ヨツケンさんの小説

【短編小説】えちごやのおかし


こんばんは、久しぶりにML小説を投稿します。ヨツケンと申します。
今回は管理人さん企画のお題小説に参加させて頂きます。
今回のお題はお菓子と言うことで、何故かお宝を使ってしまいました……
取り敢えず、カオスでも読んで大丈夫な方はお読みくださいませ……


朽ち果てた【キケン】と書かれた看板、そして荒れ果てた大地にぽっかりと空いた大穴。そこに現れたのは赤と青の二股帽子を被った道化師。
「ここなのサ……」
その道化師は、迷う事無く大地に空いた暗い穴に向かって飛び降りた。固い土と岩盤で出来た穴の壁に身体をぶつけながら。穴には彼の悲鳴とぶつかる音だけが響いた
「イテテ……普通こんなに高い所から落ちたら、アウトに成るのサ……」
余程酷くぶつけたのか、あちこちに傷を負った彼は、帽子の中から一枚の古びた地図とMと書かれたトマトを取り出し、トマトにかじり付きながら地図を眺める。
「地底の木々……案外近いのサ!!」
トマトを食べ終わり、彼は地図をしまうと足早に移動を始めた。トマトのお陰か、身体が軽いなとマルクは思った。しばらく走ると、やがて目の前の空間が広くなり、所々から発せられる光によって明るく成り、今まで暗い洞窟を通って来たマルクは一瞬目が眩んだ。
「ちっ……」
目が光に慣れると同時に、所々に自分以外の生き物の姿を見付け、彼は思わず舌打ちをした。ここで見付かっては計画に支障が出てしまう。そう考えた彼は、トレードマークの帽子を押さえつけ、物陰に隠れながら目的地を目指す事にした。高くなる胸の鼓動、思わず出る冷や汗、それを感じながら彼は進んだ。
「やっと……やっと着いたのサ!!」
思わず出してしまった声に、慌てて口を塞ぎながら身体を低くし、周りを見回す。幸い誰にも気付かれていない様だ。ここに入ってから何時間経っただろうか、ようやく目的地に着いた彼は自分の横にある宝物に手を掛ける。
「あ、開けるのサ…」
そして、彼が震える手でゆっくりと宝箱を開けると、甘い香りと共に一つの白い箱が現れた。
「これぞ伝説の秘宝【えちごやのおかし】!!」
彼は周りに誰も居ない事を再び確認すると、そそくさとその箱を持ち上げ、帽子の中にしまい込み、直ぐにその場を後にしようとした。
「(これが有れば計画は成ったも同然なのサ!!)」
その時、彼の前に突如ピンクの球体が現れた。
「あっ、マルクぅ〜」
「(げげっ!!)」
今一番会いたくない奴に会ってしまった、とマルクは思った。ポップスターに限らず銀河中で最強の生物、過去に幾度も巨大な悪を駆逐したピンクの悪魔。
「か、カービィこんな所で何をしてるのサ!!」
「えっとね〜取り逃した宝物が無いか確かめに来たんだ♪」
思わずマルクはギクリとした。そういえば最近、カービィが何処からか大量に宝物を持って帰ってきたと聞いてはいたが、マジルテから持ち出していたのか。
「それよりマルクぅ〜」
「な、何なのサ!?」
「何かマルクから甘い匂いがするぅ〜♪」
「(本当にマズイのサ……)」
甘い匂いといえば、先程見付け出した宝物しかない、それをカービィに知られれば、取り合いに成るのは目に見えている。今の姿では「ピンクの悪魔」には勝てないだろうし。
「(あの姿になったら、勝てるかも知れないが、計画が崩れるのサ……)」
「やっぱり甘い匂いがするぅ〜」
「(何か、何か無いのサ…)」
カービィに悟られ無い様にマルクはこの事態を誤魔化せそうな物を探して、周りを見回した。心臓の鼓動が限界まで高まり、身体の全神経がカービィの動向を感じて敏感に成る。そして見付けた、数メートル先に浮かぶケーキと団子を。
「カービィ、アレの匂いじゃないのサ?」
「あっ、そうかも♪」
そう言って、震える指でケーキと団子を指差すと、カービィは直ぐ様それに向かって飛んで行く、その隙にマルクは走ってその場を離れた。
「はぁはぁ……あ、危なかったのサ」
もう少し遅かったら、過去幾多の生き物達と同じ様にボッコボコにされるか、カービィの中に無限に広がる宇宙にに放り込まれ永遠にさ迷う事に成っていただろう。
「と、取り敢えず脱出するのサ」
高鳴る心臓を抑えながら来た道をひたすら走って戻る。この際もう姿を見られようが関係無い、伝わる前に事を済ませてしまえばそれで良い。
やっとの思いで、彼は最初に来たフロアに戻って来た。そして誰も居ないのを確認すると、穴の下に立ち、目を閉じて全身に真剣を集中させると、彼の身体から鮮やかなプリズムの羽が生えた。
「行くのサ!!」
彼がプリズムの羽を羽ばたかせると、直ぐに身体が軽く成り、穴を猛スピードで上昇する。気圧の低下を肌で感じながら上昇を続け、ようやく穴を抜けたマルクは洞窟の灯りとは比べ物に成らないほど強力な太陽の光に目が眩んだ。今からアレを狂わせに行くのだ。
「ふぅ…」
疲れたのか、彼は羽をしまうと地面に寝転がる。誰かに見付かってしまった可能性がある以上、休んでいる暇は無いのだが、それでも数時間の頭脳戦は頭が堪えてしまう。
「っと……忘れてしまう前に……」
帽子に手を突っ込み白い箱を取り出す。幸い見た感じ崩れてはいない様だ、中を見ると一枚の紙が饅頭の上に乗っていた。
「注意、一度食べると争いをしてでも欲しく成る程の禁断症状が現れる……文献通りなのサ」
一つ食べてみたい欲望を振り切り、再び箱を帽子に仕舞うと、近くのワープスター発着場からLV.3と書かれたワープスターに乗り込んだ。
やがて、ワープスターの前方に巨大な塔が見えてきた。太陽と月の化身たるシャインとブライトが治める巨塔、バタービルディングである。
「もうすぐ、もうすぐなのサ!!」
これから起こす事件への期待が高まる。この計画さえ為ればポップスターは自分の物、イタズラし放題。今までより遥かに楽しく暮らせる。そんな気持ちが彼を突き動かしていた。
「後はここを昇るだけ……一気に行くのサ!!」
再び羽を生やし、バタービルディングの外壁に沿って飛ぶ、流石に高度が高くなると風も強く成るが、その程度で手間取るマルクではなかった。ようやく頂上にたどり着くと、羽をしまい普通のマルクの姿に成ると、最上階の扉を開けた。
「……誰もいないのサ」
もしかしたら、どっちか居るかも知れないと思っていたが、好都合な事に誰も居なかった。早速帽子から箱を取り出すと、部屋の中央にあった食卓に載せた。
「これでOKなのサ」
そっと部屋から出ると、マルクは直ぐに姿を変え、バタービルディングから飛び降りた。後は家で寝ているだけで、計画は成る。そう思うと、自然と笑いが込み上げてきた。
「ほっほっほっほっおほっほっほっほっ!!」
数日後、マルクの計画通り太陽と月がケンカを始めた、そしてマルクは次の計画を進める為にカービィの元へと出掛ける事にした。
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