星のユービィVさんの小説

【お題小説】芸術の秋! カービィとアドレーヌのお絵かき大作戦!(第3回お題小説参加作品「テーマ:秋」)


長かった夏も終わり、プププランドに秋がやってきた。
スポーツの秋や読書の秋、食欲の秋ということで住人たちはそれぞれの時間を楽しんでいた。

そんなある日、カービィは絵を描いていた。
本来カービィは秋は「食欲」を楽しんでいるのだが今日は気分を変えて絵を描いてみようと思ったのだ。
「うーん、なーんか上手く描けないなぁ……」
とりあえず外の景色を描こうと思いベジタブルバレーの草原にいるのだが、中々思い通りに描けない。
というより、描いてる絵は誰が見ても幼稚園児の落書きにしか見えないほどメチャクチャだった。それもそのはず、カービィは絵なんてほとんど描くことがないため腕前はからっきしなのだ。
「あーぁ、僕ってやっぱり絵の才能ないなぁ……あ、そうだ!」
ため息をつきつつ、ふと何かを思いついたカービィは絵の道具を持って森の方へと走っていった。

森の中では、アドレーヌが絵を描いていた。
彼女はプププランド以外の所から絵の修業のためにやってきたのだが、いつの間にかすっかりプププランドの住人として馴染んでいた。
そしてよくこの森に絵を描きに来ているのだ。
「今日もいい天気ねぇ、こうやって絵を描いてる時間ってすっごく幸せ……」
などと呟きながらのんびり絵を描いているところにカービィがやってきた。
「やっほーアドちゃん、探したよー!」
「あら、カーくんじゃないの。どうしたの?」
アドレーヌは絵を描く手を止め、カービィの話を聞いた。
絵を上手く描けるようになりたいというカービィのために、アドレーヌは力を貸すことになった。


後日、彼らはベジタブルバレーへとやってきた。この草原の風景を描く練習をさせるためだ。
「カーくん、いいかしら? 風景を描くときは周りの物や遠近法に気をつけて描くのよ、それから色を塗るときは最初に広い部分から塗っていって、それから……」
などと絵に関するアドバイスをカービィに叩きこむアドレーヌだが、肝心のカービィは何が何だかさっぱりわかっていないようだ。
アドレーヌもそれに気がつき、もっと簡単な方法で教えることにした。
2時間ほど練習をしただろうか、お昼ご飯の時間になったため一旦それぞれ家に帰ることにした。
だがカービィは、親切に教えてもらっているのに一向に腕前が上がらないのを気にしていた。
「はぁ……アドちゃんは自分の時間を潰して僕に絵を教えてくれてるのに、僕が全然じゃアドちゃんに申し訳ないよなぁ…………」


「へぇ、アドに絵を教えてもらっているねぇ……。あんなおチビさんに何ができるのかしら?」
突然、カービィの背後から甲高い声が聞こえてきた。
その声に驚いたカービィが振り返ると、そこには不思議な模様のローブを羽織った女性が立っていた。アドレーヌと過去に因縁を持つ魔女、ドロシアだ。
因縁というのも、二人は同じように絵筆で絵を描き同じように描いた絵を実体化する能力を持っている。そのことがお互い気に喰わないのである。
ただ、彼女らの違いはその生活ぶり。アドレーヌは一般市民と同じように暮らしているがドロシアはプププランドのどこかに大きな屋敷を建てて住んでいる。その違いが両者の態度の違いに出ており、描く絵にも影響している。
「アドレーヌだかマドレーヌだか、あんな一般市民のおチビさんが絵の教師をねぇ……笑っちゃうわ! ねぇカービィ、ワタクシが絵を教えて差し上げまs」
「断るね」
カービィはきつく即答した。さすがのドロシアも少し驚いたようだ。さらにカービィは付け加える。
「僕は元々アドちゃんに絵を教えてもらうって決めたんだし、ドロシアはいちいち上から目線で態度が大きすぎるから嫌いなんだ」
「へぇ、なかなか言うじゃないの……」
そう言いながらドロシアは懐から1枚の紙を出し、カービィに渡した。
カービィは一応その紙に目を通す。紙にはこう書かれていた。


お絵かきコンテスト開催

開催日時:11月3日、午前10時〜午後12時(雨天中止)
開催場所:クラウディパーク(当日は現地集合)
参加費:無料


「お絵かきコンテスト……?」
カービィは首をかしげる。
「えぇそうよ、来週開催されるわ。アドがあなたに教えた絵の成果をこのコンテストで見せてもらうわよ」
そう言ってドロシアは去っていき、後にはカービィ1人が残された。
チラシを握りしめたカービィの心の中には既に答えはあった。
「負けられない……この勝負、受けて立つ!」

話を聞いたアドレーヌや一緒にいたメタナイト、さらにはデデデ大王までもがカービィのバックアップにまわった。
みんなドロシアの態度にはウンザリしているので今回の件で目に物見せてやろうと思ったのである。
「いいかカービィ。絵画も剣術も同じ、どちらも鍛えた技が物を言うぞ」
メタナイトは自らが得意とする剣術に例え、カービィに説明する。
「せっかくワシが高い画材を買ってやったんだ、絶対に負けるんじゃないぞ!」
などと言いながらデデデ大王はカービィに画材を差し出した。いつもカービィに戦いを挑むデデデ大王だが、心の底ではカービィの事を思っている大切な仲間なのである。
アドレーヌも自らが筆を進ませてカービィに絵の描き方や解説をした。それを必死に真似し、頭に叩き込むカービィ。
少しずつではあったが、カービィの腕前はぐんぐん上達していった。


そして、コンテスト当日。
クラウディパークには沢山の人が集まった。その中にはカービィ達の姿も見える。
「うわぁ、ちょっと緊張してきちゃったよ……勝てるかなぁ」
少し不安になるカービィ。しかし、アドレーヌ達がカービィに声をかける。
「カーくん、大丈夫よ。自分に自信を持って!」
「よいな、決して気を抜くんじゃないぞ」
「お前はワシのライバル、こんなところで終わるような奴じゃないと信じてるゾイ!」
彼らに励まされ、カービィの胸には自信がわいてきた。
少し離れたところにいるドロシアの姿が見える。彼女もこちらに気がついたらしく、不敵な笑みを見せた。
「大丈夫、僕なら出来る……必ずやってみせるさ!」
「ふふふっ、来るがいいわカービィ。このワタクシが捻りつぶして差し上げましょう」
自信たっぷりのカービィとドロシア、両者の勝負は既に始まっている。


午前10時、いよいよコンテストが始まった。
カービィはみんなから託された想いと道具を手に、ドロシアとの勝負へ足を踏み入れたのであった……





END
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