星のユービィVさんの小説

【〜星のカービィと愉快な仲間たち〜】第32話 ゆめのなかのアドレーヌ


プププランドには夢の泉という場所がある。
そこは人々の夢を生み出す素晴らしい場所だ。
また、アドレーヌのお気に入りのお絵かきスポットでもある。

そんなある日、アドレーヌはいつものように泉に来ていた。
だけれど昨日はいろいろと忙しく、疲れていたため眠気もあった。
アドレーヌ「…ちょっとだけ、お昼寝しようかな」
そういうと、スケッチブックに1人乗りの小さなボートを描いた。
そしてそれを実体化させると、泉に浮かべそのうえでスヤスヤと眠りについた…。

その日の夕方、キービィがふてくされていた。
アドレーヌと一緒に遊ぶ約束をしていたのにそのアドレーヌがすっぽかしていたのだ。
彼はずっと公園の噴水前で待っていたのに、約束の時間を1時間過ぎても待ち続けていたのに彼女は来なかったのである。
仕方がないので、キービィはケケのところへアドレーヌの事を聞きに行った。

ケケ「えぇ、私の家には来てないわ」
キービィ「そう。 じゃアドは家に帰ってるのかな…?」
そこで、二人はアドレーヌの家に行くことにした。
いつもこの時間帯には彼女は夕食の準備で家にいるはずである。
しかし、家の鍵はかかっていた。
ケケ「留守なのかしら?」
アカービィ「よし、俺にマカセロー!」
キービィ「お前どっから沸いてきた!?」
アカービィはキービィの言うことは無視し、ポケットから何かをとりだした。
それは一本の細い針金だった。
その針金をドアの鍵に挿しこんだアカービィは針金を慎重に上下させた。
キービィ「ねぇ、それってもしかして…」

キービィはアカービィがやっていることがなんなのかすぐにわかった。
彼がやっていることはピッキングと呼ばれる行為であり、立派な犯罪である。
しかしアカービィはそんなことお構いなしだ。
やがて、カチャリという音が響き渡った。
アカービィ「よし開いた」
ケケ「何が、よし開いた よ! 犯罪じゃないのそれ!」
アカービィ「怒んなって。 入れるからいいじゃねぇか」

ピッキング、不法侵入罪とふたつも犯罪を行った彼だが、まぁやっていることは結果的にキービィ達の手助けなので怒るに怒れなかった。
ケケ「アドちゃん、いるかな?」
アカービィ「俺に任せろ、心当たりがある」
そういうと彼が真っ先に向かったのは、風呂場…。
キービィ「ヘンタイ、何いきなり覗き目的なんだよ!」
アカービィ「いや、やめたよ。 …今風呂じゃないみたいだから」
ケケ「そういう問題じゃない!!」

とりあえず二人でアカービィの頭を交互に殴ったのち、机の上にメモが置いてあるのを見つけた。
そのメモには「夢の泉にいます アドレーヌ」と書かれていた。
誰にあてたメモなのか不明だが、とりあえず迎えに行くことにした。
アカービィ「いざ、夢の泉へ!」
キービィ「夢の泉へ!」
ケケ「夢の泉へ! …ところで夢の泉って何?」
せっかくの冒険的空気から一気におなじみの脱力系空気になってしまった。
とりあえずいつものメンバーを招集した。
アドレーヌとは親しく話せるリボン、いればいろいろ役にたつメタナイト、そしてオマケ一同。

カービィ「とーちゃくー!」
デデデ「道のりは割愛されたな」
メタナイト「けっこう大変な道のりだったのになぁ」
ケケ「大変だから割愛されたの」
それでは大変だったという道のりをちょっぴり紹介。
そもそもアカービィが先頭に立って進んだのだが、ただやみくもに突っ込んだだけだったので森の中で迷いかけてしまった。
コンパスで正しい方角を調べてようやく夢の泉に向かい始めた時にはすでに一番星が見えていた。
途中で崖から落ちそうになったり、リボンがついていけなくなりそうになったりと大変だったのだがようやく到着したのである。

ミービィ「アドの荷物はそこの切り株のところにおいてあるよ」
リボン「ということはまだこの辺にいるはずですよね」
しかし、周りには人影は見当たらなかった。
代わりに、某小怪物のしっぽに火がついたトカゲを見かけた。
キービィ「まわりくどい言い方しなくても、普通にヒト〇ゲって言えばいいじゃん」
その時、メタナイトが声をあげた。

メタナイト「アドレーヌさん、見つけた!」
みんなはその声の元に集まってきた。
メタナイトが指差す先を見ると、未だにアドレーヌは泉の上で昼寝をしていた。
その寝顔は汚れのない、全く純粋無垢で安らかであった。
見ているこっちが眠くなりそうな感じでもあったが、目的は寝るためではない。

デデデ「さて、どうやって起こそうか?」
アカービィ「俺の歌で…」
一同(赤、アド除く)「それはダメ(だ)!」
以前からみんなはアカービィの歌でひどく苦しめられてきた。
全く無防備なアドレーヌにいきなり歌を聴かせたら目を覚ますどころかそのまま永眠というシャレにならない展開になる可能性もある。
それをやってしまうと連載が打ち切りになる恐れがあるのでみんなは必死にアカービィを説得し、なんとか歌をやめさせることができた。

みんなはない知恵を絞って必死に考えた。
耳元で目覚まし時計を鳴らしたが起きる気配はない、フライパンを叩いても目を覚まさなかった。
そもそもなぜこんなにも眠っているのかが謎に思えてしょうがない。

ふと泉の中を覗き込むと、そこには今まで見たことない景色が映っていた。 それはプププランドとは違う大きな草原、そして風に揺れる木や花たち…。
大風車が見える丘のふもとに彼女はいた。
まだ小さい3歳ぐらいの女の子だろうか、赤いベレー帽に緑の服。 無邪気で、明るい笑顔。
遠くに見えるのは母親だろうか、小さなベレー帽の女の子はその女性の元へと駆けていった…。

泉に映った映像はだんだんと薄れ始め、やがて消えていった。
カービィ「あぁ、消えちゃった…」
メタナイト「あれは一体何だったんだろうか?」
キービィ「女の子が映ってたよね」
リボン「アドレーヌさんにそっくりでしたよ」

アドレーヌ「ん、あぁぁ…。 よく寝た、というか寝過ごした」
突然の声にびっくりしたカービィ達が頭上を見上げると、アドレーヌがこちらに顔を向けていた。
アドレーヌ「あら、みんないたの? ねぇちょっと聞いてよ。 私ね、今夢でさぁ…」
デデデ「風車のある草原にいた自分の子ども時代を夢で見た、と言いたいんだろ?」
アドレーヌの顔が急に変わった。 どうしてわかったのかとでも言いたげな表情だ。
カービィ「それは内緒だよ!」
アドレーヌ「ずるいわ、教えなさいよ」
ケケ「それは秘密、秘密秘密のア〜ドちゃん!」
などとみんなはまた冗談交じりに笑いあい、楽しいひと時を過ごした。

夢の泉には昔からこんな言い伝えもある。
きれいな心をもつものは、泉の力で自分の一番楽しかったころの思い出をもう一度見ることができる。
そしてその思い出が消える時、今大切なものが己を待っていると…。
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