tateさんの小説

【メタナイトの逆襲:サイドストーリー】Zapping of 17: 光芒の深奥


 グレープガーデンで『こんかいのそうどう』の実体をようやく知ったシルフィードは、グレープガーデンからバタービルディングを経由して、デデデ城へと舞い戻ってきていた。太陽がそろそろ頭の真上にやってくる頃合の話だ。
「はあっ、はあっ……デデデ大王様! 『こんかいのそうどう』について調べてきましたよ!!」
 鬼気迫る表情でデデデ城に乗り込んできたシルフィードを出迎えたスターリンは、一度奥に引っ込むと濡れタオルを持って戻ってきた。
「ええと……とりあえず、顔を拭いてください」
「へ?」
「泥なのか煤なのかはしりませんが、汚れています。その間に大王様にお取次ぎしましょう」
 タオルを渡すと、スターリンは城の正面入り口に当たる広間にシルフィードを立たせたまま、さっさと城の奥に戻っていってしまった。
 あ、あの〜……と困惑気味に立ち尽くしていたが、とりあえずタオルで顔を一撫で、二撫で。すると白かったタオルが黒色に汚れた。
 ひいいいい、とシルフィードは内心叫び声を上げた。どれだけ汚れた顔でバタービルディングやら、ワープスターやら、レインボーリゾートを渡り歩いてきたのだろうか。鬱々とした気分で肩を落としていると、無駄に伸びた廊下の向こうからスターリンとデデデ大王が歩いてくる姿が見えた。

「何がわかった?」
 シルフィードの目の前にやってきたデデデ大王は、開口一番、本題にまっすぐ切り込んできた。回りくどい挨拶は一切なし、それどころか、彼女達は大広間に立ちっ放しだった。くどくどと長時間話し込むつもりはないという、デデデ大王の意思だろう。
「『こんかいのそうどう』は、メタナイトが絡んでいるそうです」
 デデデ大王が渋い顔をした。
「それはわかっている」
「今朝、グレープガーデンが襲撃されました」
 デデデ大王の眉が、ぴくりと動いた。
「それもわかっている」
「そこでブルータスが砲撃に使っていた砲弾に、不思議なものが混じっていたんですが。もちろん、フツーに建物を破壊するものもあったんですが、それに混じって建物や人には影響を与えない、閃光を放つ砲弾が使われていました」
「閃光を放つ砲弾ですか?」
 首を傾げたスターリンに対して、シルフィードは小さく頷いた。
「そうそう、着弾するとすっごい眩しい光がでるんだけど、光が出ておしまい。私も近場で爆発するところは見たけど、特に熱かったり怪我をしたりはしなかったし」
「被弾したのですか? ……もっと慎重に行動すべきですね」
 シルフィードの言にスターリンの目が見開かれたが、驚愕はすぐに呆れ混じりの吐息に変わった。「すんません」とシルフィードは苦笑交じりに肩を竦めた。
 顎に手を沿え、暫く考え込んでいたデデデ大王が徐に口を開いた。
「……その不思議な砲弾は頻繁に飛んできていたか?」
「へ? いや、どうでしょうか……そんなに数は多くなかったように思いますが、グレープガーデンの人々がそれに気がついたぐらいには、飛んできていたような」
「ふむ……だがこれでは、オレ様のサインの価値にはまだまだ及ばないな」
 デデデ大王は偉そうに腕を組むと、シルフィードを見下ろした。
「え、ええ!? まだ何か調べるんですかぁ?」
「と、言いたいところだが、まぁ一人で調べられる範囲には限界もあるだろうからな。向こう一週間でこれ以上の有用な情報が得られたら、報告しに来い。以上だ、もう帰っていいぞ」
「え? は、はぁ……あ、あの、タオル、お返しします」
 スターリンの手にタオルを返すと、シルフィードは怪訝な面持ちでデデデ城の外に出た。
 もう少し調査すべき、なのかなぁ?
 そんなことを考えつつ、とりあえずはヨーグルトヤードの冒険者ギルドに戻ることにした。

「スターリン」
「承知しています。閃光を放つ砲弾が何を標的としているかを調査して参ります」
「頼む」
 シルフィードが立ち去った後の広間での、デデデ大王とスターリンの会話だ。
 光が武器になる……闇とでも戦うつもりなのか? いや、まさかな。
 ふと浮かんできた考えだったが……デデデ大王はそれを自分の胸の中に留めておくことにした。

