オトモカービィさんの小説

【闇と鏡】三章 ―可能性―


五人は、近くの小屋に入って情報交換をしていた。
ウィスピーウッズはその場から離れることはできないため、ここにはいない。
「……むう。これは一大事だな」
メタナイトがそう言って俯く。先ほど見たダークマターだが、実はデデデ大王の城にも襲いに来たのだ。メタナイトの援軍が遅れたのは、そのためだ。
一方のカービィは、ダークマターを見たことによって混乱していた住民を落ち着かせていたために遅れてしまったのだ。シャドーカービィが深刻な顔をして口を開く。
「マインド、だったりするのかな。僕らのこと、もう必要ないって言ってたし……」
「違う」
思わずダークメタナイトが否定をする。シャドーカービィが驚いた表情を見せる。が、みるみる内に驚愕は憤怒に代わっていく。
「悲しんではられないとは言ったけど、怒ってないとは言ってないよ? 僕だって疑いたくないさ。でも、必要ないって言われたのも事実だし、可能性としては挙げられるはずでしょ」
身を乗り出したシャドーカービィを、アドレーヌが抑制する。納得がいっていないようで、座るときに荒々しく音をたてた。
迂闊に返答すべきではなかった、とダークメタナイトが小声でつぶやく。誰にも聞こえてはいないようだった。誰かが聞いていれば、共犯者と間違われる可能性があった。
「とにかくだよ」
カービィが皆の顔を見渡す。
「ダークマターが復活したってことは、ゼロとゼロツーも復活している可能性がある。そして……」
一旦口を閉じて、背負っていた巾着袋から黒く光る星が付いた、一本の棒を取り出す。
「ナイトメアも復活した可能性があるんだ」
その棒は、紛れもないスターロッドそのものだった。

どうやら、ナイトメアが復活したらしいということは噂として国中に広がってしまったようだ。
ダークマターの出現もある。もう、誤魔化すことはできないだろう。国王として、今やるべきことは何なのか。
カービィへの助力か? 国民への励ましか? はたまた、責任を取っての辞任か?
分からない。何もかもが分からない。問題が一つだけなら、迷うことなくカービィへの助力を選んだいただろう。
だが、今回は違った。ナイトメア、ダークマターの復活。度重なる危機に、国民の堪忍袋の緒が切れてしまったのだ。
「大王様。大丈夫ですか」
ワドルディが心配そうに声をかけてくる。大丈夫なはずはなかった。が、一国の王が非常事態に暗い顔を見せてどうするんだ。
「大丈夫だ。心配はいらない」
なるべく、不安が声に現れないように答えたつもりだったが、気付かれてしまったようだ。ワドルディは無言で部屋を出て行く。
カービィが見せに来たスターロッドは、どす黒く染まっていた。ナイトメアの仕業なのか。それとも、ダークマター達の仕業なのか。第三者の仕業なのか。知る由もなかった。
「デデデ」
「ミツけタ」
「つカマえロ」
窓ガラスを割って、三体のダークマターが部屋に侵入してきた。
「甘い」
ハンマーで、横っ腹を思い切り殴りつける。ハンマーに仕込んでおいたブースターの加速により、威力は以前ダークマターが来た時の数倍以上に膨れ上がっている。
油断していたダークマターは、防御するために構えた剣を折られて壁に叩きつけられた。そのままの勢いで、柄を床に突き立てる。部屋が大きく揺れた。同時に、ハンマーの打撃部分が蓋のように開く。
「こういうのは、どうかな?」
ミサイルがハンマーの中から次々と発射される。反応が遅れたダークマターが右に跳んで避ける。が、追尾性能の高い特性ミサイルは直角に曲がってダークマターに直撃した。
やがて、ミサイルが尽きる。辛うじて生き残った一体のダークマターが斬りかかってくる。
「ミサイルだけだと思うなよ」
ハンマーから火炎を放射する。炎はダークマターを瞬く間に包み込む。火を消そうとしているのか、部屋を燃やして共倒れさせようとしているのかはわからないが、ひたすら床をごろごろ転げまわっていた。
戦闘になることも想定内のため、城中の木材には耐火コーティングしてあるのだ。無駄な行為だった。やがて、ダークマターは動かなくなる。火があると落ち着かないので、消しておく。
「きりが、ないな」
部屋には、今の三体とは別に複数体のダークマターが転がっていた。窓も、付け替えれば直ぐに割って入ってくる。
静かに考えることもできないじゃないか。ふと、窓からメタナイトが向かった森を見る。先程までは、たくさんのダークマターが森の上を飛んでいた。だが、今となっては一体も飛んでいない。
そういえば、前のダークマターはこんな直接的に攻撃を仕掛けるような奴じゃなかった。誰かに取り付いて、欺いてから奇襲を仕掛ける。そんな狡猾な奴らだった。
ただ、ひたすらに目標に向かって斬りかかるのは、あいつらのやることではないような気がする。なら、こいつらは何なのだ……?
背後で物音がする。振り向くのと同時に何かが弾け、頬を掠めた。ダークマターが次々に起き上がってくる。
「まだ立ち上がれる力が残っていたのか……っ!」
ハンマーを構えようとすると、また何かが弾ける。弾丸のごとく飛んできた物は、両手の甲に深々と突き刺さった。
「ぐぅ」
力任せに引き抜く。これは……鏡の破片……?
目の前にいたダークマターが破裂した。鏡の破片に酷似した物が部屋中に錯乱する。突然、部屋の外からドアノブが回され、扉が開いた。
「大王様。何かあったんで――」
「入るな!」
ワドルディが部屋に足を踏み入れた瞬間、ダークマターが一斉に破裂した。
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