tateさんの小説

【メタナイトの逆襲:メインストーリー】Chapter02: Halbard


「反重力プラント正常」
「ソーラレベル 3・2・1 OKダス」
「よし、ハッチを開くぞ」

 オレンジオーシャンの海賊団ブルータスの拠点では、空中戦艦ハルバードが離陸の時を迎えていた。要塞のドーム上のハッチが開くと、そこにはずんぐりとした潜水艦のようなものが鎮座している。
「セイル解放。飛行準備完了」
 鳥のような翼が開いた。
 正面には2連主砲、側面にも多くの砲座がついている。甲板には多くの乗組員が見られる辺りから、内部には相当な人数の人間がいるのだろう。動力炉のリアクターと直結する5基のエンジンに加え、サブエンジンも完備している。そしてブリッジは中央に高くそびえている。持てる技術の粋を尽くして作り上げられた空中戦艦、それがハルバードである。

 ブルータスの頭領であり、ハルバードの艦長でもあるメタナイトはマイクに向かった。
「我々は堕落に満ちたプププランドの救済を行う、そのために立ち上がったのだ。プププランドの制圧は、プププランド自体の未来のためにも必要不可欠なものである。けして略奪のために立ち上がったのではない。クルー諸君、この艦にいることを誇りに思って欲しい」

 ブリッジにいるのは、メタ・ナイツとワドルティ、初老の男性、そしてメタナイト。
 メタ・ナイツは長い間メタナイトの直属の部下として働いている。海賊団としてまとまり始めたことからのメンツである。ワドルディと初老の男性は今回の作戦からの参加者のようだ。

 計器とにらめっこをしていたアックスナイトが慌てたように言う。
「メッ、メタナイトさま、何かが……いや、ワープスターが高速でこちらに向かって飛んできます!!」
「そんなことをするのはカービィくらいしか考えられんなぁ」
 と、初老の男性がつぶやく。
「こんなところで邪魔されたくないダスよ。どうするんダスか? 司令官ドノ」
 ダスダス喋りはメイスナイト。初老の男性に向かって喋っている。どうやら彼は司令官らしい。
 そしてその司令官は、と言うと……
「メタナイト様、いかがいたしましょう?」
 メタナイトは貴様の頭も使え、と言わんばかりににらみつけた後マイクに向かった。
「離陸を強行する。カービィがやってくるぞ!!甲板付近のものは第一種戦闘体制、その他のものは離陸に備えよ」
「り……離陸を強行ですか……」
「ん? 何か異存はあるのか、司令官」
「いや……別に」

 ワープスターは全速力でかっ飛ばしていた。目の前のハルバードは今にも飛び立とうとしている。
「運ちゃん!! もっと速く!!!」
 ワープスターのエンジンは随分前から悲鳴をあげている。構わずに運転手のおっちゃんはアクセルを踏み込んだ。
「お客さん、どないしますか?」
「飛び降りる。出来るだけアプローチして欲しいけど……」
「やってみやしょうか」
 ワープスターはハルバードにアプローチをかける。フルブレーキングで速度を落とす。そしてカービィは飛び降りた。ころころころっと転がって着艦時のショックを和らげたカービィを確認すると、ワープスターは離れていった。

「カービィが甲板に降り立ちました!!」
「大変、大変、どうしようぅぅぅぅ!!」
 と、焦りまくるメタ・ナイツの面々とワドルディ。メタナイトはモニターをにらみつけたまま、何も言わない。
「ヘビーロブスターを投入しろぉ! 急げぇぇ!!」
 吠える司令官。
 ヘビーロブスターとは、ハルバードに搭載されている近接戦闘用の大型兵器である。人工知能が搭載されており、学習しながら敵に対処できる、という優れものだが……所詮兵器なぞ使い手いかんである。
 ヘビーロブスターのアイセンサーが暗闇の中で瞬いた。

 甲板に降り立ったカービィは…降りたはいいがどこへ向かっていいのやら、困っていた。とりあえずメタナイトでも探すか、と甲板から艦内部への侵入を試みることにした。
 ……ふと、脇を見ると人が壁にもたれかかっている。
 気絶しているように見えたため近づいてみると、それは回線がショートして動けなくなっているギムだった。ギムは、ヨーヨーを使って攻撃を仕掛けてくる(まるでスケバン刑事のような(笑))兵器の一つである。機械をより人間に近づけるため高度なAIと、人間のようなフォルムをしている。ブルータス製の兵器はよくでいた物が多いが、ギムはその中でも逸品である。まるで本物の人間のようだ。
 カービィが近づくとギムは顔を上げた。
「それ以上近づいたら攻撃します」
 声も肉声に近い。誰かの声をサンプリングしているようだ。
 カービィはお構いなく近づいた。
「壊れてんだろ? 直したるよ」

「本艦、離陸まで後3分――」
 全艦にアナウンスが入る。
 機能の復帰したギムとカービィは館内へと続く扉へ突進した。そのとき、ヘビーロブスターが甲板へと踊り出た。ちょうど扉をふさがれる形になってしまったので、カービィ達は一歩下がって身構えた。
「な……なんなんだ、この巨大なロブスター然とした機械は……」
「ヘビーロブスター。ハルバードに搭載されている近接戦闘用の兵器です。注意すべきは……」
 ギムが説明しているところへ、ヘビーロブスターが突っ込んできた。カービィとギムは左右にわかれて飛びずさった。スライドしながらも強引に方向転換してきたヘビーロブスターは、ロブスターで言えばハサミに当たる部分からぼぼぼっっと火炎放射器のごとく、火をまきちらした。
「さっきの体当たりと、今の火炎放射です」
「無茶苦茶なもの作るな……」
 再びヘビーロブスターは突進してきた。素早いカービィの動きを学習したらしく、先程よりハイスピードで突っ込んでくる。しかし所詮は機械、直進することしか出来ないので軽々と裂けられてしまった。そして慣性に負け、脇に積み上げてあった箱の中に突っ込んだ。だーっと箱が崩れ、ヘビーロブスターは沈黙した。
「……勝手に壊れた? もしかして……」
「の、ようです」
 やれやれ、とカービィが扉に手をかけたその時。
「離陸用意。3・2・1・テイクオフ。離陸!!」
 アナウンスが入ったことに気が付いたときには既に、強烈な風圧にカービィとギム、ヘビーロブスターを覆っていた箱が吹き飛ばされた。
 そして、それらは海に落ちた。
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