星のユービィVさんの小説

【〜星のカービィと愉快な仲間たち〜】第30話 からだのなかのぼうけん


プププタウン草野球場…。 ここが熱気にあふれていた。
今日はアカービィズとスマッシュズの試合があるからだ。

現在は6回の裏、アカービィズが守りである。
ここまでアカービィズは奇跡的に優勢で、かなりの得点差をつけていた。
みんなもこのまま7回裏まで相手に得点を与えずに耐えれば勝利なのでいつもより気合が入っていた。

アカービィ「よっしゃぁ、三球三振だぁーっ!!」
マウンドに立ったアカービィはボールを握りしめ、大きく振りかぶった。
バッターボックスの後ろ、キャッチャーの位置にいるのはアドレーヌ。 アカービィに下手くそは動かないポジションにいれば少しはマシということで無理やりここにさせられているのだが。

アカービィ「うおりゃぁぁぁぁ!!!」
大きくモーションをつけて投げた球は、勢いよく回転しながらホームベース上へと飛んで行った。
ところが、バッターが外したのはよかったがアドレーヌもボールをとりそこなってしまい、球は彼女の顔のあたり目掛けて飛んだ。

アカービィ「下手くそ! 振り逃げされるだろうが…」
ふと、ここまで言いかけてボールが見当たらないことに気がついた。
アドレーヌの顔の辺りにぶつかったので、普通なら大きく跳ね上がって後ろの方に飛んでいくはずなのだ。
それなのにどこを見ても球は見当たらない。
それにアドレーヌの様子もおかしかった。 倒れたまま起き上がらなかったのだ。

シービィ「審判! ちょっとタイムだ!」
そういうとシービィはアドレーヌの元へと駆けよった。
そして様子をよく見ると、とんでもないことに気がついた。

シービィ「試合は中断だ! アドレーヌの様子がおかしいからこれから病院へ連れて行く」
アカービィ達はせっかく勝ってたのにと文句を言うが、シービィはアドレーヌをそっと抱えて球場を出て行った。
しかしシービィは彼女を病院へ連れて行かず、自分の家のベッドへと寝かせた。
ついてきたカービィ達も驚いた。
カービィ「病院へ連れて行くんじゃなかったの?」
シービィ「さっきはそう言ったが、これは病院ではどうにもできない」
リボン「どうしてですか?」

彼女が聞くと、シービィは落ち着き払って言った。
シービィ「…ボールが消えたのは、アドレーヌが誤って飲み込んでしまったからだ」
アカービィ「な、マジかよ!? そんなことありえるのか?」
デデデ「ギャグだからありえるだろ」
キービィ「現実とフィクションをごっちゃにしないでくれよ」
しかし、とんでもないことになってしまった。
命に問題はないとはいえ、この先の生活に支障はあるはずだ。
どうにか取り出す必要がある。 しかしどうすれば取り出せるのだろうか…。

その時、アオービィに名案が浮かんだ。
アオービィ「ねぇ! ミニマムの能力でアドちゃんの中に入って取りに行くのは!?」
シービィ「…それしか手はないな。 だれか、体内探索部隊の志願者はいるか?」
その一言でカービィやアカービィが真っ先に手を上げた。
彼らから見れば、久々に取り柄であるコピー能力を使うチャンスが来たのである。
それに元はと言えばアカービィの投球力が事の始まりであったからだ。

カービィ、アカービィ、シービィの3人はミニマムの能力でミクロ化し、そっとホバリングで浮き上った。
そしてアドレーヌの口から体の中へと入って行った。


カービィ「正直、気持ち悪いね…」
シービィ「俺たちの体の中も基本的には仕組みは同じだ。 そういうことは言うな」
アカービィ「あーぁ、真っ暗だぜ。 明かり明かり〜♪」
彼らは緊張感も何もなく、ただゆっくりと飛び続けた。
そっと、フワフワと上下に揺れながら進み、やがて分かれ道に着いた。

アカービィ「なぁ、どっちへ進めばいいんだ?」
シービィ「ボールがあるのは肺ではなく胃のほうだから…」
ふと、シービィは言葉に詰まってしまった。
そういえば肺と胃への分岐点のところでどちらがどちらに通じているかは彼も知らなかった。
いや、今までに習ったこともないため知識の中にはなかったのだ。
落ち着け、何かわかる方法はあるはずだと自分に言い聞かせながら今までの記憶の中を探した。 体内、食道、そして気管…。

そして、ようやく思いだした。
この周りの壁に触れると、肺への道はふさがるようになっていることを。
これはそもそも食べ物が間違って肺に入らないようにする体の仕組みであるのだが、それを利用するという手を思いついたのだ。
そっと壁を触ると、右側の道がふさがった。
つまり左側が胃へと通じているのだ。

左の道に入り込んだ彼らは、ようやく胃へと到達した。
カービィ「へぇ〜っ、胃の中ってこうなってるんだねぇ…」
シービィ「気をつけろ、胃液は俺達も消化するからな」
関心しているカービィにシービィは注意した。
彼の好奇心ならそのうち胃液で泳ぎたいなどと言いだすかもしれないからだ。

やがて、アカービィがボールを発見した。
アカービィ「あったぜ! でもずいぶんでかくなってるなぁ…」
それを聞いたカービィが笑った。
カービィ「バカだなぁ、僕たちが小さくなってるんだよ」
アカービィ「バカで悪かったな…」

3人はボールをばらばらにし、細かくなったパーツを吸い込んだ。
こうすれば外へ運び出せるからだ。

シービィ「さて、帰るぞ」
カービィ「ちょっと待って!? 僕たちはどっちから来たんだっけ?」
シービィも辺りを見回し、急に不安になってしまった。
どちらが口の方へと通じている道だっただろうか。
道は二つあり、片方は口へと戻れるが、もう片方は(自主規制がかかりました)の恐れがある。
さすがのアカービィもその運命だけはたどりたくなかったので、真剣に考えることにした。


彼らが未だに体内で悩んでいる頃、ようやくアドレーヌが目を覚ました。
メタナイト「気がつきましたか!」
ケケ「アドちゃん、今ね…」

アドレーヌ「ちょっと待って! なんだか今体の中が変な気分なのよ…」
そういうと彼女はコップに水をくみ、それを一気に飲み干した。
もちろん体内にいるカービィたちにとっては突然の大洪水である。
しかし、シービィはそれでようやく正しい道を知ることができた。
シービィ「ついてこい、こっちだ!」

それから数分後、彼らは無事に脱出することができた。
アドレーヌにわけを詳しく話し、そして持ってきたボールを見せた。

アドレーヌ「アカービィ、今度から投球には十分気をつけてよね!」
アカービィ「お前こそ取り逃すんじゃねぇぜ!」
一騒動あったが、無事に解決したようであった。

ちなみにその後、アカービィズはスマッシュズと再び戦い、似た流れで勝利を収めたのであった。


END
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