星のユービィVさんの小説

【お題小説】芸術の秋! カービィとアドレーヌのお絵かき大作戦!(完結部)


11月3日開催の、プププランドお絵かきコンテスト。
ドロシアとコンテストで決戦をすることになったカービィはみんなから協力を得て意気揚々と会場へとやってきた。
いよいよコンテストの始まりである……。


「さてと、絵のコンテストって言っても具体的にどんなのを描けばいいのかなぁ…?」
と、1人悩むカービィ。
アドレーヌに修業してもらい、絵の基礎等を学んだと言っても自分でモチーフを決めるといったところへはまだ発展していなかった。
一方、対決相手のドロシアはまだ何も描き始めていないカービィに、まるで「勝敗は決まったわね」とでも言いたげな表情を見せつけた。
この時点で、両者の頭に他の参加者のことは既に眼中にない。


一方、コンテスト会場から少し離れたカフェでアドレーヌ達はカービィの帰りを待っていた。
「カーくん、ちゃんと絵描けてるか心配だわ……」
と、アドレーヌ。カービィが自分で絵のモチーフを見つけて描けているかがとても気になるようだ。
「大丈夫ですって、カービィはやるときはできる奴だから」
メタナイトがアドレーヌを元気づけた。
その横からデデデ大王も口をはさむ。
「ワシは長年カービィのライバルをやってきているつもりだが、アイツはそんな簡単に終わるようなやつじゃない。
それに…なんだ、アイツはアドレーヌが教えたことを全部頭に叩きこんどるし何もできないなんてことは絶対にあり得んだろう」
そう言うと、懐から財布を出しつつメニューを手に取る。
「とりあえず、アイツには内緒で何か美味いものでも食べて待ってるか」


その頃、既に開始から1時間経っているというのにカービィは何も描くことができなかった。
モチーフが全く思いつかず筆がぜんぜん進んでいないのだ。
「あーぁ、どうしよう……何も描けないや」
このままではドロシアに勝つどころか入賞すらできないだろう。ペイントのコピー能力を使ってしまおうとさえ思ったりもした。
だがそんなズルをしてコンテストに優勝してもドロシアに勝ったとは言えないし、何より自分のためにと思って協力してくれた友達にとても申し訳ないと思った。


コンテスト終了まで、残り30分。相変わらずカービィのキャンバスは白紙のままだった。
「あぁぁぁもうダメだダメだダメだダメだダメだ」
ついに自暴自棄になったカービィは筆もパレットも放り投げてただ暴れるばかりだった。
自分に勝ち目はない、そもそもこんな勝負をしたことが無謀だったのだと後悔し始めた。
それを横目で見ていたドロシアは、勝利を確信した。

だが数分暴れたカービィの目に、彼の鞄に入った青い絵筆が目に入った。
その絵筆には見覚えがある。いつも大切な人が使っていた、自分に絵を教えてくれる時もずっと使っていた……。
「あ、アドレーヌの絵筆…? どうしてこれが僕の鞄の中に……」
よく見ると、『カーくんが困った時のためのお守りに』と書かれたメモが貼ってある。
それを握りしめたカービィの頭に、コンテスト開催前のみんなの言葉がふっと聴こえてきた。

(カーくん、大丈夫よ。自分に自信を持って!)
(よいな、決して気を抜くんじゃないぞ(
(お前はワシのライバル、こんなところで終わるような奴じゃないと信じてるゾイ!)

「そっか、友達は僕のことを想ってくれているんだよね…それなのに僕が自暴自棄になってどうするんだよ」
冷静さを取り戻し、再び自信を持ったカービィはパレットを回収し、アドレーヌの絵筆を使って絵を描き始めた。
もうモチーフは見つかった。灯台もと暗し、彼が中々見つけられなかったモチーフは、すぐ近くにあったのだ……。


カフェで適当に昼を済ませたアドレーヌ達は、そろそろコンテストが終わる頃だろうと会場へやってきた。
ちょうど審査が終わり、結果発表の時間だった。
「カービィ、大丈夫だろうか」
「アイツは絶対に負けん! このワシが言うから間違いない
ゾイ!」
「カーくん……」
3人が息をのんで見守る中、いよいよ結果発表が始まった。

佳作16名の発表、この中にカービィとドロシアの名前はない。
参加者は計19名だったため、少なくともそれ以上ということだけはわかった。
次に、3位の発表。ここでも彼らの名前はない。
つまりカービィとドロシアはトップ争いの状態になっているのだ。

ついに、残りの発表である。ところが、審査員たちから驚きの言葉が飛び出した。
"1位は2人いる"
それを聞いた会場の声はざわめき、アドレーヌらも驚かざるを得なかった。
なにより、カービィとドロシアも驚いている。2人でどちらが上か決めるはずだったのに両者とも1位では話にならないからだ。

驚きのあまり静まり返った会場の中、審査員が作品を発表する。
『まず、ドロシアさんの描いた風景画です。独特のタッチで描かれており他には類を見ない作品でしたね』
そう言いながら掲げた絵は、確かにいつもドロシアが描く派手で奇妙な独特の画風の風景画だった。
続けて、審査員が次の絵を紹介した。
『もう1枚はカービィさんの作品です』
掲げられたカービィの絵を見て、アドレーヌ達は驚いた。
カービィの絵には、なんと自分たちが描かれていたからだ。
『この絵も水彩に近い独特のタッチで描かれてますが、題やモチーフがカービィさんのとても大切なもの【ともだち】という非常に心温まる作品となっているわけです。そういう意味でこちらも1位として選ばせていただきました』
その後審査員の話や1位の賞金授与などが行われたが、相変わらずカービィもドロシアも何も口に出さず、ただ茫然とするばかりだった。


コンテスト会場は解散し、皆が家路へ着く中カービィの元へアドレーヌ達が駆けてきた。
「1位おめでとう、カービィ!」
とメタナイトがカービィに言った。
「やっぱりお前はワシのライバルだゾイ!」
デデデ大王もカービィの背中を叩きながら言う。
「カーくん、おめでとう! モチーフがあたしたちだなんてびっくりしちゃったわ!」
アドレーヌがカービィを抱きしめながら言った。
カービィはちょっと照れながら言う。
「アドちゃんのお守りのおかげだよ! 自暴自棄になってた僕を助けてくれたり、モチーフが見つかったんだ!」

「…ところで、勝敗はどうなったの? どっちも1位じゃ勝負にならないじゃないの」
アドレーヌが思いだしたように言った。
「あぁ、そのことなんだけどね…僕思うんだ、勝利はd」
「勝利したのはカービィ、あなたね」
突然、ドロシアが口を開いた。そしてその言葉は意外だった。
ドロシアはカービィの勝ちだというのだ。
「どうして? 僕はたいしたことないのに…」
理由を聞くカービィに対し、ドロシアはカービィの絵を指しながら言った。

「あなたは1人じゃなく、信じてくれる、信頼できる仲間がいる。それが理由よ」
そう言うと、彼女は自分の家へと向かって歩き出した。カービィ達も同じようにそれぞれの家へと歩む。
その去り際にドロシアは、カービィに一言言い残した。


「あなたとの勝負、楽しかったわ!」
それを聞いたカービィは手を振りながら
「僕も楽しかったよ、またやろうねー!」
と言い残し、自宅へと向かって友達と一緒に走りだした。



END

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