オトモカービィさんの小説

【しろきつばさだいなぶれいど】 〜最終話〜黒き翼と白き翼


「雑魚の分際でほざくナァァ!」
ブラスコピーは真っ先にカービィに襲い掛かった。正式には、無数の手がカービィに襲い掛かったため本人は1歩も動いていない。
“今はナイトメアが足になっているとは言え、あまり負担をかけさせてはいけない…!”
カービィはこんな状況下でも他人の心配をした。なるべく負担をかけないように動いていたし、極力近づいてくる闇の手は剣で斬り落としていった。
それでも、無数の手の数は減らない。むしろ増える一方で、まったくブラスコピーに近づけない。
その様子に気づいたのか、デデデ達も無数の手をハンマーで殴ったり剣で斬ったりとそれなりの応戦をし始めた。
そんな最中、アディオスの投げた1本のくないがブラスコピーの右腕に深く突き刺さった。刺さった部位からは1滴も血の滴は滴り落ちない。
くないを抜いたときは明らかに傷が深く見えた。しかし、数秒も経たないうちに傷口から黒い色の液体のようなものが現れ、その黒い液体が覆っていった部位から傷口は再生していた。
「闇の力での再生って… んなのありかよ」
アディオスは捕らえたと思ったのだろう。相当悔しがっていた。
途端に、無数の闇の手の牽制が止んだ。無数の手はみるみる液状化し、ブラスコピーを包む膜となった。
「このボクに再生できたとはいえ、外傷を与えるとは…! テメエェラゆるさネェェェ!!」
そう言った直後にブラスコピーを覆っていた膜が破裂し、中から黒煙が流出してくる。
皆、何が起きたのか分からなかった。しかし、今まで相手にしていた黒い色の球体が消えている事には気づいた。
黒煙が晴れたとき、目の前に存在する想像を絶する光景に一同は唖然とした。いや、恐怖した。
目の前に存在するのは先ほど相手にしていた黒い色の球体ではない。ダイナブレイドであったのだ。しかも、その翼は黒く殺意も剥き出しにしている。
「このスガタをテにイれるのにイッタイどれクライのジカンがカかったか…」
目の前の黒き翼のダイナブレイドは言葉を発した。これはダイナブレイドではない。ブラスコピーなのだ。
ブラスコピーは羽で体を覆い、何かを唱え始めた。
「拙い! このままでは…」
デデデが気づいたときには既に手遅れ。ブラスコピーは何かを唱え終えていた。
羽を思い切り振り上げてからもう1度振り下ろす。地下書物庫の所々で黒色の爆発が起きた。
爆発が収まった直後に地下書物庫全体が爆発した。黒色の巨大な爆発が。
カービィ達は吹き飛ばされた。辛うじて立てたのはカービィただ一人。他の皆は火傷をしていたり足や手が変な方向に曲がっていたり泡を吹いていたりと普通じゃない状況だった。
「ボクのブラック・クレイモヤをクらってカラダがまだノコっているのはおマエラだけだ。まぁ、もっともこのボクにこのワザをツカわせるホドのテキはいなかったんだが」
右足の骨だけじゃない。カービィは右手の骨も折ってしまった。想像を絶する痛み。ここで弱みを見せたらやられてしまう。
残った左手と左足を使って少ない体力でブラスコピーに抵抗した。それを哀れな目で見つめながら、羽を軽く振って吹き飛ばす。
「そろそろアキラめたらどうだ? ボクのブカになるんだったらイかしてやるけど?」
この問いに少しカービィは戸惑った。彼とて、まだ死にたくは無いはず。だが、答えは決まっている。
「僕は言った。逃げも隠れもしないと。それに、お前に従うんだったら… お前に従うんだったら死んだほうがましだ!」
「良く言ったァ!!」
上空を駆け抜ける大きな1羽の巨鳥。白き翼は本物のダイナブレイドだった。
その背中から何人かの人影が降りてきた。ロックにアリス。メタナイト達もいた。メタナイト達は色々な箇所に包帯を巻いているが、そんなに辛そうでもなかった。
『後は私達に任せてください。ブラスコピーは私が倒します』
ダイナブレイドはブラスコピーと向き合った。大きさ、形などは色を除けば全てが同じだった。
睨み合いが数分続いて我慢できなくなったのか、ブラスコピーが先に襲い掛かった。ダイナブレイドめがけての頭突き。それをダイナブレイドも頭突きで返す。
相手が技を繰り出してきたら同じ技を繰り返す。このままでは埒があかない。カービィが立ち上がろうとしたのを見てアリスがそれを制止する。
アリスは自然を操る力の他に、傷を回復させる治癒魔法のようなことも出来る。今、カービィ達にしているのがそれだ。
ダイナブレイドとブラスコピーは相変わらず技を同じ技で反撃するの繰り返しばかり行われていた。
しかし、ダイナブレイドが相当疲れているにもかかわらず、ブラスコピーは涼しげな顔で汗1つ掻かずにいる。
「ゴサンだったな。ダイナブレイド」