           ◆

 ポピーブロスJr.と星見草の二人は、通風孔の中を一生懸命這っていた。ぜぼしん、な〜ビィの襲撃を掻い潜り、何とかその場を逃げ出してきた。その結果が、通風孔の中をもぞもぞと這い回る現状だ。
「Jr.さ〜ん……これからどうするんですか?」
「そんな情けない声出すな。これでもちゃんと現在地は把握しとるわ。このまま進めば左ウイングのどこかに出られるはずや」
「どこか……」
 頼れるのか頼れないのか、何ともいえないポピーブロスJr.の言葉に星見草は小さく溜息を吐いた。だがここは彼についていくしかない。
 しばらく四つん這いになり通風孔を這っていくと、空を望む出口の一つに辿り着いた。金網の向こうには、青々とした空に白い雲。そして流れ込んでくる風に混じる、エンジン音。
「空が……見えている? Jr.さん、何か艦外に繋がっているみたいですけど……」
「わかっとる、でもここを出るしかないやろ。ちょっと待っとれ」
 星見草の前方で、ポピーブロスJr.がサイドポーチから工具を取り出した。そのままもぞもぞと、しばらく何かをしていたと思ったら、ガコンという鈍い音を伴い金網が外れ落ちた。
「うおっ」
 通風孔から顔を出したポピーブロスJr.の前髪が、一斉に上方に向かって弄られた。慌てて顔を引っ込める。
「ど、どうでした?」
「うん、一応ウイングには繋がってる。だがな、カプセルJやレーザーボールがわんさか配置されとる」
 ポピーブロスJr.は星見草の方を向き直り、胡坐をかくと艦内図を広げた。そして、「ここがうちらが襲われたところ」と一点を指差す。
「で、おそらくこう通ってここまで来たはずや」
 ポピーブロスJr.の人差し指が艦内図の上を迷うことなく動き、そして再び一点を指して彼の指は止まった。左ウイングのほぼ中央だ。
「どこか別の入り口からもう一度中に入りたいんやけどな……コカ、ちょいとここで待っとれ。うちが辺りを見てくる」
「そ、そうですか……気をつけてください」
 ほいほい、と気のない返事を返し、ポピーブロスJr.は通風孔を這い出ていった。

 ちょいと待っとれ、と言い残したまま通風孔から出て行ったポピーブロスJr.が戻ってきたのは、一時間以上経ってからだった。しかも何故か、出て行った方向ではなく、これまで移動してきた方向から戻ってきたのだった。
 意味がわからない……と星見草は思ったが、尋ねたところで理解できる返答は見込めなさそうだから、特には突っ込まなかった。

 むすっと口を噤んだ星見草の様子を見て、ポピーブロスJr.は気まずそうに後頭部を掻いた。一時間以上、こんなところに一人残されて機嫌のいい人なんて居るわけがない。ポピーブロスJr.はこの一時間に何があったのかちゃんと話すべきやな、と口を開いた。
「大したことがあったわけやないで。たまたまカービィ達と遭遇してな、色々とあってレーザーボールの攻撃から逃げるために下層に逃げたとか、まぁそんなとこや」
「大したことないって……全然大したことじゃないですか! 怪我していませんか!?」
「大丈夫やっちゅーとるに!」
 とポピーブロスJr.は詰め寄る星見草から、腕を振りつつ距離を取る。相変わらず一定の距離を保とうとするポピーブロスJr.の姿を目の当たりにした星見草の表情が、僅かに歪んだ。
 それはそうだ。ポピーブロスJr.は、彼女の心配を無碍にしようとしているのだから。
 心配されることがうっとおしいわけではないのだ、決して。ただ、必要以上に他人との距離を縮めることに抵抗があるだけなのだ。
 ポピーブロスJr.は、控えめに微笑んだ。
「いや、うん。心配してくれるんは嬉しい、おおきにな。でもホントに怪我はしとらんから、心配せんでええで」
 噛んで含めるように、しかしきっぱりと星見草に向かって言った。彼女は相変わらず心配そうな目を向けてきてはいたが、ポピーブロスJr.の言葉をとりあえずは信じることにしたようだ。
「さてと、次の目的地に移動するで」
「次……ですか〜?」
 せや、とポピーブロスJr.が頷いた。
「武器の格納庫に行ってみる。掘り出し物が拝めるかもしれんからな」

           ◆

                    To be continued...

                    2009Mar24 written by tate

                    Mail ->> tate@art.707.to
                    HomePage ->> http://junk-tateshina.net/
page view: 991
この小説を評価する:                   (5)