tateさんの小説

【メタナイトの逆襲:メインストーリー】Chapter07: Meta-Knights


「リ…リアクターが破壊されました」
「動力源であるウィリー達が逃げていくだスぅ!」
「ええぃ、何をやっておるのだぁっっ」

ハルバードではエンジンを回すためのエネルギーを、ウィリー達から供給している。リアクターを通し、ウィリー達の発生させる運動エネルギーを変換し、エンジンに供給しているのだ。
現在、カービィ達によりリアクターが破壊されたハルバードではガス欠状態に陥ろうとしていた。

「こちら第3エンジンルーム、エネルギー供給率が一気に35%にダウンしました!
 いや、現在エネルギー供給率0%!!エネルギーが回ってきません!」
「第5エンジンルームです。エネルギー供給率が下がっています。至急こちらへの供給率をあげてください。」

ヘッドフォンを通して、各エンジンルームに待機するエンジニアからの悲鳴がアックスナイトの耳に飛び込んでくる。
普段、すかしたヤツで通しているアックスナイトも、このときばかりは蒼くなって振り向いた。
「各部の機能が低下しています。第3・第5エンジン停止しました…」
「メ…メタナイト様…」
部下たちは揃って、上司の動向をうかがった。
当然司令官も、メタナイトの動向をうかがう一人だ。
メタナイトは顔色一つ変えずにコントロールパネルを覗き込む。まるで現在の状況を予想していたかのようだ。
危険を表すアラート信号が休む間もなく点滅するモニターを覗き込む。彼は、5基あるエンジンのうち4基を停止させた。そしてエネルギー供給をガソリンに切り替える。
「…これで2時間持たせられるか…」

コンパネを覗き込むアックスナイトがメタナイトに話し掛ける。
「ガソリン…?どこから持ってきたのですか?」
「…メカニックの一人が持ってきたんだ。
 奴に会ったら礼でも言っておけ」
アックスは少し考えた後に、はっとした顔をした。
「彼…ですか?」
「そうだ」
「何故…」
「そんなことまで俺は知らん。
 奴に直接聞け」

それからしばらくメタナイトはモニターを睨み付けていた。
アックスナイトや他のメンバーは、何も言わずにメタナイトを見つめている。ワドルディが緊張に耐え切れなくなり、もそもそ体を動かし、メイスナイトを突っついた。
「しーっ」
メイスナイトがワドルディに向かって、人差し指を立てる。そして耳打ちする。
「心配なのはみんな同じだス、メタナイト様が何とかしてくれるから待ってるだスよ」
ワドルディとメイスナイトは、メタナイトのほうに再び視線を送る。

メタナイトがマイクを取る。
「クルー全員に告ぐ。至急本艦より脱出せよ」


メタ・ナイツの面子は目を丸くする。食い入るようにメタナイトの方を見つめた。
ふと、メタナイトが視線を感じたのか振り返る。
「聞こえただろう?そういうわけだ。
 さっさと逃げるんだ」
いつもどおりの少し突き放したような喋り方をする。
いつもどおりの表情をしている。
メタ・ナイツはお互いに顔を見合わせる。

どうしよう…

約一名が声をあげる。
「じゃ、ワシは逃げます。悪く思わんで下さい」
メタナイトにそう言って、ドアの方に歩き出した。
「もとより、そういう約束だからな。さっさと行け」
司令官は、帽子を取り片手を挙げてドアの向こうに消えていった。

ウィリー達が全部逃げ出したのを確認して、カービィとギムは行動を開始した。
「これでエンジンも止まるはずですから…後はメタナイト、ですね」
「うん、彼はどこにいるんだろう…」
今まで通ってきた道を逆走しながらカービィがぼやく。
「おそらく、ブリッジにいると思うのですが…」

彼らがキャットウォークまで戻ってくると、ハルバードのクルー達がわらわらと脱出しようとしている様子が見えた。
ハルバードの戦艦底部には脱出用のハッチがあるようだ。小型の飛行機がパラパラと飛び出してくる。
「…メタナイト達も脱出しようとしてるってことはないかな?」
「メタナイトが率先して脱出するとは思えませんが…行ってみましょうか」
カービィとギムは脱出用ハッチの方に走っていった。

