たまるさんの小説

【銀河に願いを〜Original Story】第1話


遠い遠い宇宙のどこかに。

どんな願いでも、一つだけ叶えてくれる、大彗星があると言われている。

その名前は、大彗星・ノヴァ。



「そろそろ来るころかなあ…」
壁にかけてある時計をちらりと見て、そうつぶやく、コック帽を被った一人の男性。
いつも平和でちょっと田舎なプププランドの中に、唯一建っているレストラン。
彼は、そこの主人を務めている。名前はカワサキ。

「カワサキーッ」

自分の名前を呼ばれ、カワサキが顔を上げた、その瞬間だった。

どおおぉんっ!!

店のドアが豪快に開かれた。勢いがありすぎて、ドアの蝶番が一つ外れてしまうぐらい。
そんなドアの前に立っているのは、ロケットブースターが付けられた帽子を被っている、ピンク色の丸い生物…。

「いらっしゃい、カービィ」

カワサキは、笑顔で丸い生物―カービィを出迎える。

「そろそろ来るころだと思ってたよ。今持ってくるから、ちょっと待っててね」
「うん、わかったー。…あれ?」

カービィはカウンターの席に座ると、辺りをキョロキョロと見回し始めた。

「きょうはJはいないの?」
「ああ、今出前に行ってもらってるんだ。結構前に出てったから、もうそろそろ帰ってくるはず…」

カワサキがそう言いかけた時。


どぉぉぉんっ!!


本日、二回目のドア破壊。今度は蝶番が全て外れ、ドアも完璧に吹き飛んでしまった。

『AM10:43。出前、終わりました』

背中にジェットエンジンを背負った丸いロボットのようなモノが、機械音のような声でカワサキに報告した。
手には、出前に使う岡持ちがぶら下がっている。

「はいはい、ご苦労様」

ドアのことは全く気にしていないのか、カワサキは笑顔で彼も出迎える。

「今、ちょうどカービィも来た所なんだ」
「おはよー、J」

カービィが、ロボット―Jに手を振って挨拶をする。
Jはカービィを見て、『本日はいつもより42分13.4秒遅かったですね』と言った。

「えへへ…今日はちょっと寝すぎちゃって…それよりお腹すいたー」
「ああ、ゴメンゴメン! J、運ぶの手伝ってくれる?」
『了解しました』


しばらくして。

「お待たせー♪」
『料理運び、完了いたしました』
「うわあ、すごーい!!」

カウンターテーブルの上には、美味しそうな料理がずらりと並べられていた。
全て、カワサキの作った手料理だ。

「おかわりもあるから、たくさん食べてね」
「ありがとう♪じゃあいっただきまー…」

がつんっ

突然、カービィの後頭部に、光り輝く大きな鏡の粒がぶつかった。

「いったーい!!」

あまりの痛さに、カービィが飛び上がる。

「やっぱりここにいた!」

壊れたドアから入ってきたのは、魔法使いのような格好をした謎の人物と、爆弾を抱えた道化師のような格好をした男の子の二人だった。

「あっ、シミラとポピー…」

カービィの顔が、さっと青ざめる。
魔法使い―シミラが、カービィにズイッと顔を寄せて、彼に怒り始めた。

「またカワサキさんとこで!カワサキさんにはご迷惑がかかるからあまり行くなといったはずなのにあなたは…」
「だ…だってカワサキがいいって」
「少しは自重してください!あなたの一食がどれぐらいか、あなた自身もわかってるでしょう!」

あまりの気迫に、カービィも押されている。目も既に涙で溢れている。

『カービィさん。あと21秒で料理が冷め始めてしまいます』
「うーん、シミラは厳しいからねえー…それにしても、カワサキの料理はいつ食べても最高だねえー」

もぐもぐと、男の子―ポピーがカワサキの作った料理に舌鼓を打っている。

『料理、5%減少。残り95%となりました』
「ちょっとポピー!それボクのご飯だよー!」
「ご飯って、あなた家にいたときもご飯たっぷり食べたでしょ!」
「ボクのご飯は一日7食なんだよ」
「威張って言わないでください!」

カービィとシミラの言い合いを見ながら、カワサキはニコニコと微笑み、
Jは黙ってその様子を分析し、ポピーはひたすら、カービィの代わりにカワサキの料理を平らげていった。


そして数十分後。

「はあー、ごっそーさんでしたっ」

膨らんだお腹をぽんぽん叩きながら、ポピーが満足そうな顔で笑う。

「あああーッ…、僕の朝昼ご飯がぁあ…」
「なんですか…、その朝昼ご飯って…」
「朝と昼の中間だから朝昼ご飯。全部食べちゃうなんてひどいよポピー!!」
「だって、カービィ全然食べないんだもん。全部食べていいって思っちゃうじゃんかさあ」

涙を流すカービィに、ポピーはいたずらっ子のように笑う。

「もう…シミラのせいだよぉ。朝昼ご飯食べられなかったの…」
「なんでわざわざカワサキさんの店で食べるんですか!しかも殆どお金払ってないでしょ!」
「だってカワサキの料理美味しいんだもん…」
「それはなんですか、私が丹精込めて作った手料理が美味しくないってことですかああーん!?」

眉間に皺を寄せたシミラが、カービィの頬を掴んで思い切り引っ張った。
柔らかいカービィの体は、餅のようによく伸びる。

「うひあああん、ひゃめれひゃめれえー!!」

カービィは顔を引っ張られているせいで、上手く発音が出来なくなっていた。

『この勝負、シミラの勝ち。これでカービィは0勝15敗。決め手は頬伸ばし』
「相変わらず仲良しさんだね、二人は」
「…ひょれひゃにゃはひょひにひひぇふ?」
『これがなかよしにみえる、と言っています』
「ケンカするほど仲がいい、って言うじゃない」
「ケンカじゃありません、お仕置きです」

頬を伸ばしたまま、シミラがさらっと答える。

「さあてと、食べるもんは食べたし、面白いものも見れたし、そろそろ日向ぼっこしにでも行こうかなあー」

ポピーはおもいきり伸びをして、壊れたドアの方を見た。
空は、暗い。


「…あれ?」

ポピーが目をこすって、もう一度空を見た。
空は、暗い。

「…J、今何時だっけえ?」

『現在AM:11:35。後25分でPM:12:00になります』

「…まだ夜、じゃないよねえ?」
『現在のポップスターの気温や季節などで計算すると、夜と呼ばれるものが来るのはPM:7:00頃からとなります。
 その時間になると空が暗くなります。それまではまだ空は明るく、太陽が空に上がっています』
「じゃあ…あれは、なんでえ?」
「どうかしたの?」
「お昼なのに…空が暗いんだよお。お月様も出てるしい…」
「ええっ!?」

カービィたちは慌てて、店の外に出る。
ポピーの言うとおり、空は真っ暗になっていて、空には月と星が輝いていた。

「な…何これ!?」
『情報なし。原因不明。今までにないことです』
「昼なのに…もう夜になってるなんて…」
「…アッ!?」

突然、何かが月にぶつかった。
太陽だ。
月は太陽に体当たりされ、空の上から落ちていった。
太陽が輝き、再び青空が広がっていった。

「…なんだったんでしょう?」

しかし、それもつかの間、すぐに月が太陽に体当たりを仕掛けた。
太陽はそれを受け止め、月と何度も何度もぶつかり合っている。
太陽が落ちて月が上に立つと空は暗くなり、それを太陽が落とすと空は青く染まっていった。

「…一体どうなってんの!?」