tateさんの小説

【メタナイトの逆襲:サイドストーリー】Zapping of 08: 冒険者参上!


城門の前の草原に座り込んで、tate は卵サンドをぱくついていた。
デデデ城のコック長、カワサキに作ってもらった朝飯だ。デデデ城に詰めているものに分け隔てなく振舞われた朝食は、至極質素なものだったが、皆、城主のささやかな心遣いに感謝し享受した。

紙に包まれた卵サンドが後二切れ、彼女のひざの上でその口に運ばれる時を待っている。
遅めの朝食を食べながらぼーっとよく晴れた空を眺めていると、デデデがやってきた。
あまり機嫌のよさそうな顔はしていない。それはそうだ、メタナイトからの宣戦布告を受けてからデデデ城では何もいいことが起こっていない。ぼさぼさになった髪の毛をさらに掻き毟りながら歩いてくる彼の姿が、その様子を無言のうちに語っている。

「スターリンさんから連絡来ました?」
「いや、まだ来ない」
「そうですかぁ。そう簡単には会わせてもらえてないんでしょうねぇ。
 でもスターリンさんなら大丈夫ですよ!」
根拠のない自信に裏付けられた tate の発言にデデデは苦笑いをする。

自分の隣に立つデデデは、腰に手を当てて空を睨み付けている。
tate も立ち上がり、残っていた卵サンドのうちの一切れを勧めた。
「食べます?」
「ん、すまんな、頂こう」


デデデが無理やり卵サンドを口の中に詰め込んでいるところへ、こちら城門へ向かって歩いてくる人影が一つ、ぽつんと現れた。城門の前に立ち尽くす二人の元へ、人影は向かって歩いているようだ。その人影が大きくなるにつれて、その人が冒険者風の身なりをしていること、そして女性であることがわかった。よく見ると、彼女はなにやら四角い形をした白い物を左手にしている。

突然冒険者なりをした女性が立ち止まる。
そして突然全力疾走でコチラに突進してきた。
あわわわわっと慌てる tate、機嫌悪そうにふくれっ面をしたデデデ大王、そして滑り込んできた謎の女性が顔をあわせる。
「何だ貴様は」
肩で息をしている冒険者に、デデデ大王が開口一番、失礼な口を訊いた。
「サインくださいっっ!!」

『…は?』


冒険者は手に持っていた白い物…まぁこれが色紙だったりしたわけだが…と、懐から胴体にファンシーな文字で「油性まぢっく」と書かれているペンを取り出しデデデ大王の前に差し出した。
「あ、自己紹介がまだでしたね!
 私はシルフィード、旅のカラスです。
最近のマイブームは有名人のサインを集めることです!」
破竹の笑顔を浮かべて、冒険者…シルフィードは挨拶をした。
デデデ大王は何か反論をしようとしたが、途中まででかかった言葉を飲み込み、口をへの字に曲げながら色紙と「油性まぢっく」を受け取った。
「油性まぢっく」のキャップを外したところで、デデデの動きが止まる。

「そうだ。
 俺様は*超*有名人だからな、タダでサインをやるわけにはいかんな」
わざとらしくデデデがもったいぶって言う。
チラッとシルフィードに視線を送り、デデデはにやりと笑った。
その言葉を聞き、シルフィードの顔色が変わる。
「わわわっ!
 何でも…というわけには行きませんけど、私のできることはなんでもしますから!!
さささ、サインくださいよぉ〜…」
「何でも?」
シルフィードの言葉に、デデデ大王は意地悪く念を押す。
「死ねとか言われると困りますけど…
 できることなら何でも、です!」

「よし、じゃあお前はブルータスに関する情報を仕入れてくる。
 ブルータスと言わず、今回の騒動に関することなら何でも、だ。
まぁ建設的な情報がなくとも、それなりに働けばサインはやる。OK?」
こくこくとひとしきり首を縦に振った後、シルフィードは言った。

「"こんかいのそうどう" って何ですか?」
「…もういい。ホラ」

天を仰ぎ、それから心底あきれた顔をして、デデデは色紙に変な象形文字ばりの署名をした。それを無造作にシルフィードに差し出した。
彼女はペコペコと、100回ぐらいお辞儀をした。