ブリッジでは、メタ・ナイツが固まったように立ち尽くしていた。
モニターには走るカービィとギムが映し出されている。彼らはどうやら脱出用ハッチに向かっているようだ。ハルバードのクルーの波の後に続いて走っている様子が見える。
「次はお前たちの逃げる番だ」
メタナイトは、部下たちの脱出を促す。
それまで、モニターの前に座りうつむいていたアックスナイトが顔を上げた。そして勢いよく立ち上がった。
「いえ…最後までお付き合いさせて頂きます」
アックスナイトは、キッパリと…メタナイトの目を見てそう言った。
「そ…そうだス!カービィをギャフンと言わせて、それからみんなで逃げるだスよ!」
メイスナイトも同調する。トライデントナイトとジャベリンナイトもうなずいだ。
驚いた顔をするメタナイトをその場に残し、メタ・ナイツは脱出用ハッチへ向かう。
慌ててメタナイトは部下たちを制止する。
「馬鹿野郎、死ぬぞ!そこまでする必要はないんだ!」
メタナイトの言葉に、部下たちは振り向いた。
アックスナイトが代表して、口を開いた。
「…一度始めたことは、最後までやりとおさなければいけないって
 メタナイト様の口癖じゃないですか。
 それに、これは俺らが決めたことですから」
アックスナイトの言葉に対し、メタナイトはうつむいた。
そしてはき捨てるように言う。
「勝手にしろ」
「はい、勝手にします」

メタ・ナイツの姿が通路の向こうに消えるまで、メタナイトは彼らの背中をぼんやりと見つめていた。
そしてつぶやく。
「すまない…」

彼らが脱出用ハッチに辿り着いたころは、大方のクルーは脱出してしまっていた。周りを見回すカービィ達のところへ、初老の男性が小走りにやってきた。
「む!お前はカービィ!!」
初老の男性は、カービィを見るなりそう言った。
「な…なんだよ…」
カービィは身構える。
しかし男性はそんなカービィを尻目に、残っている脱出用飛行機の方に視線をやる。
「ふーむ…ちゃんと数はあるようだな。
 ここまで考えて用意しているのか…」
ブツブツと独り言を言っている。
思い出したように、男性はカービィの方を振り向いた。突然視線を投げられたカービィはビクっとして後ずさった。
「メタナイト…どこにいるか知りませんか?司令官」
ギムが初老の男性に尋ねる。
「む?お前はギムか。ちゃんと動いているのか、流石だな。
 で、メタナイトだが、奴ならブリッジにいるはずだが?」
男性は自分が歩いてきた方向を指差して言った。
「ココを真っ直ぐ行くと、ブリッジに出るの?」
カービィが覗き込む。
「ああ、ココを真っ直ぐ行って、はしごを上っていくとブリッジのすぐ近くに出るぞぃ
 …おっと、早くせな落ちてしまう〜♪」
男性はそのままハッチの方へと行ってしまった。

「落ちてしまう?」
「ハルバードが墜落するまで、時間が残っていないってことでしょうね。
 メタナイトに接触したいのなら、急ぎましょう」

ブリッジから飛び出したメタ・ナイツは、はたとどこへ向かったらいいのかわかっていなかったことに気が付いた。
「どっちに行けばいいんだ!!!???」
トライデントナイトが落ち着きなく、アックスナイトを突っつく。
アックスナイトは、いきなりトライデントナイトを殴った。
「バカ!落ち着けよ。
 確か、あの時カービィは脱出用ハッチに向かっていたよな?」
ジャベリンナイトが頷いた。
「OK。ハッチに向かおう。
 途中で鉢合わせになる確率も高いからな」
アックスナイトは壁板を外し、脱出シュートのはしごに足をかける。
他の面子も後に続く。

はしごを降りたところで、ちょうどカービィがこちらに走って来る所に出くわした。
「見つけたぞ!カービィ!!」
一番最初に降りてきたアックスナイトが牽制をする。
こちらに気がついたカービィ達は、ある程度間合いを保って立ち止まった。
「ココから先には通さないだスよっ!」
「今宵のメタ・ナイツは一味違う…いで!」
トライデントナイトの足を、アックスナイトが無言で踏みつけた。
「なにすんだ!オラ!!」
「アホかお前!!これからカービィと戦うんだぞ!」
まぁまぁ、とジャベリンナイトが二人をなだめる。
一歩踏み出し、カービィと対峙する。
「ココより先に、通すわけには行きません」
「行くぞ!カービィ!!」
トライデントナイトとジャベリンナイトの2人が飛び込んできた。
「メイス、援護魔法を頼む。今回は俺も出るから」
アックスナイトはそういい残し、カービィに襲い掛かる。

