tateさんの小説

【メタナイトの逆襲:メインストーリー】Chapter06: Halberd's Reactor


両ウィングの落ちたハルバードのブリッジは俄かに慌しくなった。
「ヘビーロブスターの爆発で、右ウィングが壊れただスぅ…」
「ふ、ふーんだ、左右が壊れてちょうどいいわい」
そういった司令官を、クルーたちの白い目が直撃する。
「司令官…少し黙っててくれないかなぁ」
トライデントが釘を刺す。ジャベリンも、司令官を援護することなくただ黙っている。

メタナイトが、コントロールパネルを覗き込む。
リアクターの出力とサブエンジンの稼動状況、バッテリーの残量の数値がモニターに出力されている。
「反重力プラントは問題なく稼動しているな」
「ええ。現状ならウィングの浮力はなくても問題ありません」
アックスナイトが応える。
反重力プラントに多少負荷がかかっているらしく、出力を表す数値が大きくなっている。
メタナイトは少しキーボードを叩くと、アックスナイトに1つ2つ指示を出してコンパネの前から離れた。

「カービィは外壁を伝って、戦艦底部に向かうようです」
アックスナイトの言葉に反応し、司令官が何かを言…おうとした所をトライデントナイトとメイスナイトが口をふさいだ。
「司令官殿、少し黙っててください…」
ジャベリンナイトがすまなさそうな感で司令官を諭す。トライデントナイトとメイスナイトは憮然とした顔のまま、司令官を押さえつけている。
司令官は、まだ何か言いたそうな顔をして、トライデントとメイスの下敷きになっている。


カービィ達が、外壁についている通路にたどり着いたところで、ハルバードは上昇を始め速度を上げた。グレープガーデンの方に向かっているのは確かだ。
「…ウィングをぶっ壊したのに何で飛んでるんだろう…」
「どうやら、ウィングは浮力を得るための補助機関に過ぎなかったみたいですね…
 これを落とすには動力部を破壊するか、浮力を得るための機関を破壊するか…」
2人は通路を進みながら、これからの予定を相談する。
戦艦底部へ下りるはしごの前までやってきた。
「…いくらギムでもハルバードの内部構造まではわからないよねぇ…」
「まぁ、詳しくは…」
「じゃあ、とりあえず行ってないところを片っ端から当たろうか」
「…効率は悪いですが、それしかないでしょうね…」
2人ははしごを下ることにした。


「カービィは外壁を伝って戦艦底部へ侵入しました」
メインモニターにははしごを下りきったカービィとギムが写し出されている。
足場の悪さに、2人とも少々引き気味になっているようだ。

「戦艦底部か…手薄な所だな。しかし風が強い」
「さむい」
「たかい」
「こわいだス」
「お前ら…」

そのやりとりを聞いて、メタナイトは思わず苦笑した。わかっていてこういう人選をしていても、なんともやるせない気分になってくる。そもそも、あいつの話を引き受けた自分なのだ、何にせよ、死人は出さないように収めないとな…と、ここしばらくはそんなことばかりを考えている自分には嘲笑を送った。
バカだ、俺はバカだ。
モニターに写るカービィはそんな自分を追いかけているのか、と思うと今すぐ張り倒してやりたい気分になった。


はしごを下りきると、そこは強風の吹きつけるキャットウォークだった。
足場は悪い、強風は吹きつける、とあまり条件は良くないだけあって人影があまり無い。わずかに配置されている面子の顔にも、厭戦ムードが漂っている。
カービィとギムは、ボーっと座り込んでいるハルバードのクルーたちの横を警戒しつつも歩いていった。
キャットウォークの終わりに、プラズマウィスプがぼんやり座っている。彼女がふと、視線を上げる。カービィと目が合った。
身構えるカービィを尻目に、彼女はさっさと行ったら?というジェスチャーをして、ドアの前をあけた。
ギムが、プラズマウィスプに声をかける。
「随分とやる気なさそうですね、この辺の面子は」
「うーん、まぁねぇ…ブルータスにも色々あんのよ、色々とね」
「…色々ですか」

