リョーマさんの小説

【BONDS OF FATE】第六話「TORRES」


 バイクで次の町に向かう彗吾と雛織。

 雛織「彗吾・・・。」

 彗吾「何だ?」

 雛織「門での『あれ』は何だ?瀕死だったのに人殺してピンピンしてるぞ。」

 彗吾「・・・すまんが俺にもわからん。気付いたら殺ってたって感じだ。」

 雛織「おいおい・・・。」

 ガタ・・・ガタ・・・。

 雛織「さっきから凸凹道走ってるが合ってんのか?」

 彗吾「俺の記憶が正しければな。」

 雛織「・・・俺は大和地方出身だからこの地方には詳しくないからな。」

 彗吾「だろうな・・・名前に漢字使うのは大抵が大和地方出身だ。ちなみにここはベレチ地方。」

 雛織「彗吾もか?」

 彗吾「先祖はそうなんだろう。しかし俺はトッカ地方の出身。」

 雛織「ふ〜ん・・・。」

 彗吾「十年も前だが世界は見てるから心配ねえさ・・・話してるうちに町が見えてきたぞ。」

 彗吾が指差した方向にはうっすらだが町影が見えた。

 彗吾「今日はあの町で休むかな。」



 トレス 門の西側にある町。特に目立つ物は無いが南ベレチ大陸の首都に近い為、交通の便は良い。



 彗吾「着いたぞ。」

 雛織「やっとか・・・。」

 雛織の顔は少し青ざめていた。

 彗吾「疲れてんのか?・・・ついて来い。」

 彗吾は住人に道を聞くと雛織をつれて行った。

 雛織「ううう・・・。」



 ・・・・・・・・・・・・。



 彗吾「おーい、いるか?」

 ・・・。

 彗吾「返事しろー。」

 ・・・。

 彗吾「仕方ねえ・・・『オレノヨメハアリス』!」

 ギギギギギギ・・・。

 ?「アリスは俺の嫁だ!」

 彗吾「ジェフ・・・この暗号はどうにかならんのか?」

 ジェフ「・・・彗吾か?」

 彗吾「何だその顔は?」

 ジェフ「お前は死んだって報告が来たが・・・。」

 彗吾「俺が簡単に死ぬ奴じゃない事は、お前が知ってるだろ?」

 ジェフ「そう・・・だな。」

 彗吾「突然で悪いが・・・連れと一緒に泊めてくれ。」

 ジェフ「・・・いいぞ。」

 彗吾「じゃ、お邪魔する。」

 ・・・・・・。

 ジェフ「十年間音沙汰無し・・・何かあったのか?」

 彗吾「何かって程じゃない・・・死にかけただけだ。」

 ジェフ「死にかけたって・・・。」

 彗吾「一命は取り留めたみたいだが・・・おかげで顔に。」

 ジェフ「薔薇に縦に刺してある剣の刺青・・・か。」

 彗吾「彫った訳じゃ無いからな?刺青じゃない・・・紋章だ。」 

 ジェフ「そーかい・・・十年間何してた?」

 そう言われ、記憶の糸を手繰り寄せる。

 彗吾「森暮らしの一年目は地獄だったね、特に食料。一番うまかったのは・・・焼き熊肉だ。」

 ジェフ「想像出来んな・・・その後は?」

 彗吾「森暮らしの二年目、ジョンパさんの妻が娘連れて墓参りに来た。俺を見て驚いてたね。」

 ジェフ「お前の言う『女医』か?」

 彗吾「そうだ。面識はあったからな、多少変わっても一目でわかったじゃないかな・・・。」

 ジェフ「何か言われたか?」

 彗吾「・・・治療した後に『治療代、払いに来なよ!』って。薬は置いてって行った。」

 ジェフ「ははははは!・・・それで金は?」

 彗吾「今からさ。」

 ジェフ「お前も苦労してきたんだな・・・。」

 彗吾「お前はどうなんだ?やっていけてんのか?」

 ジェフ「アリスが娘を残して先立った・・・。」

 彗吾「反抗期に入ったら大変だな。」

 ジェフ「全くだ・・・。」

 ジェフは少し自嘲的な笑いを浮かべた。

 ジェフ「・・・ジョンパさんの妻に会ったって事は政府は『お前が生きてる』って知ってるじゃないか?」

 彗吾「いや伏せてある。政府が『俺が生きている』と知ったら今頃殺しに来てるさ。」

 ジェフ「何故だ?お前らは敵の奇襲で命を落としたんだろ?」

 彗吾「それはあいつらの作戦のうちに過ぎなかった。反乱軍も俺たちも利用されたんだよ。」

 ジェフ「!?」

 彗吾「十年前の事だ・・・。」

 彗吾はそう言って十年前の出来事を振り返った・・・。
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