tateさんの小説

【メタナイトの逆襲:メインストーリー】Chapter05: Heavy Lobster /// Part:01


「2連主砲は沈黙。制御コンピュータにアクセスできません!」
「しゅ…主砲が壊れただス〜。使いものにならないだス」
「何だとぉ!!そんなバカなぁ…」
ブリッジでは司令官が一人、蒼くなったり黄色くなったりしていた。
2連主砲の制御コンピュータとカービィを戦わせるというところまでは良かったのだが、制御コンピュータはあっさりとカービィに機能不能状態にされてしまったのだ。
「やっぱコンピュータが人間に勝てるわけないんだよな」
トライデントナイトは知ったような口をきく。
「というか、作戦が悪すぎるような気がする…だス」
メイスナイトが追い討ちをかける。ジャベリンナイトは、ワドルディを介抱しながら憐れみの視線を司令官へ送る。
「アックスナイト」
メタナイトの声だ。
「制御コンピューターは回線が切られて動かなくなっているのだろう?」
「え?ああそうです」
「…直してくる」
抑揚のない声で淡々とアックスナイトと会話を交わして、メタナイトは出て行った。

「別にメタナイト様が直に直しに行く必要ないだスのに…」
メイスナイトの発言を受けてジャベリンナイトが言った。
「…でもココにいる人間でコンピュータ直せる奴、いる?」
「俺は直せる」
アックスナイトはモニターから目を離さずに返す。
「でもアックスナイトがいないと、誰がオペレーターやるんだ?」

  しーん…

「要はお前達は役立たずってことだな」
アックスナイトの冷たい台詞が響き渡る。
「…おい、司令官。カービィは現在左ウィングに向かっているぞ」
アックスナイトはちらりと司令官の方へ目線を投げる。キャノピーから外を眺めて黄昏ていた司令官は、振り向きざまに力をこめてこう言った。
「Mr.フロスティに言え。何があってもカービィを艦外につまみ出せ、とな!!
 …ところでメタナイト様は?」
周囲の変化に無頓着な司令官の問いには誰も答えなかった。


左ウィング部。
ウィングと言うからには足場が悪い。
甲板からウィング部に降りてきたカービィ達は、目の前に広がる光景にあ然とした。

  ボボボボボ

所狭し、とカプセルJとレーザーボールが浮かんでいる。しかも、攻撃射程距離が上手く重なり合うように配置されている。
「誰だよ…こんなナイスでイカした(死語)配置をしたのは…
 って聞くまでもないか」
「ええ、そうですね」
…実際に左ウィングの配置を考えたのは司令官なのだが…まぁそれは置いておこう。

  ボボボ…

カプセルJの排気音が響く。
カービィはしばらく考え込んだ後、くるりとギムの方を振り向きこう言った。
「戦いたくないから全力で走り抜けます…てどう?」
「…別に私は構いませんが…めちゃくちゃなことを考える人だ…」
ボソッとギムがこぼす。カービィはギムのぼやきを黙殺することにした。

周囲の足場を確認し、カービィとギムは飛び出した。
待ってましたとばかりに、レーザーボールの斉射が降り注ぐ。カービィ達は直進しないように気をつけつつ、カプセルJのボディアタックをかわしていく。
前方右に扉が見えた。
ちょっと注意をそらしたとたん、カービィは足を踏み外した。体が中に投げ出される。
「わわわっっ」
反射的に、せり出した床の縁に手を掛ける。
カービィは振り子のようにゆらゆら揺れている。
「お…落ちる…」

ワンテンポ遅れて走ってきたギムが、ゆらゆら揺れるカービィのところへやってきた。
こういうとき、デデデなら死力を尽くしてカービィを突き落とそうと努力するが、ギムは素直に引き上げてくれた。
「てゆーか、デデデがひねてんだよな」
「? 何ですか、カービィ」
「いや、こっちの話」

左ウィング内部…
ここでも山のようなレーザーボールが奥の方に見えた。
レーザーボールの射程県内に入らないように近づく。それらの背後の壁には、射出口らしきものが見えた。
「…あっこからレーザーボールが出てくる?もしかして…」
「もしかしなくても出てくるんじゃないですか?」
「ここまでくると下手な鉄砲数うちゃ当たる、数に任せて力押し、だよなぁ…」
こそこそとレーザーボールを刺激しないように、カービィは一層下に下りる。そこには、カッターを片手になにやら設計図を眺めてぶつぶつつぶやいているポピーブロスJr.がいた。
「ここの配線を切ると、ココへの電力供給が途切れるから…ブツブツ…」
カービィは背後からそっと忍び寄り、どーんとポピーブロスJr.の背中を突き飛ばした。
「わー!!何すんねん!!!」
わたたっとよろけたポピーブロスJr.はレーザーボールの近くでこけた。一番近くのレーザーボールのアイセンサが光る。遅れて降りてきたギムが慌ててポピーブロスJr.を助け起こす。そして…

「逃げなー!!」

カービィとギム、そしてポピーブロスJr.は、だーっと逃げ出した。レーザーが雨のように振ってくる。慌てて彼らは下層へ飛び降りた。


レーザーボールの追跡を振り切り、ほっとしてへたり込んだカービィの頭を

すぱこーん!!

