tateさんの小説

【メタナイトの逆襲:メインストーリー】Chapter03: DynaBrade


「離陸成功ダス」
「どうやらカービィは海まで飛ばされた様子です」
「上手くいったようじゃのう」
 ひとまずカービィを撃退することに成功したブリッジは雰囲気が多少明るくなる。
 ……が
 モニターを見つめていたメタナイトがこう漏らした。
「ヘビーロブスターが壊れた……」

 ヘビーロブスターの最も近くに配置されているトライデントナイトに回収と修理を命じた後、まずは小手調べだ、とグレープガーデンに艦首を向けさせてメタナイトはブリッジから出て行った。
「司令官、しばらく席を外す。貴公のお手並み、拝見させていただこう」
 ニヤリと口の端を吊り上げたメタナイトに司令官は思わずお任せ下され、と答えてしまった。メタナイトの姿が見えなくなると、落ち着かないようにうろうろ歩き始めた。
「司令官ドノ、そんなにうろうろされるとうっとおしいダス」
「ほらほら、椅子に座って! 落ち着いて!!」
 メイスナイトとワドルディが二人して司令官を無理矢理椅子に座らせた。
「ぐぐ……何も起こりませんように……」
 司令官は天を仰いだ。しかし、こういう時に限ってトラブルというものは起こるのである。

 戦艦ハルバードから吹き飛ばされたカービィとギムは、運良く海に浮かぶ群島の1つに墜落していた。カービィ達は幸いにも柔らかい草と大地に助けられ、無傷だった。
「ギム、大丈夫かい?」
「ええ、私は」
 空を見上げると、ハルバードはグレープガーデンに向けて航行している。日常、空中の対象物との正確な距離を掴むというスキルはほとんど要求されないため、カービィにはいまいちハルバードとの距離がつかめなかった。走っても追いつかないことぐらいはわかったわけだが。
 カービィは立ち上がって服についた土を手で払い落とした。
「確か、この先にワープスターの発着所があったっけ……」
 ギムは無言で立ち上がった。
「じゃあ、行こうか」
 小さな島には、カービィと敵対するものはいなかった。狭い土地柄、ワープスターの発着所に辿り着くのにも大した時間はかからなかった。肝心のワープスターは来ていなかったが。

「じゃん!!」
 そう言ってカービィが取り出したのはおにぎりだった。
 ワープスターが来るまで時間がかかりそう、ということでカービィはランチタイムにしようと言い出したのである。ギムは、デンプンはエネルギー変換率が悪いから、と御丁寧にもわざわざ計算式を並べ立て、カービィの好意を丁重に断った。
「何だー、ギム。おにぎり食べらんないの……つまんなくない?人生」
「……いや、別に……」

 こちらに向かうワープスターが米粒くらいの大きさに見え始めた頃、突然誰かが空から飛び蹴りを喰らわせてきた。目ざとく見つけたギムが、カービィを突き飛ばした。彼らの座っていたベンチは飛び蹴りで真っ二つになった。
 カービィがベンチのあったほうを振り向くと、そこには腰に手をあててエラソーにしている娘が一人、でーんと立っていた。娘はカービィをびしっと指差した。
「あなたが噂に聞くカービィとやらねっっ!! 今すぐココで私と勝負しなさいぃぃぃ!!」
「あ……あんた、誰……」
「私はアイアンマム。巷で話題の格闘少女よっ!」
 ワープスターが発着所に滑り込んできた。運転手は先ほどのはちゃめちゃ親父だ。
「私はアナタをぶちのめして有名になるのよっっ!!」

  ごっっ

 熱弁するアイアンマムの後頭部にギムのヨーヨーがクリーンヒットした。昏倒するアイアンマムを尻目にカービィとギムはワープスターに乗り込んだ。
「あーと、お客さん、あの女の人は……」
「いーの、知らない人だし」
 ワープスターはアイアンマムを残し、ハルバード追跡に向け高速で飛び出した。


「カービィが飛んできますっ!!」
 ハルバードのレーダーはカービィの接近をキャッチしていた。ブリッジがにわかに慌ただしくなる。そこへジャベリンナイトからの通信が入る。
「主砲準備完了、いつでもいけます」
「……一発いってみるダスか?」
 メイスナイトがにんまり笑う。
「よーし、どかーんといけ! どっかー――んと!!」
 司令官、下品に大笑い。
「ん、じゃあいくダスよ、ジャベリンナイト。主砲を発射するダス!」
「アイアイサー」
「3・2・1・オンファイアー!!」
 メイスナイトが発射ボタンを押した。

