オトモカービィさんの小説

【しろきつばさだいなぶれいど】 〜第4話〜白き翼の創りし偽り


「んー… あれ? ここは…」
見覚えの無い景色に驚いた。辺りは木々で囲まれており、目の前には一つの大きな樹がそびえ立っている。
いるはずの2人の姿が無い。そういえば… バグジーにやられて、気を失って… その後何があったのだろう。
記憶をたどってみても何もわからない。何でここにいるんだっけ…?
「やっと目覚めたか。カービィとやら」
後ろから声がした。その声の主は凄く自分と似ている…。それにしても何時から後ろにいたのだろう。さっきはいなかったはずだ。
訳の分からなそうな顔をしていると、鼻で笑って着いて来いといわんばかりに樹に開かれた扉を開いて奥に入っていった。
とりあえず着いて行って奥に入るが階段ばかり。ここがその人の家だとしたらこんな長い階段を毎日上っているのかと思うと凄い。
しかし、ここはその人の家ではなさそうだ。階段を走って上るとすぐに姿が見えなくなった。真似して走ってみたけれど相当足が痛い。
時間をかけてようやく最上階まで上るとまた扉が現れた。手で押して開けようとするが、ビクともしない。気付かない内にうなっていたのか、呆れた顔をしてその人は内側から扉を開けてくれた。
なんでだろう… この部屋にいると何故だか落ち着く…。
「当たり前だ。この部屋はある結界で守られている。星の戦士しか立ち入ることの出来ない結界でな」
心の中で思っていることに対して返事をされたので一瞬ビクッとする。すると『考えていることが顔に表れている』と笑われた。そんなに顔に表れているのか…。恥ずかしかったが苦笑いで返した。
「自己紹介が遅れたな。俺の名はロック。そしてそこにいるのがアリスだ」
前を見ると部屋のちょうどど真ん中に一本の光が通っており、その中で一人の星の戦士がいた。
『こんにちは。カービィさん。今日はどんなご用件ですか…?』
アリスはにっこりと微笑んだ。…あれ? 今、『今日は』って言わなかった? 前も来た事があったっけ。まったく覚えていない。
「待て、アリス。こいつは今日、来るのが初めてだぞ」
意外だった。ロックも僕が今日以外でここに来たことは無いという。では何故…? 僕はあのバグジーの時点で突破すら出来なかったのにロックに気付かれずにこの場所に来るのは不可能だ。
それでもアリスは先月僕がこの場所に来たと言う。ここで矛盾が発生する。この場所は飛んでは来れない場所にあるらしい。そしてここに来るまでに数々の守護者達がいる。そして最後の守護者がロック。そしてロックは僕を見ていない。明らかにおかしい。
「先月ここに来たのはダイナブレイドただ一人だ」
『いいえ。私はダイナブレイドは見ていません。この部屋に入ってきたのはカービィと貴方だけです』
何時の間にかただの言い合いになっていた。でも、ダイナブレイドという名が何か引っかかる。ロックの話だとダイナブレイドは先月ここに訪ねてきたらしい。そしてダイナブレイドが作物を荒らし始めたのも先月から。何か関係があるのではないか。
「何を言っている。俺は先月ここには来ていないぞ」
その言葉が発された時、アリスの顔がゆがんだ。
何か重要なことを思い出したらしい。ロックの言葉から少しの間があってようやくアリスが意思伝達してくれた。
『私の友…ダイナブレイドは幻覚を見せることが可能です』
沈黙が続いた―――。

突然、眠りから目が覚めた。最初に目に映ったのは見慣れた天井。デデデの城だった。
体を起こして辺りを見回すと隣のベッドにカービィ。ケケはいなかった。
ベッドから降りようとして床に足をつけるともの凄い痛みを感じた。
足には包帯が巻かれている。怪我でもしたのだろうか… わからない。
「お前達、大丈夫か!」
ドアが勢い良く開かれ、デデデが入ってきた。
相当大きな声で叫んだために、カービィが起きてしまった。
デデデがこんなにも自分達のことを心配してくれているなんてはじめて知った。どうせ捨て駒として使われるだろうと思っていた。…いや、それは絶対にない。アニメの見すぎだ。
「やぁ、大王。心配かけちゃったね」
あまりにも爽やかな言葉。声の主はカービィだった。何か寒気を感じる。デデデも同じようだった。突然起こされたカービィの対応がおかしかったからだ。
「うわあぁぁ! カービィが壊れたぁ!」
何時になく騒がしいデデデ。そんなデデデを「どうしたの?」と心配するカービィ。何か様子が変だ。うん… 壊れちゃったよ。どうしよう… ショックか何かか?
「皆おかしいよ。どうかしちゃったの?」
「「おかしいのはお前だ!」」
見事に2人の声が重なる。それでもカービィは漫画だったら頭の上に疑問符が浮かびそうな顔で首をかしげている。
この騒ぎにケケが駆けつけた。不機嫌そうな顔をしてるのを見るとどうやらデデデの大声で起こされたらしい。
「もぉ〜、うるさいなぁ。ちょっと静かにし…」
「やぁ、おはよう。ケケ」
ケケはカービィを見たまま固まっている。何か言いたそうに口を動かしているが良く聞き取れない。やっと聞こえる程度の声になった。
「あの… どちら様ですか?」
やはりケケも目の前の人物を“カービィ”とは認めたくはないようだ。時刻は朝の7時半。デデデから依頼を受けてから丸1日も経っていた。
その後、カービィは病院にて精神調査をされたのは言うまでもない。そのカービィが偽者だと知る由もないのだから。
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