とポピーブロスJr.のハリセンがひっぱたいた。
「何すん…」
「カービィ、うちに何か恨みでもあるんか?」
ポピーブロスJr.が凄まじい形相でカービィの前に立っていた。後ろに立っているギムは、怒られて当然至極といった様子だ。
「ごめん、悪気はなかったんだ…」
「そないな事わかっとるわ」
……
すまなそうな顔をするカービィに対し、ポピーブロスJr.は大げさに溜息をついた。で、こう切り出す。
「これからどこ行くつもりだったん?」
「どこへ行くと言うより、ウィングを破壊してハルバードを落とすつもりです」
ギムが代わりに答える。
ふうん…とポピーブロスJr.は先程眺めていた紙を取り出した。しばし考えた後、ほならこの奥の突き当たりで爆弾でも爆発させたら左ウィングは壊れるで、と指差した。構造上の都合で、派手な誘爆が起こるらしい。ポピーブロスJr.の指差す先は暗くなっていて、どうなっているのかはっきりとは見えない。
「わかった、行ってみるよ。有難うJr.後ごめん、ほんとに…」
ギムがポピーブロスJr.からもらった爆薬を抱え、カービィ達は奥へを歩を進めた。

左ウィング最深部…
ポピーブロスJr.の言っていた「この奥の突き当たり」までカービィとギムはやってきた。
「ここか…」
「ここで爆発を起こせばよいのですね」
そう言ってカービィとギムは天井を見上げた。結構な高さがある。
「…ほんとに誘爆するのか…?」

ふと、カービィが背後に人の気配を感じたと気が付いたとき、思いっきりカービィは壁に向かって投げつけられた。
「げほっ…な、何だ…?」
カービィが顔を上げると、そこには大男が立っている。ギムはとっさの出来事に対処できずに硬直している。処理が追いついてないようだ。

カービィを投げ飛ばした大男はカービィの元へ歩み寄り、こう言った。
「反逆の徒に死を」
「は…反逆ー!??」
大男がカービィを掴み上げようと手を伸ばしたとき、頭上のスピーカーから
「殺れ!殺ってしまえ!!Mr.フロスティー!!」
「だ、ダメだスよ、殺すのは」
妙にテンションの高い男性と、若い女性の声が流れ出てきた。
ぴくっと大男…Mr.フロスティと言うらしい…の動きが止まる。
「Mr.フロスティ、殺すな。艦外へ放り出すだけで良い」
今度は落ち着いた男性の声がした。
反射的にMr.フロスティとカービィはスピーカーを見上げる。そこに人がいるわけがないのに、だ。
「メタナイト様…しかし…」
逡巡するMr.フロスティの隙を付き、ギムがカービィを引っ張り上げる。そして、十分に間合いを取る。一瞬迷いを見せたMr.フロスティは対面するカービィに鋭い視線を投げつける。
「メタナイト様はああおっしゃられたが、オレは貴様を殺す」
Mr.フロスティがカービィに向かって突進してくる。それをカービィは紙一重でかわす。
Mr.フロスティのターゲットはカービィのみである。カービィはギムに下がっているように言い、ショートソードを抜いて構える。
「カービィ…」
「大丈夫だよ。こんなとこでへばってるようじゃ、メタナイトには勝てないからね」
カービィは爽やかにギムに言った。
「いえ、素手の敵相手に武器を持って戦うのはどうかと…」
「ギム…君は僕が負けてもいいんだね…」
「いや、そういうわけでは…」

Mr.フロスティは素手である。俗に言う格闘家に相当するのだろう。カービィは相手を牽制しながら対策を考える。

  …近接戦闘は僕のほうが圧倒的に不利か…
   でも強力な飛び道具もないし…
   さてどうしようか、カービィ?

カービィが積極的に攻撃して来ないのを見て、Mr.フロスティは胸の前で手を組み、何やら精神集中を始めた。
Mr.フロスティの周囲の気温が下がる。大気中の水蒸気が凍り、キラキラと光って見える。そして、彼の目の前に一抱えはある氷の塊が出現した。彼はそれをカービィに向け、蹴り飛ばした。
「氷の民かっ」
Mr.フロスティの周囲には次々と氷塊が現れる。どういう原理かカービィにははっきりとわからなかったが、召喚術を応用しているらしい。

「くっ」
カービィは持ち前の機動力を生かし、Mr.フロスティの背後に回りこむ。そして氷塊の影に入る。もちろんMr.フロスティにはカービィの動きが見えている。カービィがその影に潜んでいるであろう氷塊を、正拳で打ち壊す。
「何!?」
飛び散る氷片の向こうにカービィは見えなかった。Mr.フロスティは瞬間的に硬直する。姿勢を低く保ち、Mr.フロスティの高い視線から逃れていたカービィは思いっきりアッパーをかました。
カービィのコブシはMr.フロスティのアゴにクリーンヒットした。
どう、とMr.フロスティは倒れた。

ノックダウンされたMr.フロスティはすぐに起き上がろうというポーズは見せたが、脳震盪を起こしたようで、そのまま倒れこんだ。カービィはMr.フロスティが動かなくなったのを確認し、ギムの方へ歩いていった。ギムはカービィにねぎらいの言葉を掛ける。
「お疲れ様、カービィ。怪我はないですか?」
「んん?大丈夫だよ。ところで、Mr.フロスティとか言う人、どうしようか…」
「もう少し内側に運んで発破を架ければいいんじゃないですかね」

爆薬をセットしてからカービィ達は左ウィングを後にした。
ポピーブロスJr.が指摘したとおり、左ウィングは派手な誘爆を起こし、見事に吹っ飛んだ。
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