 メタナイトは甲板にいた。
 すぐ頭上をビームの束が走る。こちらへ近づいてくるワープスターはビームを交わし切れずに接触して墜落していく。
「さぁ、カービィ……早く来るんだ……」

 ビーム砲にあおられ墜落したワープスターはもはや航行不能であった。回らないエンジンを回そうと躍起になる運転手を、カービィとギムは二人してなだめた。がっくりとうなだれる運転手を囲んで、カービィとギムは顔を見合わせた。
「ハルバードに追いつく方法を探さなければ…」
「……」
 プププランドにはワープスターを上回るスピードを持った一般的な航空機器はない。そしてワープスターも一個人のわがままで今すぐ準備できるような代物ではない。打つ手なし、という状況なのだ。
「ん? そういやぁダイナブレイドなら追いつけるかなぁ……」
 怪鳥ダイナブレイド。プププランドで繁殖をする、ロックのようなバカでかい鳥である。以前、雛を育てるためのえさ探しでカービィと一悶着起こしたことがある。
 繁殖期でもない今、一所に留まっているとはあまり考えられないため、とりあえず山に登ろうと、カービィとギムは運転手の親父に別れを告げた。

 ところで、カービィ達の登り始めた山は、デデデ山というのだが、ココにはプププランドの長であるデデデ大王が住んでいる。彼が城をここに建てたからデデデ山なのか、デデデ山に住み着いたからデデデ大王なのかは誰も知らない。
 ブルータスの宣戦布告に徹底防戦を打ち出したデデデは城で待機しているはずである。ダイナブレイドがいなきゃデデデに何とかしてもらおう!!と軽〜いノリでカービィは山を登っていった。

 山頂に辿り着くと、まず目に飛び込んできたのは馬鹿でかい何か。逆光になっていて始めは何かわからなかったが、それはダイナブレイドだった。そしてその横には華奢なシルエットが偉そうに立っていた。
「デデデ!」
「おう、カービィか」
 偉そうなシルエットはデデデ大王だった。長めの髪を無造作に束ねて別段変哲のない服を着ているが、れっきした一国の主であリ、一流の魔術師である。
「メタナイト、落としに行くんだろ? だからダイナブレイドをキープしておいた」
 我がままいっぱい、いたずら大好きなデデデだが、やるべきことはきちんとやる。そして何より彼の先見性はピカ一である。カービィがアクションを起こす際は大抵先手を打っている、良くも悪くも。今回は、ダイナブレイドを用意して待っていたようだ。
 当のデデデは自分は関係ないといった感じで、ダイナブレイドをねぎらうように胴体をさすっている。カービィはダイナブレイドとデデデの向こうに、小さくなりつつハルバードを見ていた。
「早く行かないと、追いつけるものも追いつけなくなります」
 ギムが場の雰囲気を流動的なものにする。
 ギムに急かされるような形でカービィはダイナブレイドの背に乗る。デデデは大地の上に立ったままだ。
「……デデデも一緒に行かない?」
「……ほ〜〜〜〜〜、カービィ君。キミは一国の主であるオレ様をこき使おうってのか?」
デデデは平素どおり高圧的なものの言い方をする。ハルバードが飛び立とうが落ちようがお構いなし、といった感じだ。
「ムカーーー!!相変わらず我がままで高飛車で高慢ちきで自分勝手だな!!」
 カービィはダイナブレイドの上から怒鳴り飛ばす。デデデはカービィを見上げて言った。
「悪かったな、相変わらず我がままで高飛車で高慢ちきで自分勝手で。だがな、オレ様がここを離れたら、統括する人間がいなくなるだろうが」
 じとっ、とデデデはカービィをにらみつける。
「……そっか」
「だからよ、オレの分までメタナイトぶちのめしてこい。
 ……頼む」
「わかったよ、頑張る」
 ダイナブレイドはカービィとギムを乗せ、ハルバードへ向かって一直線に飛び立った。

 飛び去るダイナブレイドを見送りながら、デデデは一人ごちた。
「メタナイト……何考えてんだ? あいつは」
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