tateさんの小説

【メタナイトの逆襲:メインストーリー】Chapter04: Combo Cannon /// Part:01


 カービィとギムを乗せたダイナブレイドは、全速力でハルバードを追跡している。目の前を航行するハルバードとの距離はぐんぐんと縮まっている。もう肉眼でも甲板の上で待ち構えているクルー達の姿が捉えられるようになっていた。

 ハルバードのブリッジでは、レーダーに高速で接近する何かが写っていた。
「なっ、何かが高速で飛んでくる? 相対速度は……あ? 生命反応のパターンが出てる。何だこりゃ?」
「げぇえええ!! 何だとぉぉ!!!」
 オペレーターのアックスナイトが首をひねる傍らで、司令官大慌て。メタナイトの不在も手伝い、ブリッジはパニックになっていた。
「接触まであと60秒!!」
 アックスナイトが喚いたその頃、海賊団の頭領は甲板にいた。
「ダイナブレイドか……バカなことを……デデデが裏で手を引いてるな。」
 メタナイトは顔色一つ変えずに無線を取り出した。ブリッジではなく、艦内にアナウンスする。
「ダイナブレイドが急速接近中だ。手に空いている者は迎撃をしろ。」
 無線を切り、こうつぶやく。
「程々に……な」
 間もなく、ダイナブレイドへの迎撃が始まった。

 雨のように降り注ぐ砲撃をかいくぐり、ハルバードの甲板への着艦を試みるダイナブレイド。着艦はもとより、接近するのも難しい状態である。砲弾の有効射程圏外をぐるぐると旋回する羽目になっている。
「……めちゃくちゃだなぁ…どうやって近づくよ?」
「……飛び降りますか。さすがに人間サイズなら砲弾も当たらないでしょうね……運が悪くなければ」
「ギム、その最後の洒落になってないよ……」
 2人して飛び降りようと意見がまとまったところで、ダイナブレイドは一声嘶くと、甲板へのアプローチを試みる。甲板に対して低空飛行をし、相対速度を0にする。大勢のクルーに混ざって黒装束の男を一人、カービィは見た。
「!!」
「今です! カービィ。……カービィ!?」
 カービィは一瞬、躊躇する。
 ダイナブレイドは男の頭上を掠めて飛び去る。結局カービィとギムは飛び降りなかった。
「カービィ、どうしたのです?そうそうチャンスは訪れませんよ?」
「……笑った……」
「?」
「笑ったんだ、僕を見て……」
「誰が……」
 と、その時。
 ダイナブレイドの片翼に砲撃がヒットする。ダイナブレイドはバランスを崩し、カービィ達は結構な高さから甲板に叩きつけられた。
 カービィは素早く起き上がり、周囲を見渡す。先程の男はもういなかった。上空には、体制を立て直し飛び去っていくダイナブレイドが見える。
「もういないや……」
「誰がですか?」
 ギムはカービィの独り言に反応する。カービィは答える。
「メタナイト」
「???」

 甲板付近には、わらわらと沢山クルーがいた。どこかで見たことのある顔ばかり、つまりオレンジオーシャンの住民達が戦闘員などとして搭乗しているのだ。もちろん、ブルータスが徴兵したのではなく、自発的に人が集まってきたのだが。
 そういった人々の間をカービィとギムは走り抜けていった。ほとんど戦闘経験がないはずのクルー達は、カービィとギムの突然の出現にもかかわらず、よく喰らいついてきた。おそらく、メタナイトによる訓練・統制の賜物であろう。だが所詮は付け焼き刃、戦いに不慣れな一般人の間をカービィ達はするすると抜けていった。
 甲板前部より、扉をくぐって戦艦内部に侵入する。
 ……底には、三叉の矛を持った少年と、槍を持った少し年上に見える少年が立っていた。
「そこまでだ! カービィ!」
「我らメタ・ナイツの力を見せてやろう」
 彼ら2人は名乗りもせず襲いかかってきた。カービィが槍男、ギムが矛使いに応戦する。
 技量が接近しているのか、双方ともたいしたことがないのか、なかなかお互いに攻撃が当たらない。いたずらに時間だけが流れていく。
「……むぅ、なんか低レベルのD&Dをやっているみたい……」
 カービィがぼやく。
「お前もD&Dを知ってるのか!!」
 驚いたように槍男が反応する。
 カービィと槍男の意識が戦闘からそれた時、鈍い音とともに槍男が前のめりに倒れこんだ。どうやら矛使いのはじいたギムのヨーヨーが後頭部に直撃したらしい。ふと、カービィが顔を上げると矛使いと目があった。
「……よくも……よくもジャベリンナイトを殺ってくれたなぁ!!」
 矛使いがギロリとカービィをにらみつける。
「ごっ、誤解だぁあああ!! て言うか、こいつ死んでないよぉ!!」
「黙れぇえええーー!! ジャベリンナイトの敵だ!!」
 そう言ってカービィのほうを向いた。…つまりはギムに背中を見せてしまったのである。
 ギムは無言で矛使いの後頭部にヨーヨーを投げつけた。

