「…迷ったぁ! どこがどこだかわからないよぉ〜〜〜!!」 先ほど勇んで森の中へ入って行ったカービィだが、やはり迷ってしまっていた。 元々彼は背が低く、辺りの見通しがきかない森では最悪の相性である。 なので平均より迷いやすいのであった。 「やっぱりアドレーヌに案内を頼んでおけばよかったなぁ…。 今さら後悔しても祭りの後だけど」 祭りの後、ではなく正しくは「後の祭り」である。 こう言葉を間違って覚えているところも彼のよくないところだ。 そもそもカービィは人の話を最後まで聞かない悪い癖があるので道案内がいても迷ってしまうだろうが…。 その時、ふと上を見上げたカービィはある物を発見した。 それは、彼とそっくりなからではあったものの体色は白、それに黄色い頬と青い足という見たことがない組み合わせであった。 基本的に足と頬は体色を濃くした、または薄くした色で構成されるからだ。 それに月のマークがついた青いとんがり帽子に先端に星がついた杖、さらに箒まで持っていた。 「なんだろ、魔女かな? …ひょっとしてケケの親戚かな?」 今彼が言ったケケというのは、彼の友人の1人である。 黒い服にシルバーの髪、それにネコ耳という妙な容姿であるが、彼女は立派な魔女の血を引く少女である。 …と言っても使える魔法は箒で飛ぶことだけであったが。 どうやらカービィが見つけた少女は木に引っ掛かっているようだったので、おろしてやることにした。 しかし背が低い彼ではどうやっておろせばいいかわからなかった。 「うーん、どうやっておろせばいいんだろう…」 その時、彼は友人であるアカービィに夏に教わったことを思いだした。 いいか、木の上にいるカブトムシやクワガタムシを捕るときは思いっきり木をけとばすんだ。 そうしたら振動に驚いてムシが落ちてくるんだぜ! 人をカブトムシと同等に扱うのは少し気が引けるが、この際方法はこれしかないと思った。 早速木をけとばそうと構えた、が。 「…無理だよ!」 木は予想外に太く、彼がけとばしたぐらいじゃぜんぜん揺れそうにない。 これではどうすることもできなかった。 しかし、またまた彼は友人に言われたことを思いだした。 今度はシービィが言っていたことだ。 問題にぶつかった時、まず周りをよく見渡すんだ。 そうすれば自然と道は開けてくる。 言われた通り、カービィは辺りを見渡した。 目に入ったのは、一枚の鳥の羽根だった。 「…これだぁ!!」 カービィはその鳥の羽根を拾い上げると、口の中に放り込んだ。 するとカービィの体が輝きだし、変化し始めた。 カラフルなウォーボネットをかぶり、大きな羽根を広げた。 カービィのコピー能力の一つ「ウィング能力だ」。 これで高い飛行力を得ることができる。 カービィは羽ばたいて飛び上がると、木の枝に引っかかっている少女を助け出した。 そしてそのまま飛び続け、空から森をぬけだしたのであった…。 |
page view: 1499 この小説を評価する: (5) |