tateさんの小説

【メタナイトの逆襲:サイドストーリー】Zapping of 03: 魔法の使えない魔法使い


「ひとつ〜、聞いておきたいことがあるのですが」

"Mountain of Dedede"

そう銘打たれたワープスター発着所で、ポピーBros.Jr.と星見草の二人はワープスターの到着を待っていた。星見草は、相変わらず救急箱を抱えている。

「ん〜? 聞きたいことってなんや?」
「ハルバードへの進入方法なんですけど〜……まさかこのままワープスターで突っ込む、とか言わないですよねぇ?」
 恐る恐るといった感じで、星見草はポピーBros.Jr.の方を覗き込んだ。
 ポピーBros.Jr.の方は、けろっとした顔でこう言った。
「んにゃ、ハルバードが離陸する前に乗り込むで〜。……と、その前にちょっと寄らなあかんところがあるから、道草食ってく」
「どこによるんですか?」
 すかさず星見草が突っ込む。
 ポピーBros.Jr.は視線だけ星見草に投げた。
「ギルドや、金になる話やからな、持ち込んどかな。な?」
「な、とか言われても〜……」
 星見草が溜息をついたところに、ワープスターがやってきた。


 ワープスターに乗り込んだところで、星見草は車窓を開けた。
 夜明け直前の涼しい風が髪を撫で付ける。
 東の空が明るくなってきた。もうすぐ日が昇る。
 ポピーBros.Jr.が彼女の隣に座った。
「オレンジオーシャンの前に、ヨーグルトヤードに寄るで」
「ヨーグルトヤードですか……」
「何や? もしかして行くの、初めてとか?」
「……通り過ぎたことしかないですね、あそこは」
 ヨーグルトヤードは、デデデの居るレインボーリゾートとは海をはさんだ対岸に位置する都市である。オレンジオーシャンと隣接していることもあり、黒い商売をしている人間も多い。
「ああ、あそこにはいっぱしの盗賊ギルドがあるからな。場所的にもオレンジオーシャンに隣接しているから、いろいろと便利やし」
「近いと便利なんですか?」
「便利です」

 ワープスターに揺られること30分。
 周囲の風景が閑静な街から雑踏とした繁華街へと変わったころ、ポピーBros.Jr.が立ち上がった。
「さ、ついたで。盗賊ギルドの街、ヨーグルトヤードへようこそ」



 通称 ”バタービルディング”
 プププランドのの中央に聳え立つ古塔……
 彼の塔に住まう者も、異論を唱えないためバタービルディングが正式名称として定着している。
 塔を中心に、古臭いしきたりを守るコミュニティが発達している地である。

 スターリンはコミュニティを一望できる丘の上に立っている。
 少し長めの黒い髪が、ばさばさと風にあおられている。
 確かに、こうしてみるとバタービルディングという名称にもうなずける。
 塔は溶けたバターのような色彩を放っている。
「と……デデデ大王の話によると、あの塔の頂上に黒幕が居るとか居ないとか……」
 塔の入り口に目をやる。
 今日に限ったことなのか、いつものことなのか、予測をつける気もないが、とにかく人の姿は見えなかった。
「とりあえず塔を上ってみるか……虎穴にはいらずんば、虎子を得ずというしな」

 ふと、上空を見上げると遠くの空に鳥のシルエットが見える。
 ここからデデデ城までの距離を考えると、かなり巨大な鳥のようだ。

 スターリンはマントを羽織りなおし、足を踏み出した。



 戦艦ハルバードの厨房。
 扉の向かいの壁にもたれかかって、男が一人、へたれこんでいる。
 そこへみょうちきりんなローブを着た娘が一人、とことことやってきた。
 手には短めのロッドと、脇にはやたら分厚い本を抱えている。
 考え事をしているらしく、ぶつぶつと独り言を言いながら厨房の前まで来た。

 すってーん

 前方不注意だった彼女は、当然へたり込んでいた男に躓いて転んだ。

「いったーい!! ちょっとあんた!! こんなところで寝てないでよ!!」
 当然、すっ転んだ当人はすっ転ばせた(?)人間に八つ当たり。
 が、すっ転ばせた側はどこ吹く風、何も聞いていない。
「ちょっとー? ……そだ、さっき完成した薬の実験台にでもしてみようかな♪」

 ばん!

