アカツキさんの小説

【エピソードパズル】其の宇宙、さる両手の別荘につき(キャンディコンストレイション)


キャンディコンストレイション。


そこは、鏡の世界に存在する宇宙だった。
空を飛ばなければ到達できない区域だが、生き物は住んでいる。
しかし奥地の人気は少なく、近寄る者も少なかった。

「キャンコスの奥地に何者かが住み着いた、だと?」

そんなキャンディコンストレイションの奥地に何者かが住み着いたという報告を、ダークメタナイトは受け、シャドーカービィと共にそこへ赴いていた。

「本当だよ。手が」

彼に訴えるのはシャドーカービィだ。

「手ぇ?」

訝しげなダークメタナイトは自分の手を指すと、シャドーカービィはコクコクと頷く。
れっきとした生き物の如き容姿に者が多いこの世界において、手とはこれまた奇妙なものだ。
両手が宙に浮いて喋っているという。
あまりに信じ難い内容なので、ダークメタナイトはシャドーカービィに案内させていた。

「手だけとか、生物機械ゴーストの類にはっきり分類できねぇじゃないか。何なんだ、そいつら」

宙に浮いてる手と言えば、ウィズを連想するが、ウィズはまだましであることがわかる。
手だけであり、尚且つ喋るならば容易にゴーストの部類にも分類できないからだ。
奥へ進むに連れて人気は少なくなって行き、遂に誰も見かけなくなる。

「しっ。ダーク、ここだよ」

シャドーカービィが鏡の扉を指す。
そこから声が聞こえていた。

「はーっ、快適快適。誰も来ないし、くつろぎ放題だなぁ、ここは」
「おい、さぼってばかりでいないでさっさと新世界の構想を練ってくれよ。創造はお前の領分だろうが」
「ん、じゃあ参戦キャラとステージ増やす」
「そりゃ当然だろっ!真剣に考えろォ!!」
明らかにくつろいでいる声と、ツッコミに徹底している声。
2人いるようだ。

「手なら、両手いるのか?」
「うん。ボケとツッコミが」
「・・・・・・」

どこから突っ込んでいいのやら、わからないダークメタナイトは取り敢えず、鏡の扉の前に立ち、剣の柄に手を伸ばす。
彼の意図を理解したシャドーカービィも、どこからか爆弾を取り出した。

「踏み込むぞ。3、2、1・・・」
「ゴー」
2人は鏡の扉を抜ける。

扉の向こうには、巨大な白手袋の2人(?)組がいた。

「誰だ、貴様ら。少なくともこの世界の奴じゃねぇな」

ダークメタナイトがドスを利かせて両手を睨みつける。
手は、手なので目があるわけがなく、表情がまったく読めない。

「あ、ダークメタナイトとシャドーカービィだ!」

が、右手の反応がどう見ても有名人に出会った素人のそれであった。

「誰だと聞いている!答えなければマッハトルネイドぶっ放すぞ!」

脅しをかけると右手は、

「おお怖。本当に中身は全然似てないんだなぁ」

などと、癇に障るようなことを言いながら、自己紹介をした。

「私はマスターハンド。左手の方はクレイジーハンドだ。君の言う通り、この世界の者じゃないよ」
「強いて言うなら、俺は破壊の化身。こいつは創造の化身だ。まぁ立場的に神サマに近いな」

クレイジーハンドという左手は、何やらすごいことを言った。
自分から神と名乗るとは、随分傲慢な気もするが、2人(?)は普通に自己紹介しており、自慢でも傲慢でもないことが窺えた。

「何をしている?」

「ん?新たな構想だよ。我々は世界を創り、そこで創造した様々な世界のヒーローを模した人形を戦わせているのさ」
「で、創造した世界にいるとチャレンジャーが乗り込んできて、とても構想を練る暇なんてないからこっちに来てるってわけだ」