キャットウォークから中に入った所は、全然人がいなかった。
というより人がいるかどうかを見通せるほど視線が通らなかった。
「ドアだらけ…」
とりあえず一番近くにあるドアの前まで行き、ノブを探す。しかし特に手をかけられそうなところは無い。自動ドアでもないようで、ドアの前に立っても開かなかった。
「開かない…よ?ギム」
ギムもドアの前に来た。
ふと、視線を右にずらすとカードリーダーが見えた。
ギムは、内ポケットからカードを取り出し、リーダーに挿す。そしてなにやら番号を入力した。赤かったランプが青く変わり、ドアが開く。
「開いた…」
「カード式のロックになっているようですが…
 私のカードはまだ使えるのですね。正直驚きましたよ」
ギムは腑に落ちないなぁ…と言う顔をしながら先へ進んでいった。
カービィはギムの背中追った。
「カードが使えてよかったじゃん?
 何かそんなにおかしい?」
カービィの問いかけに対し、ギムは振り向いて答えた。
「いや、メタナイトは真剣にプププランドを征服する気があるのか、と思いまして。
 私には、真剣に征服する気はないように思えるのです。
 そうは思いませんか?
 ある程度の抵抗はあるけれど決定的に我々の動きを止めよう、という思惟が感じられません」
「???」
カービィは首をかしげる。
「つまりですね、私のIDカードが使えるということ自体おかしいんですよ。
 メタナイトたちは、間違いなく我々の行動はモニタリングしています。
 あそこにもカメラがあるでしょう?」
ギムは天井を指差す。
カービィはギムの指差した方を目を凝らしてみる。言われて気が付いたが、確かにカメラのレンズのようなものが見える。
「ホントだ…」
「ということは、私がカービィのヘルパーとして動いていることは
 メタナイトもわかっているはずです。
 でも、私のカードはハルバードのクルーとして使えています。
 変ですよね?」
「うん、変だね」
「これが何を意味するのかまではわかりませんが…
 メタナイトは、単にプププランドを征服するためだけに動いているわけではない、
 ということは間違いないでしょうね」
うーん、とカービィは唸った。
「要は、メタナイトをとっ捕まえればいいってことだね」
「まぁ、結論だけ述べれば」

6つ目のドアをくぐると、エレベーターがあった。
カービィとギムはそれに乗った。エレベーターは下に向かって動き出した。


「カービィがリアクターに向かっています」
「動力が無くなったら、今度こそアウトだスよぉ!!」
心配そうな顔をするメイスの肩に手をおき、司令官があさっての方向を向いてこう言った。
「案ずるな…リアクターはカービィたちのどんな攻撃も受け付けまい」
「そうそう、反射れーざーが当たらなければ無敵だからね!」
司令官の影からひょいを顔を出したワドルディが無邪気に言う。
司令官はぱっと振り向き、ワドルディの口をむがっと押さえつけた。
「しいいいいいぃぃぃぃ!!余計なことを言うな!!」
じたばたするワドルディの向こうで、ジャベリンが司令官の方を振り向いた。
「大丈夫ですよ、まさかここの会話カービィに聞こえてるとも思えませんからね」


「ふーん、なるほど…」
エレベーターの中で、カービィが一人うなずいた。
「やっぱりメタナイトって本気でプププランドを征服する気、無いみたい…」
ギムも横でうなずいた。
エレベーターが止まり、おそらくハルバードの最下層と思われるところについた。
薄暗い通路の向こう側に、ドアが見える。
カービィ達はドアの前まで歩いていった。
カードロック式のドアのようだ。先程までのドアと同じように、右側にカードリーダーがある。違う点といえば、カードリーダーの下に「Reactor room」というタグがついていることと、ドアに放射性同位体を扱っているという赤いマークが書かれていたこと、それからなぜかバイオハザードのマークも付いていた。
「バイオハザード?何で??」
「リアクターって…原子炉ですよね?何でバイオハザードなんでしょうか?」
ギムも首をひねる。
「ま、とりあえずレーザーを反射させて当てればいいみたいだからー。
 なんとかなるっしょ?」
「多分」
先程のワドルディの無邪気な一言は、ばっちりカービィたちにも聞こえていたようだ。

ドアを開けてリアクタールームの中に入ったカービィの目にまず宙に浮かぶ水晶が飛び込んできた。水晶は、無骨な砲台の上に浮いている。淡い紫色の光を放っている。そして、BGMとしてタイヤのこすれる音…
リアクターから視線を外し、周囲を見ると狭い閉鎖空間にウィリーが沢山閉じ込められていた。どう控えめに見ても、密度が高すぎるなぁ、とカービィは思った。
「ウィリーの運動エネルギーを使って、
 ハルバードを動かすエネルギーを作り出しているようですね。
 だからバイオハザードなのでしょうかね?」
ギムが思ったことを言葉にする。
そこへ、すすすっと天井からレーザーの発射口が降りてきた。随分と緩慢な動作でレーザーが発射された。
レーザーはカービィとギムを外れて壁に当たる。壁に当たったレーザーは反射した。
「なんか…反射した…」
「これを誘導して、リアクターに当てればいいんでしょうね」

反射レーザーを3回も当てると、リアクターの水晶は砕けた。水晶が運動エネルギーを動力エネルギーとして変換していたようで、それが砕けるとウィリーを拘束していた隔壁のロックが解除された。一斉にウィリーが外へと流れ出す。
カービィとギムは、ウィリーたちが流れ出すのを見届けてブリッジへ向けて走り出した。
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