オトモカービィさんの小説

【しろきつばさだいなぶれいど】 〜第7話〜全人類一丸となりて敵を討つ


カービィは自分の死を覚悟した。もう恐怖などは何処にもない。自分に出来るだけのことをする。そう思っていた矢先の出来事だった。
突然、牢の扉が蹴り破られて無数の手とブラスコピーは再び吹き飛ばされた。扉を蹴り破ったのは今、行方不明になっている筈のメタナイトであった。
カービィはメタナイトに手を引かれて地下牢から外に出た。
外は既に暗くなっている。相当な時間が経っていた。地下牢から抜け出したは良いが、仲にまだ仲間がいる。
「ねぇ! 皆は」
「城にいる。貴様が最後だ」
驚きを通り越して呆れた。あれだけの短い時間で全員を城まで運び込んだなんてさすがメタナイトだと感心せざるを得なかった。
ここから城はかなり離れているようだった。ブラスコピーは激怒している。あまり時間をかけすぎるとすぐに追いつかれてしまう。
走り出そうとしたその時、メタナイトの足を黒い手が掴んだ。影の中からブラスコピーが現れる。
「逃がさねェヨ!」
無数の手は暗いところからなら何処からでも生えてきた。そう、今は夜。つまりブラスコピーの方が圧倒的に有利なのである。
「先に行け! 私はギャラクティックナイト達と共に此処で時間を稼ぐ!」
メタナイトがそういうと、木の上から3人の人影が地上に降り立った。ギャラクティック、ギャラクシア、ギャラクティカのナイト3兄弟である。
カービィは無言で頷いて城へ向かって走り出した。それを追おうとするブラスコピーの前に2人、後ろに2人立ちふさがる。
それぞれの愛用の武器で一斉にブラスコピーに襲い掛かった。

人気のない夜の森の中をカービィはただひたすら走った。ここで死んではいけない。自分にはダイナブレイドの事情を話さなければならない。
その責任は今までの戦いとはまるで別だった。ポップスターだけではない。多分これは全惑星中の人たちにかかわる事だ。
やっとの思いで町までたどり着いた。ここまで来れば城までは後もう一走り。だが、カービィにはそのもう一走りも走る体力さえも残ってはいなかった。
「もう…駄目だ。皆、ごめんなさい…」
諦めていた。しかし、心は諦めていても体は諦めてはいなかった。もうまったく残ってもいない体力でカービィは走った。
途中、何度も転んだ。何度も何度も転んだ。でも諦めずに走った。が、次の瞬間
―ボキッ!
これで20数回は転んだというところで嫌な音がした。立ち上がろうにも立ち上がれない。足の骨が折れたのだ。
ついにはほふく前進のように地面を這っていた。城に向かって。しかし、それも叶わない。目の前にブラスコピーが現れたのだ。
「そんな… メタナイト達は…?」
「フフフフフ… フハハハハハ! あんな奴等でもいい声でなくんだなぁ! さぁ、お前はどうだァ!」
アンナ奴等デモイイ声デナクンダナァ…? カービィの頭の中には嫌な予感しかなかった。
メタナイト達はブラスコピーに負けてしまったのだ。その後、何をされたか分からない。想像もしたくはなかった。
ブラスコピーの背後から無数の手が伸びてきた。その手は口からどんどん体内に入ってきて、苦しくなってくる。
―皆、ごめんね… やっぱり、僕じゃ無理だよ…―
心の中ではただただその言葉を繰り返していた。謝罪の言葉だけを繰り返していた。
カービィは泣いていた。顔も凄い事になっていたし、呻き声も上げていた。ブラスコピーはそれを楽しんでいた。
しかし、またもやそれを邪魔する人物が現れた。白い球体にピンク色の魔女。…ゼロとドロシア。
「足りんよ。足らねェんだよ! 自分が世界中の全人類の運命を請け負っているっていう自覚がヨォ! カービィ、お前にはまったく足らん」
「私達を負かした貴方がこんな下衆に負けられるとこちらは大恥でございますわ。ここは私達で凌ぎます」
全人類の運命は今カービィに託されている。その時、今までの敵も今の敵も全員心を一丸にしていた。
早く行けと言われても足を折ったカービィが城に着くまでの時間稼ぎをする事も出来ない。
「でも… 僕は足を折ってしまったから城までは…」
「心配無用。世が汝の足となろう」
カービィの目の前に突然1人の人物が現れた。足はついていない。サングラスもかけたその珍妙な姿はナイトメアであった。
「ナイトメアも…!」
「勘違いするでないぞ。世は世界が奴に征服などされたら汝等に悪夢を見せる事も出来なくなってしまうからな」
そういうと、ナイトメアはカービィを背中に乗せて城まで飛び去った。
ゼロとドロシアはカービィ負けて悔しくて。ずっとずっと長い間修行と鍛錬を積み重ね続けた。あの時の数倍は強くはなった。昔、カービィの前に立ちふさがったときよりも格段に強くなった。
しかし、そんな2人の力を持ってしてもたいした時間稼ぎにはならなかった。ブラスコピーは圧倒的に強すぎた。

城の地下の避難所となっている書物庫の中にカービィが帰ってきた事に皆が喜んだが、一緒に入ってきたナイトメアには目を白黒させていた。
皆がおびえている様子を見てナイトメアは「世は敵意などは持っておらぬ。今は全人類の危機。皆で結束しなければ勝利は約束されんぞ」と悪役には似合わないような台詞を言って警戒を解いた。
カービィは地下牢であった事を全て話した。事の発端者であるブラスコピーのこと。ダイナブレイドの立場などを全て話した。もちろん、まだダイナブレイドだけがその地下牢に取り残されている事も。
ちょうどカービィが話し終えた瞬間、ゼロが天井を突き破って落ちてきた。体中は傷だらけ。続いてドロシアも天井を突き破って落ちてきた。
そして、本棚の影からまたブラスコピーが現れた。
「イイネェ。たくさん玩具があるよ。今日は楽しめそうだ」
ブラスコピーがその不気味な瞳で笑いながら舌なめずりをした。
その姿を見たら大抵の人間は恐怖で泣き出したりしそうなものだが、カービィはもう逃げない。
「僕はもう、何処にも逃げたり隠れたりなどしない! 勝負だ! ブラスコピー!」
コピーの素でソードをコピーしたカービィは、その剣を天高く掲げて言い放った。
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