オトモカービィさんの小説

【闇と鏡】二章 ―一つ目剣士―


「みつけタ」
「ニガサなイ」
二体のダークマターが同時に斬りかかる。咄嗟に、剣で防御するもののシャドーカービィを背負っていたので思うように力が入らなかった。
「ウィスピーさん! この人達って……」
アドレーヌが目を見開く。かつて、プププランドがダークマターに征服されかけた時に、彼女もダークマターを見ていた。
あの時となんら変わりの無いダークマター。カービィが皆と力を合わせて倒したはずなのに、こうしてまた目の前に現れていた。
「……うむ。ダークマターじゃな? 忘れもせんよ」
ウィスピーウッズが大声で叫ぶと、一羽の小鳥が鼻に止まった。小鳥に何かを話しかけると、音を立てずに小さく飛び去った。
「ダー坊! カー坊達が到着するまでの辛抱じゃ。ワシとアド坊も加勢する!」
突然、地面が大きく揺れる。それと同時に、そこら中の木からリンゴがダークマター目掛けて降ってきた。
余りの数に、全て切るのは無理だと判断したのか後ろに跳ぶ。地面にぶつかったリンゴは潰れることもなく、後ろへ跳んだダークマターを追いかけるように軌道を変えて転がった。
「待たせてごめんなさい。……行って!」
アドレーヌがダークマターの方にキャンバスを向ける。アイスドラゴンが描かれていた。
ダークメタナイトには、何をしているのか理解することはできなかったが、ダークマター達は理解することができたようだ。
「ハヤク」
「ダめダ ておくレ」
一体のダークマターがもう片方の忠告も聞かずに、キャンバスに切りかかる。次の瞬間、キャンバスから冷気が発せられ剣を握っていた手が、剣と一緒に凍り付く。
「うギゃああアァァァあ!」
キャンバスから、絵が飛び出してきた。それは、目の錯覚にしては出来すぎたものだった。既に、実体化して本物と何ら変わりないものとなっているのだ。
ダークマターが見せた一瞬の隙を見逃さずに、地面を強く蹴って跳びあがった。切っ先を真下にいるダークマターに向けて、翼を使い急降下する。
肉が裂ける音が森に響き渡る。流石のアドレーヌもその光景には目を瞑っていた。ダークマターは脳天からつま先まで綺麗に真っ二つにされていた。
「イタぞ」
「あソコダ」
「ヤラレてル」
「マダ ヒとり」
先程の悲鳴を聞きつけて、大勢のダークマターが一気に現れた。ダークマターの軍勢は瞬く間に三人と一本、一体を取り囲む。
「カー坊達はまだ来ないのか…… ちと、厳しいかのう」
ダークマターのリーダーだと思われる、一回り大きいダークマターが剣を掲げる。そして、振り下ろす。
「カカレ」
軍勢が、襲い掛かるのと同時に金色の光が弧を描いた。金色の光が通った所に存在していた、全てのものが切り分けられていた。
金色の光の軌道にいたダークマターが次々と倒れていく。それと入れ替わるように、黒い球体がダークメタナイトの背中から起き上がった。
「おはよう。ダーク」
「目覚めは最高だな? シャドー」
シャドーカービィは無邪気に笑った。

こんなこともあろうかと、こっそり携帯していたマスターソード。使う時が来るなんて思ってもみなかった。
それにしても、マインドから言われた通り良く切れる剣だ。カービィはこんな使い勝手の良い剣を残してくれていたんだ。
「何時までも悲しんでられないかな……って」
ダークは、安堵したかのようにため息をついた。僕の背後には、ベレー帽を被った女の子と大きなリンゴの木がいた。
そして、僕達を取り囲む一つ目の剣士たち。中には、UFOのような形をしたのまでいる。一体、こいつらは何なのだろう。何が目的なんだろう。
「シャド坊。やっと起きたかい」
リンゴの木が話しかけてきた。僕が振り返って笑顔を作ると、顔と思わしき部分が笑顔を模った。
一つ目剣士達は、仲間が一斉に倒れたことに驚きを隠しきれていないようだった。それもそのはず。最高のコンディションで振られたマスターソードからは風の刃が飛ぶのだ。避けられるわけがない。
「ウィスピーさん! ダークマターが出現したって本と――」
森の奥からピンク色の球体、もといカービィが現れた。カービィの顔は、一つ目剣士達を見つけるや否やみるみる内に強張っていった。
「カービィ」
「てキ」
カービィを見つけた途端、一つ目剣士が一斉に襲い掛かった。しかし、突如現れた第三者の手によって斬り伏せられてしまった。
「これは…… 一体全体どういうことなんだ」
仮面の騎士メタナイトは僕らと一つ目剣士達を交互に見比べていた。
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