オトモカービィさんの小説

【闇と鏡】序章 ―衝突―


「そんな……! あんまりだよッ!」
黒色の球体はその閉め切られた空間の中で叫んだ。
球体の名はシャドーカービィ。かつて、ダークマインドがカービィの悪の心から作り出したのだ。
同じく、メタナイトの悪の心から作り出されたダークメタナイトは俯いて沈黙を貫いている。
「僕たち、いつも一緒だったよね。なのに、なんで」
シャドーカービィの瞳からは涙がこぼれていた。必死にダークマインドに問いかけるが、返事は返ってこなかった。
目を合わせたくないのか、ダークマインドはずっとそっぽを向いていた。心なしか、少し寂しげにも見える。
「もう行くぞ、シャドー」
その場から動こうとしないシャドーカービィの手を引っ張って、ダークメタナイトはその部屋から出ようとした。
「やめてよッ! 放してよッ!」
ダークメタナイトの手を引っぺがそうと、その手を叩いたり振ったりして抵抗していた。
だが、遂に暴れるシャドーカービィは拘束されて、担がれてしまった。
「どうして……ッ!」
担がれた状態でも暴れるが、手足を拘束されていては抵抗にすらならなかった。
ダークメタナイトが小声で何かを呟くと、二人の体が徐々に透けていく。
「どうして今になって必要無いなんて言うのさ……ッ!」
二人の体は完全に透けて見えなくなっていた。暗い部屋の中で、一人たたずむダークマインド。ついさっきまで騒がしかったその部屋は、それが嘘だったかのように静かだった。
「こうするしか…… こうするしかなかったのだよ、シャドー。」

しばらくすると、部屋の中に次々とダークマターが出現してきた。ダークマターたちの目は焦点が定まっていない。何かに操られているようだった。
ダークマターの出現が止まると、その後ろにゼロが出現する。ゼロの目も焦点が定まっていなかった。傍から見れば異様な光景だった。ダークマターたちはゼロの号令で一斉に跳んだ。
次々に繰り出される剣での攻撃を避けきれるはずもなく、剣の一本がコアに深々と突き刺さった。その攻撃はダークマインドの動きを鈍らせるのに十分だった。
コアに重傷を負ったダークマインドの体力はどんどん減っていき、最後には宙に浮くことすらできなくなった。急に浮遊力を失くしたダークマインドは、凄まじいスピードで地へと落下した。
周囲に展開していた鏡は粉々に砕け、破片が降り注ぐ。陸地での移動手段を持たないダークマインドに成す術はなく、降り注ぐ鏡の破片が体中に突き刺さった。
ダークマインドの目の間に、一人の男が現れる。サングラスを掛け、マントを羽織って弱点を隠した男。ナイトメアだ。
「おやおやおや、どうしたのですかぁ? 優雅に宙を舞っているはずのあなたが、何故地に這いつくばっておられるのです?」
ナイトメアは口に手を当ててわざとらしい驚き方をした。口に手を当てた理由は笑いを堪えるためだったのかもしれないが。
「道化め、随分と手の込んだ舞台ではないか」
そう言って、ダークマインドは鏡の破片をナイトメアに飛ばした。しかし、少し横に移動するだけで華麗に避けられてしまった。
それで力を使い果たしたのか、ダークマインドの目は光を失っていく。完全に光を失ったとき、ダークマインドの体は光になって消えた。
「暗黒を名乗っている癖に光になって消滅ですか。恥を知りなさい」
光が完全に消えると、部屋は再び闇に覆われる。その闇の中を見渡してから、ナイトメアはある異変に気付いた。
「あの兄弟がいませんね。逃げられましたか。……直ぐに探し出しなさい」
ゼロにそう言い残すと、ナイトメアは闇に消えて行った。
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