トライデントナイトとジャベリンナイトの第一撃目を何とかかわしたカービィのところに、アックスナイトが武器を振り下ろす。
「うわっ!」
瞬間的にショートソードを引き抜き、アックスを受け止める。
アックスを何とかはじき返したところにトライデントナイトが飛び込んでくる。
持ち前の機動力を生かし、何とか攻撃をかわすカービィ。
ギムの方は、ジャベリンナイトと対峙している。ギムはメイスナイトのほうも牽制しているようだ。
カービィは気合を入れなおし、アックスとトライデントに向き直る。

「う…撃てない…」
メイスナイトは気を溜めていつでも魔法が撃てる状態にはなっている。
しかし、標的が動き回るため、しかも味方とごちゃ混ぜになってランダムに動くため狙いが定めきれずにいた。
「でも…早く援護しないと…」
ふと、カービィが間合いを取り直し、トライデントとアックスと睨み合っているようすが彼女の目に飛び込んできた。カービィの彼女の射線上にはギムが見える。
「よし…」
メイスナイトは両手を前に突き出した。

突然、カービィの右サイドから冷気が入り込んできた。
え?と思って右を向くカービィに、メイスナイトのブリザードが直撃する。
すかさず、トライデントナイトとアックスナイトがダッシュをかける。
ギムがブリザードに巻き込まれるところも、メイスナイトは捉えることが出来た。

ブリザードの霧が晴れた向こうには、カービィとギムが立っているのが見えた。
カービィの髪の毛の先は凍りついている。
アックスナイトが立っているのは見えたが、ジャベリンとトライデントの姿を見ることは出来なかった。
メイスナイトは、アックスナイトの元へ駆け寄る。
「トライデントとジャベリンは?」
アックスナイトは、アゴをしゃくる。メイスナイトは、彼の向こうにひっくり返っているトライデントとジャベリンナイトの姿を見た。
「な…何が起こったの?」
「あのヘルパーが、ブリザードをはじき返したんだ」
「えー!?」

カービィは唖然として立ち尽くすギムの方を見た。
カービィはブリザードを正面から受けた。だからそこら中ひりひりするし、髪の毛は凍り付いている。幸いにも、メイスナイトは加減して魔法を使ってきたようで、命にかかわるような怪我はしていない。
ギムも、見た目特にダメージを負っている様子はない。
メイスナイトが加減したからか?
しかし…
カービィは、先ほどギムがブリザードをはじき返したところを見た。デデデのような熟練者がはじき返すような感じではなく、瞬間的に何かシールドを張ったように見えた。
「な、なんなんだろう、今の…」
「私にもわかりません」
ギムにも何が起こったのかわからないようだ。
メイスナイトも呆気にとられた顔をしている。

アックスナイトがカービィの方に近づいてきた。
「カービィ、メタナイト様はこの先のブリッジにいる」
アックスナイトは抑揚のない声で、淡々と語る。
カービィは事の展開についていけずにぽかんとした顔をしている。
…いや、アックスナイト以外の二人も何が起こったのかよくわからないといった顔をしている。
「きっとメタナイト様は、お前が来るのを待っていると思う。
 この先のはしごを上って左に行けば、ブリッジに出る。
 後1時間ぐらいでハルバードは落ちる。
 このままお前がハルバードと一緒に落ちる分には構わないけど、メタナイト様まで落ちてしまうと困る」
「???」
カービィはアックスナイトの言葉の意味をわかっていないようだ。
「…この先に、メタナイト様がいるんだ。ココはひとまず休戦にするからとっとと行けって事だ」
「よくわからないけど、行っていいんだね?」
「ああ」
カービィとギムは、無言で脱出シュートの中に入っていった。

「アックス、行かせちゃっていいの?」
「?ああ…メタナイト様の希望だしな」
すっごく不機嫌そうな顔をしてアックスナイトが答える。
メイスナイトはアックスナイトの返答の内容の解釈に困った。
「メタナイト様の希望???」
「ああ…
 っとそれはいいから、ジャベリンかトライデントのどっちかを叩き起こさないとな。
 いくらなんでも、男二人を担いでは歩けないからな」
「…後でいろいろ聞くからね」
「後でな」
メイスナイトは、パタパタとぶっ倒れている二人の方に走っていった。
アックスナイトも後を追う。
「…ガソリンに、魔法をはじきかえる技術…
 ここまで来ると、諸刃の剣って感じだな…
 あいつのいた星ってこの先自滅するんじゃないか?」
アックスは一人ごちた。
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