星のユービィVさんの小説

【〜星のカービィと愉快な仲間たち〜】第14話 ゆめノートはおそろしい


ある日の事、シャービィは退屈で退屈でしょうがなかった。

シャービィ「あ〜ぁ、暇だなぁ…。 何かしようかな?」
しかし、特にやりたいことはなかった。

シャービィ「また悪戯しようかなぁ…、でもどんなことしようか…?
アドレーヌのスカートを釣り針でまくりあげる? いや、これは前にもやったな。
マンホールの蓋を開きやすくする? ううん、モービィがハマりかけたことがあったからもうやらねぇ。
野球ボールでガラス割ってアカービィのせいにするか? いやいや、シービィにあっさり見破られる。
…なんも思いつかねぇや」
今までに相当なことをやってきている彼だが、結果的に全てしっぺ返しを喰らっているため同じことはやろうとはしなかった。

ふと公園のベンチに目をやると、なにやらノートのようなものが置かれていた。
そのノートの表紙には、「dream note」と書かれていた。
シャービィ「ゆめノート…?」

ページを開くと、こんな説明が書いてあった。


このノートは書かれた夢を叶えます。 ただし一つ叶えるごとに、あなたは大切なものを一つ失います。

シャービィ「夢を叶えるだぁ? ホンマかよ?」
半信半疑になりつつも、とりあえず実験してみることに決めた。

シャービィ「そうだなぁ…、とりあえずこれで実験してみようか」
そう決めると、こうノートに書き込んだ。

【アドレーヌにスカートめくりをしても怒られない】

これじゃまるでアカービィの思考と同じだよなぁと思いつつも、いっぺんでいいから堂々とやってみたかったことを叶えてみることにした。

シャービィ(やべぇ、めっちゃドキドキするぜ…)
ちょうどアドレーヌはすぐ近くにいた。 どうやら散歩中のようである。

シャービィ「俺も男だ、やってやるぜ!!」
しなくてもいい覚悟を決め、シャービィはアドレーヌに慎重に近づいた。
そして、手を伸ばすと思いっきりスカートをめくりあげた。

アドレーヌ「キャッ!!」
はたしてゆめノートの効果は本物か? 今にも心臓が張り裂けそうなほどドキドキしていた。

普通ならアドレーヌは怒ってビンタをしてくるだろう。 だが今回は違った。
顔を赤らめて小さくつぶやいた。
アドレーヌ「…シャービィのエッチ」


シャービィ(やべぇ、まじパネェなこのノート。 正真正銘本物ですよこれ!!)
とにかく、ゆめノートの効果が本物であることは証明された。
これで自分の思い通りに好きなことができる。

ちなみに今のシャービィの行動を見ていたアカービィも同じことをやってみたが、ボコボコにされたのは言うまでもない。

シャービィ「よっしゃぁ! これで俺はなんでもできるぞ、プププランドを乗っ取ることだってできるんだ。
ひょっとしたら宇宙を俺の物にすることもできるんじゃないか?」
などと自分の妄想を繰り広げているうち、ふと気になったことがあった。

シャービィ(そういや夢を叶えるたびに一つ大切なものを失うってあったけど…)
しかし、今は願いを叶えることを優先させた。

その後シャービィは、金や食べ物など欲しい物をなんでも手に入れた。
夢のような生活である。

ところが、どうしたことか。 いつもなら一緒に行動してくるはずのモービィとチャービィが一向に来る気配がない。
町で見かけても彼らはシャービィから遠ざかっていく。
まるで避けられているかのようだ。
それだけではない、カービィやメタナイト、それにシービィまでもがシャービィを避けているのだ。

シャービィ(あいつら、グルになって俺をからかってやがるのか?)
ついにシャービィは直接聞き出すことにした。
いつも通り公園に集まっている彼らの元に駆けつけた。
そして、すぐに問いだした。 なぜ俺を避けるのかと。

