ヨツケンさんの小説

【闇の聖母】第1話


「ううっ……ぐすっ」
宇宙の何処かに有った小さな惑星、そこで少女は悲しみに泣いていた。この世界では珍し
い、人間形の二頭身の身体に、猫耳の付いた黒いローブ、綺麗な青い髪をした彼女は、そ
の外見からこの星の住人達から嫌われていた。
「友達が……欲しいよぅ……」
町から少し離れた自分の家に戻ると、彼女は何時もの様に分厚い本を取り出し、悲しみを
忘れる為に、貪る様に読み始めた。すると、彼女の目に一つの術式が止まった。
「生命創造術?」
そこに書かれていたのは、物質から生命を造り出す闇の禁術だった。彼女はそれを読むと
有る事を考えついてしまった。
「(みんなが友達に成ってくれないなら、自分で友達を創ればいい!)」
そう思い付くと、彼女は直ぐに書物に書かれていた準備を始めた、床に複雑な線と円を書
き、それに特殊な文字を書き入れたのち、更に魔法陣の外郭の円と線が接するポイントに
蝋燭を立てる。
「あっ……」
そこで少女はある事に気が付いた、書物には媒体となる物質が必要と有るが、少女はそれ
らしい物を持っていなかった。
「結局、私には友達なんて出来ないんだ……」
再び悲しみにくれる少女の目には涙が浮かんでいた。そうしていると、にわかにお腹が空
いてきた。仕方なく涙を拭い、夕飯の支度に取り掛かろうとした時。
「きゃ!?」
彼女の涙が着いた右手が、魔法陣に触れた。
「な、何!?」
すると、魔法陣は彼女の悲しみに答えるかのように、直ぐに発動を始めた。蝋燭の火が逆
巻き、徐々に陣の中心に何かが集まり始めた、それは徐々に大きさを増して、彼女の背丈
の二倍くらいの大きさに成った。
「--初めまして、我が主--」
彼女の頭に声が響いた、俗に言うテレパシーというやつだ。そして、その声がしてから数
秒後、魔法陣の中心にいた何かが収縮して彼女と同じくらいの大きさになり、それは現れ
た。丸くて白い球体に、赤い瞳の着いた目玉の様な生物。
「あ、あなたは誰?」
「私はゼロ、貴女に仕える為に生まれました……」
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