星のユービィVさんの小説

【〜星のカービィと愉快な仲間たち〜】第35話 ラージェルとうじょう


未来世界は発展している。
それは紛れもない事実である。
ところが、そんな世界とは別にもう一つ。
パラレルという世界があるらしい。
なんでも、自分と同じ姿をし同じ性格なのに全く別な自分がいるという話である。
シービィの説では、パラレル世界は別な次元の先にある異世界ではないかとのことだ。

カービィ達もパラレル世界なんて全くの迷信だと思っていた。
そんなある日のこと…。

アドレーヌが商店街で買い物を終えて帰ってくる途中、道端に1人の…カービィそっくりな男と思われる人物が倒れていた。
いや、カービィに似てはいたがカービィよりも青年っぽく、カッコよかった。
体色も白い体にピンクの足という見たことのないバリエーションだ。
それに何よりもおかしなところはピンクのマントをまとい、顔にバイザーだかスカウターらしき機器を装備しているところだ。
身元不明の怪しい人ではあったが、道で倒れているということは何かあったのだろう。
すぐにアドレーヌは家に連れて帰った。 そしてベッドに寝かせるとそっと頭に氷袋を乗せた。
アドレーヌ「これでよし。 でもこの人なんなんだろう…?」

とりあえずそっと寝かせておくことにし、下で読書をすることにした。
しばらく経つと階段の方で物音がした。
アドレーヌの家の階段は、狭い家に無理やり入れたためか角度がけっこう急であるため
注意しないと足を踏み外し転げ落ちてしまう時がある。
今の物音はきっとあの青年が転げ落ちたんだろう。

見にいってみると、やはりあの青年であった。
腰を強打したのだろうか、なかなか立ち上がれないようだ。
アドレーヌ「大丈夫?」
?????「あぁ、大丈夫だよ。 ところで君は誰?」
青年は彼女に対してなれなれしそうに名前を聞いてきた。
不可抗力? となぜかこの言葉を思い浮かべつつ名前を名乗った。

アドレーヌ「私はアドレーヌよ」
すると突然青年はアドレーヌに抱きついてきた。
?????「やっぱりそう!? うすうす感づいてはいたけどやっぱりアドレーヌなんだね!」
アドレーヌ「ちょっと! なれなれしくしないでよ。 そもそもあなたは誰なの!?」
彼女が聞き返すと、青年は急に落ち着き払って言った。

?????「僕? 僕は宇宙の平和を守る『宇宙調査隊カービィズ』の隊長、ラージェルだ!」
アドレーヌ「…何それ?」
ラージェル「何って忘れたの? 君はアドレーヌで僕はラージェル。 よくリムの世話をしてるじゃないの」
アドレーヌ「そんなの知らないわ! 第一リムって誰よ!?」
この調子で一向に終わる気配がない言い争いが数十分続いた。
お互いが疲れを見せ始めたころ、アドレーヌがあることに気がついた。

アドレーヌ「ラージェル、あなたもしかしてパラレル世界から来たんじゃないの?」
それを聞いたラージェルも、何かを思い出したかのように言った。
ラージェル「そういえばそうかもしれないね。 だって僕が知ってるアドレーヌは大人だし、それにここの風景は僕が知ってるポップスターじゃないもの」
ようやく二人は言い争いをやめ、落ち着きを取り戻した。

ラージェルの話によると、どうやら新しい時空間移動装置の実験中に何らかのトラブルに遭い異次元へと飛ばされてしまったらしい。
そこからここに空間がつながりこっちの世界へ迷い込んでしまったのだ。
つまりラージェルが元の世界に帰るには同じことをしてみる他はなさそうである。
しかし、困ったことにこちらの世界には時空間移動装置なんてものは存在しない。
ましてや、パービィですらそれを作ることは困難であった。

アドレーヌ「…じゃパラレル世界のあなたの仲間が装置を完成させて迎えに来るまで帰れないってわけなのね」
ラージェル「まぁそういうことになるかな。 ライの技術は最高だし、きっとすぐにできるさ」

ラージェルは自分の仲間たちの話をアドレーヌにした。
機械に強い黄色の戦士「ライ」
ムードメーカーな緑の戦士「ボルト」
怪力自慢の赤の戦士「ビルディ」
おてんばで強気な青の戦士「エリアス」
そして、天才で万能の白の戦士「シルウェイ司令官」

ラージェル「みんな僕の大切な仲間なんだ」
そういうと彼は立ち上がった。 そして外へと飛び出しながら言った。
ラージェル「ねぇ…こっちの世界を見にいきたいんだけど、いい?」

アドレーヌとラージェルは早速商店街へと向かった。
町の人たちはもの珍しそうに集まってきたし、カービィ達も新しい友達として迎え入れてくれた。
ラージェルはカービィ達と一緒にいろんな場所へと行った。
グリーングリーンズ、クラウディパーク、ギラウェア火山、レインボーリゾートなど…。
みんなで名所巡りをしたあと、ラージェルはアドレーヌにだけ聞こえるよう小さく呟いた。

ラージェル「僕はいつも戦ってばっかりでさ、こういう風にみんなと楽しむなんてことはほとんどなかったんだ。
だからたくさんの友達と一緒に遊べるアドレーヌがうらやましいよ」
アドレーヌ「だったらあなたもここに住んじゃえば? きっと毎日が楽しいわよ」
彼女が言うと、ラージェルはさみしそうに空を見上げた。
ラージェル「残念だけど、僕はもう帰らなきゃならないみたいだ」
アドレーヌも彼の視線の先を見上げた。
そこにはジャンボジェット… いや、それよりもはるかに大きな飛行艦が停泊していた。
周りに水蒸気をまとい、雲のようにカムフラージュしているのがうかがえる。

その飛行艦から4人のカービィそっくりな人が降りてきた。
みなラージェルと同じ格好をしていたが、色はそれぞれ黄、緑、青、赤であった。
先ほどラージェルが話していた仲間たちだ。
ライ「いたいた、隊長!」
ボルト「ミーたち心配したんですよ〜」
ビルディ「大丈夫だったか!?」
エリアス「無事に見つかってよかったわ」
彼らはラージェルを取り囲むように立つと、そのまま飛行艦へと戻っていった。
ラージェルも後を追おうとして、ふと足を止めた。
後ろを振り返ってアドレーヌに手を振ると、最後にこう言い残して去っていった。


ありがとう 離れていても友達だよ


飛行艦はゆっくりと上昇すると、虹色に輝き消えていった。
きっと時空間に入り込んだのだろう。
それをずっと見ていたアドレーヌも空に向かって、たった今新しい友達がいた場所に向かっていった。


こちらこそよろしくね



END
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