tateさんの小説

【メタナイトの逆襲:サイドストーリー】Zapping of 15: シーク・アンド・シーク


 グレープガーデン上空に到着したハルバードは、ようやく東の空が白み始めたころだと言うのに、にわかに沸き立っていた。特に艦底部の砲座周りでは、クルー達が喊声を上げてはトリガーを引く者の背中を叩き合っている。
「始まったようだね、な〜ビィ嬢」
「そうね。って、私たち、ポピーブロスSr.の弟を追い出さないといけないはずでしょ? こんなところで油を売っていていいの?」
 砲座に程近いキャットウォークを歩くぜぼしんの背に、な〜ビィは声を掛けた。
「いや、よくないね。だからこれからポピーブロスSr.に会いに行くのさ」
 うん? とな〜ビィが首を傾げる。
 と、そこにみらまたとふぇあの二人がやってきた。
「よう、ぜぼしんにな〜ビィちゃんじゃないか」
 ひらひらっと手を振ったのはみらまた。ふぇあの方は挨拶代わりに、気だるそうな欠伸を一つ見せた。
「お二人は何を?」
「いやぁ、ちょっとばかり人探しをしていてね、砲座の方を見に行こうと思っているところさ」
「人探し?」
「ああ、ちょっとした顔見知りがこの艦にいることを知ったんで」
 みらまたとな〜ビィが二言三言言葉を交わす。そして砲座へと向かうみらまたとふぇあの背中を見送った。
「へぇ、あの二人も人探しねぇ……それはともかく、当ても無く艦内を探すのも効率が悪いだろ?」
 な〜ビィの方を向いたぜぼしんは、ウィンクを一つすると、再び歩き出した。

「君がぜぼしん君、そちらのお嬢さんがな〜ビィさん、ね。何しに来たの? 君達、この辺の担当じゃないだろう」
 長めの銀髪の奥にある切れ長のエメラルド色の双眸が、掌の上で踊る黒い球体から、少し離れたところに立つ二人組みに向けられた。
 『ダイナブレイドが急速接近中だ。手に空いている者は迎撃をしろ――』というメタナイトの声でアナウンスが入る中、ぜぼしんとな〜ビィは艦内の妙に開けた空間でポピーブロスSr.を捕まえていた。
「私達、ハルバードに入り込んだあなたの弟を追い出せって命令されているの」
「へぇ、それは頑張ってね☆」
 冷たい印象を与える容姿をしたポピーブロスSr.の整った顔が、微笑んだ。……確かに笑顔ではあるのだが、心は全く笑っていない符号的な笑顔だった。
 うう、とな〜ビィがあまりにも表層的な笑顔にひるんだのとは対照的に、ぜぼしんは相手に合わせて大きく頷いた。
「そう、凄く頑張っているんだ。でも俺達の力ではどうしようもない事もあってね、Sr.サンにお願いしたいことがあって、こうして馳せ参じたってわけさ」
「私にお願いしたいことかい」
 そうさ、とぜぼしんは大げさに頷いた。
「Sr.さんの弟君は今回の決起には無関係なんだろう? では何故弟君は乗り込んできたのだろうね。お兄さんなら、その辺の事情を知っているかと思ってさ」
「弟のことなんて知らないね」
 ポピーブロスSr.が鼻で笑った。
「でも本当にアイツが潜り込んできていているのなら、私のところに来る可能性は高いよ。私たちは大変仲が悪い兄弟だからね☆」
「仲、悪いんだ……」
 お気の毒に、とな〜ビィが言い出さないうちに、ぜぼしんがこう言った。
「じゃあ、しばらく俺達はここに居させてもらうことにするよ。よろしく」

           ◆

 ぜぼしん、な〜ビィと入れ違いに艦底部の砲座にやってきたみらまたとふぇあを待っていたのは、クルー達の悲鳴と騒々しい物音だった。
「ぎゃぁぁああ! 照準がおじゃんにぃい!」
「ひーっ! 侍に襲われるー!!」
 そんな悲鳴が、遠くの方から聞こえてくる。
「な、何だぁ? お祭り騒ぎって感じじゃねぇな」
「ふぁ〜あ……」
 伸びをしたふぇあは、近くのキャノピーから外を見遣る。キャットウォークから見たときは張られていた弾幕が、今では随分と貧相に成ってしまっている。砲撃も断続的だし、完全に沈黙しているものもあった。
「んだねぇ。砲座が中から襲われてるみたいだ」
 キャットウォークから艦内へ繋がる通路で、みらまたとふぇあは足を止めた。途切れない喧騒を何をするでもなく眺めている。
 時折通路の向こうで爆発が起こり、慌てたクルー達がふらふらとキャットウォークの方に逃げてくる姿がある。二人の横を通り過ぎる人影と、何も言わずに見送る二人。みらまたとふぇあの二人には、爆風にまぎれて移動する人の影が見えたりもするが、だからといって何か行動を起こすこともしていない。
「何か、眠くなってきた……」
「寝るなよ。でもこのまま眺めててもなぁ。明らかにハルバードに害を与えているわけだし、見逃しても後々の責任問題になりそうだ」
 のんきに静観していた二人の頭上から、突然アックスナイトの声が響いてきた。
『コードブルー。艦底砲座、ターゲット001』
 みらまたが見上げる、スピーカーが設置されているようだ。極めて冷静を保っているアックスナイトの声音が、妙に不気味だな、などと思ったりする。と、
「……ターゲット001って、俺達が追い出さないといけないヤツのことじゃなかったっけ」
 などとふぇあが言った。
 そうかも、と出掛かった答えを発するより前にみらまたは咄嗟に剣を抜き、正眼に構える。間髪入れず前方から飛んできた火球を、くろがねの刃を振り抜き弾き飛ばした。壁面にぶつかった火球は、それを構成する鋼を黒く焼く。
「……魔法?」
「みたいだな。来るぞ!」
 剣を構える二人。
「見つけたぞ……みらまた!」
 砲座が巻き上げる黒煙の向こうから姿を現したのは、和風侍風のいでたちをした男性……カーヴィだった。

           ◆

                    To be continued...

                    2009Feb11 written by tate

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