麻刈 透さんの小説

【四人四色】差出人はデデデ



「…何だって?」
その瞬間、デデデは自分の耳を疑った。
ある日のデデデ城、ワドルディは今にも泣き出しそうな顔で、一つの残酷な事実をデデデに告げた。
「カービィが四人に増えたせいで……ここ最近でこの城の食料は急激に減少しているんです!!このままでは……」
「肉が、食べられなくなるとか?」
勿論デデデも肉だけで済むなんて思っていない。
今までの経験上、カービィの食に対する異常なまでの執着は自分が一番分かっていると自負している。それゆえ、今やデデデには、肉だけで済むならば安いものかもしれないというように考えることができるようになっていた。
「いいえ、大王様」
ワドルディは言った。
その悲しく、的中するであろう未来予想を。
「このままでは我々は……そこらに生えているぺんぺん草や土を食べて暮らすように……」
いよいよワドルディの目に涙が浮かんだ時だった。
「……んな馬鹿なことあるか!!」
デデデは大声で言った。
「ワシがどうにかしたる!!だから泣くな!!」
デデデは胸を大きく叩いてみせた。ワドルディの瞳に光が戻ってくる。
「大王様……!!」
ワドルディは、感動のあまり大粒の涙を流した。
「だから泣くなってば!」
軽く笑いながらデデデは言い、頭の中で考えていた。
(今こそ……今こそあの禁断の作戦を実行すべき時なのかもしれんな……)


「キイロ、今日は何を作ってるのー?」
ピンクは両手に持ったリンゴをかじりながらキイロに尋ねた。するとキイロは胸を張って答えた。
「へへん、よく聞いてくださいました!今ボクが作っているのは、メカを自由自在に操るメカなのサ!」
「やだ、また口調マルクっぽくなってるよ?」
アカは口を押さえ、笑いそうになるのをこらえながら言った。たちまちキイロが膨れっ面になる。
「誰がアイツの真似なんかするか!んでね、このメカはー…」
「なーんだ、食べ物関係ない発明かぁ〜…どうせなら、全自動栗の皮剥き機とか作ってくれればいいのに」
ピンクはそうつまらなそうに言うと、また一つリンゴを口に放り込んだ。
「まあ、成功したら立派なものよね」
アカも苦笑しながら言う。するとその言葉で発明家としてのプライドが傷ついたらしく、キイロはますます膨れ上がって言った。
「何言ってんだよアカ!!今までボクが発明に失敗したことがあった!?」
「よく言う…」
すると、地を這うような声がし、三人が声のする方向へ目を向けると、そこには全身包帯でグルグル巻きになったアオの姿があった。
「ア、アオ―――!!?」
ピンクとアカが思わず絶叫する。
「え?どゆこと?」
キイロはきょとんとした顔でアオを見つめた。
「よもや忘れたとは言わせんぞ…」
そんなキイロをほぼミイラ状態のアオは鋭い目つきで見返す。
「俺は確かにお前に、『もっと強くなるためのトレーニングマシンを開発してくれ』と言った。だが、殺人マシンと戦わせてくれと言った覚えはないぞ!!?」
「あーあーあー……そっか、こないだのことかぁ!!」
軽く血走った目で訴えるアオに対してキイロはやっと思い出したと言うように手を叩いた。
「やっと思い出したか!!お陰で俺はこのザマだ!どうしてくれとんじゃこの野郎ーっ!!?」
青いミイラ男は目の前にいる黄色のマッドサイエンティストに怒りをぶちまける。
「いやーごめんごめん、実はあの対実戦用トレーニングマシン『ビッグメカメタナイト』通称『メカナイト(大)』、まだ調整の段階だったんだよねー。いやぁ悪い悪い」
「悪い悪いで済むかーっ!!こっちは死にかけたんだぞ!!」
「メンゴメンゴ」
ハハハハハといつになく爽やかに笑いながら、怒り狂うアオをなだめるキイロ。だが、それがアオの神経を余計逆撫でしているらしい。ブチッ、という誰かさんの頭の血管が切れる音がした。
「このやろ、同じ目に合わせねぇと気が済まねぇ!!」
「お、殺る気満々?」
キイロが好奇心溢れる視線を剣を抜いたアオに向ける。彼にとって、いや、場にいるアオ以外の三人のカービィ達にとってキレたアオはなかなか新鮮なのだった。

キイロとアオの大乱闘が始まってからしばらく経った時、戦いを観戦していたピンクとアカの元に郵便配達員の帽子を被ったバードンがやってきた。
「カービィさん達にお手紙ですよー」
そう言うとバードンはバッグから一通の白い封筒を取り出すとピンクに渡した。
「誰からー?」
ピンクは渡された封筒を物珍しそうに見てバードンに尋ねた。

「デデデ大王からですね」
「え――――っ!?」

四人のカービィ達はおのおの叫び声を上げた。それに驚いたバードンは毛を逆立たせる。
「て、手紙はちゃんと届けましたよ。ではー!」
そう言いバードンは飛び去っていった。


「ねぇ、どういうことだと思う?これ」
ピンクは三人にそう尋ね、封筒を見せた。

「「「とらっぷ」」」
「ですよねー」

四人、見事なまでの一致ぶり。怪しさ抜群の手紙と全員が判断したようだ。さすがデデデ。信頼されていないぞ。

「今度は一体何を企んでいるのかしら……」
「もう、デデデ大王ったら懲りないんだから………」
アカとピンクがそう呟き、

「「「「………ハァ」」」」

4人は同時に溜息をついた。


―――その頃デデデ城

「へっきしょい!!」
「大王様、風邪ですか?」
「うぅ…風邪じゃないわい……誰だワシの噂をしてるのは………」
「きっと悪い噂でしょうね……こんなバカ大王だし」
「何か言ったか!?」
「な、何も言ってません!」
「……まあいい。見ておれバカービィ共……今にお前らをけちょんけちょんのぼっこぼっこにしてやるわ!!ガハハハハハハ!!!」
「………」

(本当、いつになったら懲りるんだろうこのバカ大王様は………)
ワドルディはそう心の中で呟いた。

(敵キャラは主役キャラに勝てないのが定石ってもんですよ大王様……)

〈つづく〉
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