『何ですって…?』
「イマはヨルだ。そしてボクはヤミだ。つまり、クラヤミをコノむ。アトは… ワかるよな?」
ここまで言われれば逆に理解できないほうがおかしいだろう。今は夜。暗闇を好む。つまり、今この時間帯での戦闘はブラスコピーが圧倒的に有利なのだ。
そう、ブラスコピーが余裕になっている間に後ろから不意打ちをされた。極太レーザーで頭を吹き飛ばされたブラスコピーは何事も無かったかのように再生させ、不意打ちをした者を睨み付ける。
「オーッホッホッホ! ボクを忘れてもらっちゃこまるのサ」
ブラスコピーには攻撃は効かないはずであった。が、どういう訳かマルクの放った極太レーザーで同時にえぐられた左肩上部は再生する事が出来なかった。
ブラスコピーがマルクに気をとられている内に何処からとも無くかつて鏡の国で使ったマスターソードが放り投げられた。
放り投げられた方角には鏡が1つあり、中からシャドーカービィがこちらを心配半分と期待半分でこちらを見つめていた。
更に、マスターソードのすぐ隣に虹の剣が出現する。
2つを同時に装備する。カービィには相当な負担が掛かるがやるしかない。前代未聞の二刀流。それでブラスコピーに挑んだ。
「セイヤアァッ!!」
2本の剣を持ったまま、大きく飛び上がって刀身を地面にたたきつける。それに生じて発生する衝撃波のようなもの。
通常のソードで発動させたときよりもスピードも威力も違っていた。
「グァアァァ!?」
その衝撃波はブラスコピーの足を斬りおとして消滅する。
傷は癒えない。この姿のままでいるのは不利と見たか、普通の黒い球体に戻った。そして、カービィとブラスコピーは睨み合う。
ブラスコピーは闇から作り出した槍を構えている。そして、カービィは2本の剣を構えている。伝説の宝剣と暗黒の槍。どちら勝つのか。
誰もが息を呑んだ。この戦いには手を出してはならないと誰もが確信していた。包帯姿のデデデやメタナイト。ゼロまでもがカービィの勝利を祈っている。
刹那、大きな炸裂音と共に2人の立ち居地が変わった。カービィのいた所にブラスコピー。ブラスコピーのいた所にカービィ。両者とも背中を見せ合っている。
先に倒れたのはカービィであった。頬のところを大きくえぐられている。
「ハハ… フハハハハ! ボクの勝ちだ!」
ブラスコピーは嬉しさの余り、そこ等中をぐるぐる回っている。そして、カービィがまだ生きている事を確認すると、カービィに歩み寄った。
「君も良くやったよ。名前は覚えておこう。カービィ… だったか」
そういって、手にした暗黒の槍を大きく振り上げた。カービィの心臓に狙いを定めている。
その暗黒の槍を振り下ろしたのと同時に、ブラスコピーの鼻の辺りに手を置いた。
「チェックメイト…」
そうつぶやいた瞬間、カービィが触れた鼻の辺りを中心に4本の赤い線がのびた。先ほどの一騎打ち。カービィがつけた傷は余りにも細かすぎて、急所を狙った攻撃は余りにも細かすぎて斬られた本人も斬られた事に気づかないほどであった。
カービィはアリスの治癒を受けるとすぐに近づいて。ブラスコピーを見た。カービィの心臓を貫こうとした直前。そこから体制を崩さずに静止したままだった。
しばらくすると、ブラスコピーの体は徐々に闇に包まれていき、最後には跡形も無く消えてしまった。
皆が嬉しさに手を取り合っていた中、ロックとアリスはカービィに近づいてきた。
「もしかしたら、俺が生かされたのはこのためだったのかもしれん」
そういった直後、ロックはカービィを抱いた。その光景を見ながら微笑んでいるアリス。どんどん老けていく。
ロックがカービィを離して、顔を見合わせたときには驚いた。ロックの顔はあの強そうなきちんと整った顔ではなく、老人の顔と同じものだった。
「俺はブラスコピーの復活を阻止するために。そのブラスコピーを倒せるものが現れるまで神に生かされ続けた」
「え…? ロックさん… 何を?」
カービィにはロックが何を言っているのか分からなかった。
そんなカービィを無視してロックはカービィをじっと見つめていた。
「よりによってもお前だったとはな」
どんどん老けていくアリスとロックはもう痩せ細り、この世のものとは思えない顔立ちになっている。
「あの森の守護者達に伝えてくれ。ロックとアリスは使命を達成した。と」
一旦間を空けてからロックは口を開いた。
「さらばだ。…………よ」
そう言って2人は砂となった。最後に彼らはなんと言ったのか。胸にモヤモヤが残った。
ここは流れに任せて歌って踊ったりして気を紛らわすという選択も出来ただろう。しかし、今のカービィにはそれは出来なかった…
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