つまり、この両手は別の世界の存在であるという。
成程、この世界の住民と比べて際立つ異色な雰囲気が納得できる。

「このキャンディコンストレイションは、次元的にやや不安定でね、別次元からあっさり入り込めるのさ」

「貴様らにとっては普通だろうが、こっちにとってはわけがわからん。ちゃんと説明しろ!」

ダークメタナイトに脅され、わざとらしく震え上がったマスターハンドは、簡潔に説明した。

曰く、生き物が住めるこの宇宙は、別の世界から入りやすいという。
元々、ムーンライトマンションからいきなり行けるような場所である。だからだという。
そして人気もほとんどなく、ゆっくりと構想やらを練れる場所としてマスターとクレイジーはすっかり気に入り、居座って構想を練っていたというわけだ。

「へぇ、ダークマインドに目もつけられずに居座れるなんてすごいねぇ」

「納得するなシャドー。貴様ら、暫らくここに居座るつもりか?」
「うん。でも、チャレンジャーがいないものだから、いい加減体が鈍りそうだよ。どこか、トレーニングできる場所紹介してくれない?」

あつかましい頼みだが、ダークメタナイトにはある名案が浮かんだ。
自分を追いかけ、この鏡の世界に侵入したシャドーカービィのオリジナル―カービィは目の上のたんこぶのような存在だ。
既にムーンライトマンションに侵入し、ディメンションミラーの欠片を探し求めているという報告を受けている。
このままでは、折角ディメンションミラーに封印した本物の己、メタナイトをこちら側に出してしまいかねない。

「ああ、丁度いいサンドバックがいるぞ。カービィだ」

「カービィが鏡の世界にいるのかい?」
「そうだ。丁度いいトレーニング相手だろう?」

マスターハンドは、彼の案に快諾してくれた。
早速カービィにところへ向かいたいとすら言い出す。

「それと」

ダークメタナイトは、どこからか鏡の欠片を取り出した。

「そのチャレンジャーとやらの挑戦を受けているなら、貴様ら2人は組めばそれなりの実力を持っているのだろう?」
「ダーク、それって・・・!」

ダークメタナイトが取り出した鏡の欠片が、キャンディコンストレイションに置くディメンションミラーの欠片であることに、シャドーカービィは気づいた。

「貴様らはここで構想を練るなり、体をほぐすなり好きにしていい。ただし、その代わりこの欠片を預かれ。そしてこれを取り戻しに来たカービィを2人で叩き潰せ。それが、貴様らがここに居座れる条件だ」
「おいおい、随分上からな物言いだな。もし俺達がその条件を呑めなかったら、アンタは鏡の国の今の支配者さまにご報告ってことかい?」

ダークメタナイトが嫌な笑みを浮かべる。
それが答えだった。

「ふーん、まぁ、構想ばっかり練るのもアレだしな。いいだろ?マスター」
「もっちろん!」

こうして、ディメンションミラーの欠片をマスターハンド&クレイジーハンドが引き受けることになった。



その後、鏡の世界をピンクとレッドとグリーンとイエローの悪魔が席巻した。
マスターハンドとクレイジーハンドはいつもチャレンジャーの挑戦を受けるノリで迎撃したが、それが間違っていた。
いつもの1人ではない。悪魔が4人である。
あっという間に負けてしまった。

キャンディコンストレイションの奥地で、今日も両手の会話が展開される。

「よっしゃー、これでオーケーじゃない?」
「おい、このクリア目標鬼畜じゃないか!?つーかこれ、王子と姫って間違っちゃいないが、ほんとの勇者の方が可哀想だろ!」
「クロスオーバーがキモの世界なんだから、気にしない」

「じゃ、そろそろ行くか」
「そうだね。落ち着いたらまた来ようか。ここはもう我々の別荘だ!」

ある日、キャンディコンストレイションから忽然と奥地の声の主が消えた。
あるビルゲは言う。
2つの手が、異空間への入り口のようなものを作り出し、そこへ消えていったのだと。

キャンディコンストレイション。
そこは、別ステージや別世界との「壁」が最も薄い、生き物が住む宇宙。
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