 今度は後ろの厨房のドアが勢いよく開いた。
 押し戸になっていたため、当然彼女は背後から扉に襲撃される形になった。

 厨房から出てきたのはみらまただった。手は朝食を二人分持っている。
 ハガカとぜぼ親と別れた後、厨房にまっすぐ向かったみらまたは、途中でふぇあが寝こけているのを発見、仕方がないとばかりに引きずってきたのだった。
 そのまま廊下に放置しておいたのだが、朝食を取りに厨房にいた間に何かが起こったらしく、へんちきなローブを着た娘がふぇあの上に不時着していた。

「おい、ふぇあ! 起きろ! 飯だぞ!!」
 そういって、みらまたはふぇあのわき腹を蹴飛ばす。
 うー、と唸りながらふぇあが体を起こす。
「……? なんだこいつは」
 今始めて気がついたように、ふぇあは自分の上に転がっている女性を突っついた。

「きゃー!! 変なとこ触らないでよー!」
 がばっと起き上がった娘は、手にしたロッドでふぇあをぽかぽかと殴りつける。
 みらまたは、かかわりたくねぇと言った表情をふぇあに向ける。
 当のふぇあは、状況がつかめるにぽかんとしている。


「うるせぇ!!」
 厨房の扉が突然開いた。
 今度は誰にもあたらなかった。

 顔を出したのは、眉を鋭角に釣りあがらせたアックスナイトと、申し訳なさそうな顔をしたジャベリンナイトだった。
「飯ぐらい静かに食わせろ!」
 ぎろっとアックスナイトは目の前にいる3人をねめつける。
 と、ロッドを振り回している娘と目が合った。
「……ほー、おまえ、たまには地上に出てくるんだな」
 相変わらず、相手を小ばかに仕切った口調でアックスナイトは喋る。
 言われた相手は当然怒る。
「あんたなんかに、私がやってるコーショーな魔術が分かるわけないじゃない! 私は馬鹿と話してるほど暇じゃないの!」

 ぱしぱしとローブのすそのほこりを払うと、娘は落とした本を拾いあげた。
「……飯、食わなくていいのか?」
 ふぇあが声をかける。
「おなかすいてないもん」
 怒った声で娘が答える。
「……そーいや、おまえ、なんて名前だ?」
 今度はみらまたが声をかける。
「……レモンよ」
 そう言って、娘は彼らに背を向けて歩き出した。

「変なやつだよな、黒魔術やってるって話は聞いてたけど、あそこまで変わっているとは……」
 アックスナイトは溜息をついて、厨房に引っ込んだ。
 残されたジャベリンナイトは、みらまたとふぇあを交互に見た。
「朝飯ぐらい、中で食べたらどうです? これから忙しくなりますよ」
 ジャベリンナイトに促され、みらまたとふぇあは厨房に入る。
 ふと、ふぇあは娘の歩いていった方をみる。
 まだ、彼女の背中が見える。
 何もない廊下で、彼女がすってんと転ぶのが見えた。



「賑やかになっただスな、うちも」
「ま、いいんじゃない? 賑やかなのも」
 早めに朝食を取り終えたぜぼ親と、紙の束を持ったメイスナイトの会話である。
 メイスナイトの持っている紙には、艦内の見取り図と名前が書き込まれている。
 どうやら配置図のようだ。

「んじゃ、俺はこの辺の配置だから。根詰めない程度にがんばれよな」
 ぜぼ親はひらひらと手を振った。
「それはこっちのセリフだスよ」
 苦笑いしながら、メイスナイトは手を振り返しながら廊下の向こうに消えた。

 メイスナイトの姿が消えたのを確認すると、ぜぼ親は突然まじめな顔つきになった。
「さて……と。お遊びもここまでかな」
 そうぼやくと、ぜぼ親は辺りを見回した。



>>ハルバード離陸まであと2時間。
  現在カービィはワープスター発着所で待ちぼうけ



                           To be continued...

                   2001Aug08 written by A.Tateshina
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