「……ねぇ、ギム」
「何ですか?」
 昏倒する矛使いの脇まで歩いていったカービィがギムに声をかける。
「あーんまり後頭部にヨーヨー投げつけないほうがいいと思う。脳内出血起こすよ、いづれ……」
 などという会話が交わされたトカ交わされなかったトカ。

 一方ブリッジでは――
「あーあ、やられちゃったね」
「……ぐぬぬ、カービィ……恐ろしいヤツじゃ!!」
「トライデントナイトとジャベリンナイトがやられてしまっただス…これはまずいだスよ…」
 モニターを見つめながらメタナイトは思う。

 ……何自滅してんだ、あいつらは……

 あまりの部下のふがいなさに思わずため息をついた。
 メイスナイトがメタナイトのため息に気が付き
「メタナイトさま? あんまりため息ついてるとどんどん幸せが逃げちゃうだスよ?」
 と、メタナイトを覗き込むようにして言った。メタナイトと視線が合うと、メイスナイトはにっこり笑った。メタナイトはもう一度ため息をつきたくなるのを何とかこらえた。
 アックスナイトが報告する。
「現在カービィは艦内を上層へ移動中です」
「では2連主砲の傍までご案内しろ」
 と、司令官。彼の目がキラーーンと輝く。司令官にはなにやら秘策があるらしい。
「……もしや2連主砲の制御コンピューターとカービィを戦わせようなどという、バカなことは考えていないだろうな、司令官」
 メタナイトが横槍を入れる。
「はっはっは、流石はメタナイト様。左様ですぞ!!」
「貴様な、制御コンピューターごときがカービィを撃退できると思うのか?!」
「はっはっはっは!! 大丈夫ですぞ!! 余裕綽々ですぞ!!! あのコンピューターはお利巧さんだからのう」
 司令官、余裕綽々。そしてメタナイトは、この馬鹿司令官には何を言っても無駄だ、と言う事を悟……り直すこと101回目。どちらにせよ、今の状況では遅かれ早かれカービィは主砲まで辿り付くだろう。
「……もういい……司令官、貴様の好きなようにやれ」
 もう一度メタナイトはため息をついた。

「さっきのヤツ、矛を持っていたほうがトライデントナイトで槍男がジャベリンナイト。インプットできた?」
「OKです」
 上層へと移動するエレベーターの中でカービィは先程戦った、メタ・ナイツのデータをギムのメモリに記憶させていた。
「他にねー、メイスとぶんぶんやってるヤツと斧をくるくる回している奴がいたなぁ……」
 以前、夢の泉にナイトメアを封じ込めた反動で夢が見られなくなるという事件があったのだが、カービィはその時にメタナイト、およびその部下達と戦ったことがある。そのときの様子をどうだったか思い出す。
「では、メイス使いをメイスナイト、斧使いをアックスナイト、とでもしておきましょう」
「うん、そんな感じだよね。あとメイスナイトは魔法使ってくるからそのことも覚えておいてね」
 メモリへのインプットが終わる頃、エレベーターは終点に到着した。エレベーターの扉が開く。

 どっかんっっ

 大砲の弾が飛んできた。カービィとギムはかろうじてかわす。前方の通路には、人目をはばかることなく大砲が3基、堂々と置かれていた。
「……シャッツオが3つ……」

 ばんぼんぼぼんっっ

 今度は3基が立て続けに弾を吐き出した。カービィとギムは通路の壁に張り付いてやり過ごす。
「はっはー、我々をセンサーが感じ取ってぼこぼこ弾を撃っているわけですね〜」
 ほうほうと感心するギム。カービィはギムをじとっとにらみつけた。
「うう……にらまないで下さいよ……」
 そう言ってギムは懐から手榴弾を取り出した。カービィの目の前で事も無げに安全ピンを引き抜き、シャッツオの間に投げた。
 ボボンッと手榴弾が爆発する。
「……状況は変わって無い気がする」
 とカービィ。
「少し待ってください」
 ギムが言う。
 どこからかみしみしという音が聞こえてくる。小石がぱらぱらと落ちてくるような音も、だ。カービィがシャッツオのほうを見たとき、ボコっと床が抜けてシャッツオは下のほうへ落ちていった。
「周りと比べて床が薄かったんですよ。だから発破かければ陥没するかな、と思って」
 ギムは穴をひょいと飛び越えながら淡々と言う。カービィが穴を覗き込むと、下のほうでは突然降ってきたシャッツオに右往左往するクルーが見える。カービィは複雑な気分でギムの後を追った。
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