彼らの口から出た答えは、シャービィの想像を超えるものだった。

カービィ「お前なんて別にいなくてもいいのさ」
チャービィ「僕らにもいつも命令ばっかりでさぁ」
モービィ「テメェなんかと友達になったのが間違ってた」

シャービィ「お、お前ら…」

キービィ「みんな、ほっといて行こうよ。 こんな屑にかまってると時間の無駄だよ」
最後にそれだけ言い残し、皆去っていってしまった。

シャービィ(嘘だろ? 俺たち友達じゃなかったのかよ…?)
空が突然暗くなった。 そして雨が降り出した。
まるで今のシャービィの心の中のように…。

シャービィは悲しかった。 とても悲しかった。
昔、彼がまだ小さかった頃…。

その容姿からほかの子どもたちに気味悪がられ、友達が一人もいなかった時があった。
いつも昼に遊んでいる子どもたちに話しかけても皆が彼を無視して去っていく。
そんな中シャービィと最初に友達になってくれたのがモービィとチャービィの二人だった。
それ以降はトリオで活動し、時々ケンカをするけれどずっと友達として過ごしていた。
それなのに…。

シャービィ(俺は、俺は、俺は…)



「…シャービィ?」

ふと、後ろから誰かに呼びかけられた。
振り返るとそこには傘を差したアドレーヌが立っていた。

シャービィ「アド…レーヌ?」
アドレーヌ「そうよ、私は私。 それよりどうしたの?」
シャービィ「お前は、俺の事を見捨てないのか…?」
アドレーヌ「友達を見捨てるわけないじゃないの」

シャービィ「アドレーヌ…、あ、あり、ありがと…な」
アドレーヌ「さぁ、もう泣かないの」

差し出されたハンカチで涙を拭いたシャービィは、アドレーヌと一緒に近くの喫茶店に立ち寄った。
シャービィはそこでアドレーヌに今までの経緯を話した。
もちろんノートの事も全て話し、正直に内容を見せた。

それをすべて見たアドレーヌは、これしかないとばかりに自信ありげに言った。
アドレーヌ「みんながシャービィに寄りつかなくなったの、きっとそのノートのせいよ」
シャービィ「な、なんだって?」

アドレーヌ「そのノートにあったでしょ? 叶えるたびに大切なものを失うって。
だからシャービィが願いを叶えるたびに友達が離れていったのよ」
シャービィ「じゃ、俺がもしもう一つ夢を叶えていたら…」
アドレーヌ「私も寄りつかなくなってたかもしれないわ」
そう小さくつぶやくと、すぐに店を出る準備を始めた。

アドレーヌ「とにかく、そのノートを処分しましょう!」

二人はすぐに焚火の準備をした。
そしてゆめノートからシャービィが叶えたゆめの書かれたページを破り取り、全て火の中へ放り込んだ。
パチパチという音を立てて、ページはだんだん炭になっていった。
やがて、跡形もなく燃え尽きた。

後には燃えかすと何も書かれていないゆめノートが残った。
いつの間にか雨も止み、空には明るい太陽が見えた。

シャービィ「こんなノート、捨ててやる!!」
そういうと、彼はノートを思いっきりどこかへ投げ捨てた。
アドレーヌ「誰にも拾われないといいわね」
シャービィ「あぁ…」

その時、遠くからカービィ達が駆けてくるのが見えた。
みんなは手にテニスラケットを持っていた。

カービィ「アドレーヌ、シャービィ、テニスで遊ぼうよ!」
メタナイト「コートの手配はバッチリだぜ」
モービィ「俺とダブルス組まないかー?」
チャービィ「僕はしっかり応援するよー!!」

アドレーヌ「ほら、友達が呼んでるわよ」

アドレーヌがシャービィの方を振り返ると、彼はわからないように涙を拭いていた。
そして、カービィたちの方へと駆けて行った。

シャービィ「あぁ、今行くぜー!!!」


END
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