「なんかよくわかりませんが、とりあえず調査はしてきます!
 ギルドに行ってみれば何かわかるかもしれませんから!」
「期待しないで待っててやる」
「… ^^;」


シルフィードの後姿が草原の向こうに消えていった。
「…相変わらず不味いな、カワサキの料理は」
彼女を見送ると、いつもながらの悪態をつきながらデデデは城の中に戻っていった。

「そんなこと思ってないのに〜…
 相変わらず口が悪いですねぇ、大王様は」
再び自分一人だけになった草原に、tate はころんと転がった。


「とは言ったものの、"こんかいのそうどう" ってなんだろう…
 とりあえずギルドに行ってみよう!」
デデデ大王のサインを胸に抱えクフクフとにやけながら、シルフィードはデデデ城最寄のワープスター発着所から、ヨーグルトヤード方面行きのワープスターに乗り込んだ。


シルフィードの乗り込んだワープスターは、オレンジオーシャン市街地へは向わなかった。レインボーリゾートとヨーグルトヤードを隔てる海に浮かぶ小島を経由する系統だったらしい。深い青い海が眼下に見える。
少し先に見える発着所には、「オレンジオーシャン行」という標識を出したワープスターが止まっている。ブラウンの髪に派手な真っ赤なバンダナのいでたちの少年と、それより少し背の高い男が二人、乗り込んだところでワープスターは発進した。

シルフィードは、ぼんやりと前方に見えるワープスター発着所に目をやった。
ワープスターが発進した後の発着所に、なにやら人らしきものが倒れている。
「人が倒れてる!!」
彼女の声に反応して、たまたま乗り合わせていた乗客たちがいっせいに窓の外を見る。乗る客も降りる客もいなかったが、ワープスターは発着所に停車した。

ワープスターが止まると、真っ先にシルフィードが飛び降りた。
大地に転がる人影に、恐る恐る近づく。

倒れこんでいるそれは、金髪で華奢な体つきをしていた。どうやら女性らしい。肩が上下に揺れているところをみると生きてはいるようだ、が意識はないらしい。顔が半分、大地に生える草に埋まっている。
このまま放って置くには忍びないということで、シルフィードに続いて降りてきた乗客と共にワープスターの中へ、彼女を運び込んだ。


「よ〜し!侵入者討伐隊の人員を決めるぞ!」
ハルバードのブリッジでは、メタナイツの面々+司令官がアックスの映し出すモニターをこぞって覗き込んでいた。モニターにはハルバードに乗り込んでいるいわゆるファイター系の面子のリストが映し出されている。

「おりょ?メイスと餅ちゃんは結界張りに行かなくていいの?」
トライデントナイトがすぐ横で覗き込んでいるメイスナイトを突っつく。
「ん〜、とりあえずメンバーが決まったのを見たら行くだスよ」

モニターを眺めながら、うう〜むと唸る司令官。
「むむ、まぁ何とかなるだろ!!!
 ここに配置されている "みらまた" と "ふぇあ" の二人が、さっきの和風侍担当。
ポピーSr.の弟たちは、"ぜぼしん" と "な〜ビィ" に任せよう」
びしびしとモニターを指差しながら司令官が適当に言う。
「わかった。彼らには俺の方から連絡を入れておこう」
アックスナイトは、司令官の言うとおりに配置図を書き換える。
そしてセーブした。


「じゃ、餅ちゃんいくだスよ」
メイスナイトが餅猫を促し、ブリッジを後にする。
餅猫もその後に続く。

「魔術による干渉を防ぐ…て、要するにテレポートでは入れないようにするってことだよね?」
餅猫がこれからやる仕事の内容を確認する。
「まぁそういうことだスな。どこに基点を置くか、だスな。
 …展望台あたりがいいだスか?」

展望台とは、ブリッジのキャノピーから上を伺うと見える辺りの上部甲板のローカルネームだ。メタナイツの面々が仕事に行き詰ると、よくこの展望台に出て気分転換を図ってるらしい。もちろん、メタナイトもその例に漏れず。どこにも姿が見えない場合はたいていここにいる、というスポットだ。

「へー、展望台っていうんだ、アソコ。
 アソコなら艦全体が見れるからいいんじゃないかなー」
「決まりだスね」


>>ハルバードグレープガーデンに向けて進攻中。
  現在カービィはワープスターでハルバードを追跡中。


To be continued...

2002Oct27 written by A.Tateshina
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