービィにゼロは、いきなり赤い光線のようなものを発射し、カービィを攻撃した。そして、目を見開いて言う。
「そうさ。あれから、かなり前になるかな。お前のせいでポップスター侵略は見事に失敗した。
 その後、余は幽霊と化け、リップルスターにあるクリスタルを手中に収めようとしたものの、またもお前に阻止された」
「違う。僕はなんで君が復活したか、て聞いているんだ!」
 そう言うカービィに向かい、ゼロは、
「お前に倒された後、余は思った。なぜ、余は毎回の如く、倒されてしまうのか。そして、理由が分かった」
「どんな理由?」
「それは教えない。とにかくお前に倒されたことがあまりにも屈辱で、散りきれなかった。というふうに考えてもらえばいい。そして余は今までの屈辱を糧に、今度こそポップスター、否、銀河征服を成功させる!!」
 と目をさらに見開いて言ったが、何故かカービィは笑いだす。
「・・・・・・残念だねゼロ。君の野望は僕がこの場で止めてあげるよ」
 そう言いながらカービィは、体を、道化師の帽子をかぶり、ステッキを持った姿へと変身させた。
そしてステッキから、波動弾を繰り出し、直撃。この攻撃を隙にさらに他の技でたたみかけようとしたカービィだったが、直撃したはずのゼロは、うんともすんとも言わず寧ろ奇妙な笑みを浮かべていて、そんな姿を見てカービィは後ずさりし、先ほどの笑顔は、険しい表情へ豹変してしてしまった。
「フフフ。そんなへなちょこな攻撃が効くと思うのかね? あまり余を軽視しないでもらいたい。それより気になるのは・・・・・・」
 そう言いながらゼロはカービィと目を合わせ、その目を光らせる。
「なっ何これ? 動けないよ!?」
「お前には、敵の力をコピーする能力があることを余は知っている。が、なぜ、何もしていないのにいきなりその能力が使えるんだ? 口の中を、調べさせてもらおう」
 そう言ってゼロはもう一度目を光らせた。どうやらそれには念力があるようだ。
 何もできないカービィの口の中からいろんなものがたくさん出て行く。その中で、目をつけたものがあった。
 プププランドに住んでいる生き物をかたどったフィギュアがいくつもあった。
 かたどられていた生き物はいかにも、炎を吐いたり、電気を発しそうな姿をしている生き物達だったから、ゼロはすぐに原因が分かった。
「そうか。このフィギュアみたいな物が、お前にコピーする力を与えていた。
 いわゆる"コピーのもと"と言ったところか。フフ、これは没収だな」
「・・・だめ! 返して!!」
 そう叫ぶカービィの体に、雑魚は黙ってろ、という罵声と赤い光線が届いた。
「い、痛いよ・・・・・・逃げなきゃ・・・・・・ここから逃げなきゃ!!」
 力を振り絞って立ち上がったカービィ。しかし、彼の目先には闇しか写らない。
(あれ、どこに逃げればいいの? 場所、わかんないよぉ・・・・・・)
 やがて無気力に座り込むカービィの背中に向かい、ゼロは言った。
「そういえば、ここがどこかを言うのを忘れていたな。ここは余の部屋。司令室とも言えるかな。とにかく、お前はさらわれたんだよ。余と、余の配下が作った星――"ファイナルスター"に! この銀河に残る"最後の星"に! そう。侵略はもう始まっているのさ。そのために邪魔なお前をあらかじめ動けなくしようと思ったのだよ。グハハハ! 実に簡単だった。催眠魔法をかけて、眠ったお前をここまで連れてきただけのことだからな。護身用にコピーのもとを持ってきたとはいえ、さすが"呆れるほど平和な国"の英雄だ!」
カービィはそんなゼロのいやみたらしい話など聞かずに、ワープスターを呼ぼうとする。しかし、
「フハハ! 誰も来ぬわ! この星には強力なバリアをはっておいた。通信は届かないだろう。お前は"今は"ギャラリーとして見ていてくれたまえ。余の銀河制覇をな! ・・・・・・ん?」
そう言いながら笑っていた白目玉は、何かに気づいたように、ゼロの部屋――司令室に搭載されていたモニターを見た。
 するとそこには、巨大な戦艦らしきものが写っていた。
「ふむ。早速邪魔者がいるではないか。・・・・・・よし。第1番部隊、出撃せよ!」
 ゼロがそう命令すると、沢山のダークマターが戦艦に向かっていく所がモニターに映っていた。

「着いた・・・・・・おそらくあれがダークマターの本拠地だ」
メタナイトが言いながら指を指した先には、出発する前に見たときよりもさらに、見るのを躊躇うほど禍々しい姿の星があった。
「確かに、黒い目玉みたいなのがうようよしてる。絶対そうだ」
 リックがその星を取り巻いている目玉みたいな者を発見したことで、"おそらく"は"絶対"となった。
(おそらくあの中で・・・・・・カービィが戦っている)
 みんなそう思っていた。しかし、英雄は戦ってなどいない。ダークマターに捕らわれている。無論、8にんはこのことを知らない。
「来たぞ!敵だ!」
 メタナイトが叫ぶ。外には"沢山"の殺気だっているダークマターがいた。
 そして、この光景が、8にんに緊張を走らせる。
「うっ。たしかダークマターは1体でもそれなりの強さだろ? それがこんなに・・・・・・」
「おいら達はこんなのと戦うのか・・・・・・」
 今まさに、決戦の火蓋が切られた瞬間だった。
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